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浮気と脱税は必ずバレる? マイナンバーとタンス預金の「最悪な相性」=小櫃麻衣

マイナンバー導入によって、相続手続きはどのように変化していくのでしょうか? また、タンス預金は税務署にバレるのでしょうか? その実態を解説します。(『FPが教える!相続知識配信メルマガ☆彡.。』小櫃麻衣)

タンス預金を隠し通すのは不可能? マイナンバーによる徹底監視

マイナンバーは相続人にもメリットがある

今回は、マイナンバーが導入されることで、相続手続きがどのように変化していくのかについて解説します。マイナンバーの導入は、税務署だけが得をするというようなイメージがありますが、私たちにもメリットがあるということを覚えておいて下さい。

<メリット1:戸籍収集がカンタンになる>

マイナンバーの導入のよる相続手続きの一番のメリットは、戸籍の収集です。戸籍の収集は、役所に行けばそれだけでいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、これがそう簡単に進められるものではないのです。

今までは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を収集するという作業が、相続手続きにおける最初の課題とされていました。しかし、今後はマイナンバー制度が戸籍にも導入される予定なので、不動産や車などの名義変更などでもなにかと必要になる戸籍収集の手間を省くことができるようになるのです。

<メリット2:財産状況を把握しやくなる>

続いて、もうひとつのメリットは、財産状況を把握しやくなるという点です。

金融機関など様々なものにマイナンバー制度が導入されることは、常に監視されているだけなような気がするかもしれません。ですが、私たちが相続人となった場合に、大きなメリットをもたらしてくれるのです!

相続が発生したとして、被相続人の財産状況を何から何まで把握しているという自信のある方は少ないのではないでしょうか? 夫婦間ならまだしも、親の財産状況をしっかり把握している方は、非常に少ないと思います…。

家族に内緒で別荘地を購入していたり、証券会社の口座を開設していたり、同じ家族でもこんな財産があったなんて知らなかった…ということが多々あるのです。

土地の権利証や、把握しきれていなかった口座が相続税申告後に発見されれば、場合によっては追徴課税の対象になるかもしれません。

つまり、マイナンバーが広く浸透されることで、財産の申告漏れが軽減されるということです。

Next: マイナンバー対策の「タンス預金」は有効なのか?



マイナンバー対策の「タンス預金」は有効なのか?

マイナンバーの導入によって、預貯金の動きを監視されるのは嫌だから、お金はタンス預金にしておこうと考える方もいらっしゃると思います。預金をタンス預金にすると、実際のところどうなのでしょうか?

まず、タンス預金とは、ひと言でいうと預貯金口座に入金していないお金です。つまり、自宅にあるお金のことを言います。タンス預金という名称ですが、もちろんタンスに入れなくても自宅にある金庫に保管している現金があれば、それはタンス預金とみなされます。

ちなみに日本のタンス預金の総額は、30兆円から80兆円と言われております。政府としては「このお金をなんとか使ってもらおう」と、数年前から生前贈与を斡旋しています。新設された贈与制度としては、教育資金の一括贈与贈与結婚・子育て資金の一括贈与などが挙げられます。

しかし、このような贈与を子供や孫にするにも、専用の口座を開設しなければならず、贈与されたお金の使い道についての領収書をいちいち提出しなければならなかったり、贈与を受ける子供や孫が一定の年齢になれば、残高に贈与税が発生したりと、そう簡単に浸透するものではないような気もします…。

また、マイナンバーの導入によって預貯金口座の出入金がすべて監視されるようになることによる懸念や、マイナス金利による金利の低下を嫌う方々によって、銀行にお金を預けていても良いことがないという理由から、家庭用金庫が売れまくっているそうです。

本来タンス預金は相続税の課税対象となりますが、実際のところ、税務署からタンス預金の存在を把握されなければ、相続税の課税を免れることができます。

しかし、このような対策が本当に上手くいくのでしょうか? また、税務署がタンス預金を把握することは本当にできないのでしょうか?

結論から申し上げますと、タンス預金が税務署に把握されずに済む確率は、かなり低いと考えた方が良いでしょう。

以前、相続税における税務調査についても解説しましたが、税務調査の対象になりやすいポイントのひとつに、タンス預金があるのではないかと疑われるという点が挙げられます。

Next: あなたも疑われる? 税務署が「タンス預金」に目を付ける2つのポイント



「タンス預金」を疑われるケースとは?

では、どんなことが原因で、タンス預金の疑いをかけられるのでしょうか? これには、いくつかのポイントがあります。

<タンス預金を疑われるポイント1:収入に対して少ない預貯金>

1つ目は、被相続人の年収に対して預貯金残高が少ないことです。日本人は貯蓄好きと言われていますので、ある程度の年収があれば、それなりの預貯金残高があるだろうと税務署が思うのは当然のことです。

相続が発生し、税務署が被相続人の預貯金口座や所得について、徹底的に調べ上げる中で、これだけの年収があるのに貯蓄が少ないことに疑問を感じれば、税務調査の対象になる確率が上がります。

実際に税務調査の対象になれば、被相続人のお金の使い道やタンス預金がないかなどを徹底的に調査するというわけです。税務署からの追求はかなり厳しいため、タンス預金の存在を隠し通そうとしても、最終的にはバレてしまいますので、注意が必要です。

<タンス預金を疑われるポイント2:定期的にまとまった金額を出金>

2つ目は、まとまった出金が定期的にあることです。具体的にどのくらいのお金をまとまったお金というのかというと、だいたい100万円前後です。

まとまったお金を定期的に出金しており、使い道がハッキリしていなければ、自宅の金庫などに保管していて、相続時に相続財産を減らす目的があるのではないかという疑いがかけられてしまいます。

また、現金を自宅に保管していなくとも、そのお金を配偶者や子供に渡していて、入金記録が通帳に残されていれば、相続発生時には必ず突っ込まれ、そのお金に対して相続税が課税されてしまうのです!

Next: 隠し通すことはほぼ不可能。今まで以上に厳しくなる税務署のチェック



今まで以上に厳しくなる税務署のチェック

預貯金口座がマイナンバーによって管理されるようになれば、今まで以上にお金の出入金記録が厳しくチェックされるようになるのは間違いないでしょう。

また、タンス預金はバレないのかという点についても、タンス預金に移行するために定期的に現金を引き出している記録が通帳に残っており、加えて年収と照らし合わせて預貯金残高が少ないことが発覚してしまえば、必ずタンス預金の疑いがかけられ、税務調査の対象になると考えた方が良いでしょう。

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あとでバレると罰金を科せられる場合も

税務署から追求されても黙っていれば良いと考える方もいらっしゃると思いますが、そう簡単にかわせるものではありませんので、隠し通すことはほぼ不可能と考えた方が良いでしょう。

仮に、相続時の税務調査でタンス預金の存在が発覚してしまえば、タンス預金金額に対する相続税はもちろん、重加算税などの罰金が科せられます

場合によっては、相続税の2倍近くの罰金を支払わなくてはならない可能性も大いにありますので、安易に「タンス預金にしておこう」と考えるのは、やめておいた方が良いでしょう。

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FPが教える!相続知識配信メルマガ☆彡.。』(2017年11月8日, 10日, 13日, 15日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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