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「おい、誰か上値を買えよ」日経平均乱高下に透けて見える外資の思惑=今市太郎

日経平均の今回の上げでは、海外ファンド勢が数少ない稼げる市場に資金を大量投入して相場を持ち上げ、利益だけ掻っ攫って去ろうとしている姿が鮮明に見えます。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2017年11月10日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

ここから誰が牽引するのか?利確して去っていった海外ファンド勢

東京市場は厳しい展開が続きそう

9日の日経平均はとうとう2万3300円を超えて、どこまでいくのかと思わせる猛烈な上げの動きを示現しましたが、その後は先物から崩れだし、午後にはあっという間に960円近い下げを演じることとなりました。

さすがに流動性のある株式相場ですから、下げにはそれなりの買いも入り、引けてみれば45円安で終わっていますが、同日のNYダウがまた大きく下げているだけに、週末の東京市場もまたそれなりに厳しい展開が続くのではないかと思われます。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

マネックス証券では、1年半後に3万円到達などという根拠がありそうでなさそうな勇ましい内容を開示しています。ですがこの相場、上げの金額を見ていますと、どうも海外のファンド勢が年末相場を画策して日本株になだれ込んできただけに過ぎない印象が、非常に強く残ります。

「目を付けられた」日本株

だいたいファンドマネージャーというのは、最近ではインデックス投資の年間上昇に個別株の売買ではついていけず、米系の大手証券会社などでもシステムトレードでコンピュータがインデックス投資に専念するのが、すでに世の常になってきています。

ヘッジファンドのマネージャーも運用益難に見舞われているのは同様で、なかなか利益が出せないままに年末を迎えるケースは例年よく聞く光景ともいえる状況です。

今年の世界の金融市場を見渡してみますと、すでに9月から米国の株式相場はかなりの上昇を見せており、むしろ大幅下落を懸念する声のほうが多かったわけですが、天井からのじり高は多少の鞘取りの投資以外には大きく利益を確保できる相場ではなくなっていました。

また債券市場もバブルが進んでおり、ここに過剰流動性で行き場のなくなった投資資金を上乗せしても、ほとんど妙味がないのが実情といえました。

そこで見まわしてみたときに、比較的上げの余地が残されていて、しかも下値ではありがたいことに日銀が買い支えて暴落も防いでくれる日経平均に資金を投入してみることに、どうやらファンドの白羽の矢がたったことは間違いなさそうな状況です。

この時期に20%以上の運用成績を残すことができればファンドマネージャーとしては及第点ですから、米株ではなく日本株に資金が集中したこともうなずけるものがあります。

Next: 日本株は9月から20%強の上昇、利確するファンドが続出する?



9月の1万9300円弱から20%強の上昇

東証の発表によればこの秋の外人勢の資金投入額はすでに2.4兆円に上るそうですから、かなりの勢いで日経平均を持ち上げにきたことがわかります。

そして昨日の2万3300円レベルというのは9月の最安値から見てちょうど4000円の利益が抜けるレベルで、下値をベースにみますとジャスト20%強の利益率を確保できたというわけです。

もちろんこのまま持っていればさらに上昇することもありうるのでしょうが、サンクスギビングデーも近い11月ですから、このタイミングに20%の運用成績で利益確定をするファンドが多数登場してもまったくおかしくない水準といえます。

腰掛的に市場に押し寄せて、自分たちの年末商戦獲得利益が確保できたら「はいそれまでよ」という発想は十分に理解できる動きで、この水準での反対売買をかなり多くのファンドが狙っていたのではないか、という見方もできるわけです。

ここから誰が相場を牽引するのか?

こうなるとここからの動きが注目されますが、すでにファーストアウトの外資系ファンド勢がいなくなったあとに誰が相場を牽引するのかが問題です。

出遅れの個人投資家などもいるでしょうから、ここから急激に下落することはないのかもしれませんが、逆に主役不在のなかで、大きく上げることもなくなるのではないでしょうか?

こうした見方が正しいか正しくないかは、ここからの相場の推移を見ていただければわかる話です。

日経平均の上昇になぜドル円は連動しなかったのか

さて、FXのメルマガですから、しっかりFXの話もしなくてはなりません。ですが、ここまで日経平均が暴騰したのにドル円は114円をつけるのが精一杯で、11月9日は株価の下落に付き合って113円台の下値を試すといった、まったく覇気のない相場展開が続いています。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

アベノミクスの始まった2012年末は、官製相場にちゃっかり乗ろうとする米系ファンドなどが大量の資金をドルから円転して、年間で実に15兆円ほどの規模で株の買い入れを行っています。このときには、株と並行してヘッジのためにつねにドル円も購入したため、ドル円は株価とまさにリニアに連動して上昇したのは記憶に新しいところです。

しかし今回の上げでは、まったくそうしたヘッジのためのドル買いも見られていません。これは思うに、そもそも資金を円で調達する円キャリーで株買いを行っているために、ドル円相場にはなんの影響も出ていないのが原因ではないかと思われます。そうでなければ、2.4兆円も突っ込んできたら、もう少しヘッジのためのドル円ロングが出てもおかしくはなかったはずです。

Next: 「好業績」を囃す証券会社の解説は本当か?後付けか?



去っていった海外ファンド勢

こうしてみてきますと、日本のファンダメンタルズが好転しているからとか、企業業績がよくてEPSが上昇しPERは決して高くないとかいう、証券会社の解説は後付けにすぎないことがわかります。

そして、ファンドがとにかく数少ない稼げる市場に資金を大量投入して無理やり相場を持ち上げ、利益だけ掻っ攫って去っていこうとしている姿がかなり鮮明に見え始めています。

【関連】「戦争前夜」の不気味な株高。割安を謳歌する東京株式市場の死角とは?=斎藤満

いや、状況は大きく変化した」と豪語するアナリストが多いのも存じ上げていますが、果たして本当にそうなのかどうかは、とにかくここからの相場を見ていればわかるのではないでしょうか?

もちろんまた利益機会があれば、外資系ファンド勢もいつでも来襲してくるのでしょう。しかし、ここから継続的に日本株を買い上げて3万円まで付き合ってくれるというのは、かなり錯覚なのではないでしょうか?

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今市太郎の戦略的FX投資』(2017年11月10日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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