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なぜ今になって「世界最大ヘッジファンド」はトランプに怯え始めたのか?=今市太郎

米系ファンド勢の中で唯一といっていいほどトランポノミクスを肯定していた、世界最大ヘッジファンド「ブリッジウォーター」CEOのレイ・ダリオが、一転してその政策に懸念を表明しはじめました。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2017年2月8日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

世界最大ヘッジファンドのCEOにも「トランプ」は理解不能?

政策を見て、びびりはじめたレイ・ダリオ

米系ファンド勢の中で唯一といっていいほどトランポノミクスを肯定していた、世界最大ヘッジファンド(ブリッジウォーター・アソシエーツ)のCEOレイ・ダリオが、1月末の顧客向けレポートで一転してそのやり方に懸念を表明しはじめたことが市場で話題になりはじめています。

これは1月31日付の顧客向けレポートにおいて、CIO共同最高投資責任者のボブ・プリンスとともに記載したもので、トランプが進めるポピュリスト的な政策による悪影響が、これまで想定されてきた企業寄りアジェンダに伴うプラス効果を上回る恐れがあり、こうしたバランスの傾きが経済や市場、我々の暮らしぶりにとって、中央銀行の政策のように通常大きく影響する要素よりもいかに重要になるのかという時期にあると記したことで、懸念を強めていることが分かりました。

もともとレイ・ダリオは昨年12月末にLinkdInに寄稿し、意外にもトランプ政権を肯定的に評価する発言をしたことで非常に注目を集めたわけですが、2ヶ月も経たないうちにあえなく宗旨替えとなったわけで、ビジネスだけにプラスに働く政策を期待していた彼にとって、メキシコの壁中東7カ国からの入国禁止令の発令など、むしろ余分な政策までももれなく履行しようとするトランプの姿勢に、さすがに懸念を抱き始めていることがわかります。

「面白い」どころではない4年間が訪れるのか?

レイ・ダリオは昨年12月のLinkdInの寄稿において、トランプが世界にもたらす変化は考えられている以上に大きく、面白い4年間が訪れるとも記載していました。

もちろん、ここで言う面白いという言い回しが額面通りに面白いかどうかは疑問ですが、少なくともトランプ政権が初期段階に減税や財政出動から算出される予想効果よりもはるかに大きなインパクトをもたらすことを期待していたことは間違いなかったようで、一連の中東からの入国制限騒動を見て、これはまずいと思い始めたのはどうやら間違いないようです。

またレイ・ダリオは、トランプが脅しではなく現実にメキシコや中国に高額の関税を課そうとしていることにも大いなる懸念を表明し始めています。顧客向けの書簡で、ナショナリズム保護貿易軍国主義は世界の政治的緊張を悪化させ、紛争を生むリスクを増加させることになり、現状では何も決めつけることはしないが、ブリッジウォーターはトランプ政権の政策についてますます懸念するようになっているとも書き綴っています。

Next: 今後は、ファンド勢の投資姿勢にも変化がみられるか?



ファンド勢の投資姿勢にも変化がみられるか?

FRBの政策にさえ影響を与え、ファンド業界の中でも同業者からその発言が大きく注目されるレイ・ダリオが早くも宗旨替えを行ったことはそれなりの影響を市場に与え始めており、政治の世界では見ることのなかったトランプ独特の恫喝的交渉による合理主義的手法の実現には、レイ・ダリオもかなり驚いていることがうかがえます。

不動産屋としては半世紀以上こうしたやり口で生き抜いてきたトランプなのでしょうが、同じようなやり口に賛同する側近や友人を政権にかき集めて、果たしてこの先上手くやっていけるのかどうか非常に注目が集まります。

まずは2月10日の日米首脳会談がどのあたりに落としどころをみつけて決着がつくのか、一方的に本邦勢が脅かされて余分な犠牲を余儀なくされることになるのかに関心が集まります。

意外な手打ちでゴルフだけして済めば、週明けの為替市場は大きくショートカバーが進むことになりますが、想定外の貿易、為替関連の条件を持ち込まれることになれば予想を超えるドル安円高へとシフトすることは免れなくなりそうで、いよいよ国内の金融市場ももろにトランプの影響を受けまくる週になりそうです。
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今市太郎の戦略的FX投資』(2017年2月8日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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