いまだに手渡しで家賃を払う人もいるほど、アナログな不動産の賃貸。ようやくクレカ払いできるところが増えていますが、そのメリットについて解説します。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。
家賃のクレカ払いは誰のため? ようやく進化してきた不動産業界
進まない「家賃」の電子マネー・クレジット決済
電子マネーやクレジット決済がどんどん普及している21世紀において、家賃は未だに振込や自動引き落としというのが一般的です。それどころか、いまだに手渡しで家賃を支払う人もいるほど、不動産の賃貸はアナログな世界です。
これは大家や不動産屋の多くがアナログ人間であるという理由もあるでしょうが、なによりクレジットカードの手数料が高いという理由があるのだと思います。
通常、クレジットカードを利用すると、その額の数%はカード会社の手数料として差し引かれます。
このカード会社の手数料は、本来は店側が負担するのですが、その分利益が減るのであまり店側からは歓迎されていません。まったく同じ商品を売るのに、カードを使われると数%ほど利益が減ってしまうのですから、店が嫌がるのも無理はありません。
店によっては、「カード決済の場合は10%割増料金になります」などと謳っているところもありますが、これはカード利用規約に反しています。
小さい不動産でもカード決済が使えるようになってきた
さて、そんなクレジットカードですが、冒頭に申し上げたとおり、まだまだ不動産屋ではカード決済ができないというのが一般的です。これまで一部の大手ではカード決済ができたようですが、大部分の中小零細不動産屋では当然ながらカード決済は導入していませんでした(利益が減って手間が増えるので)。
そんな中、日本管理センターというサブリース会社が、クレジットカード決済を一般の不動産屋向けにも提供するというニュースを見ました。これにより、小さな会社であってもカード決済ができるようになります。
このカード決済の意義は非常に大きいです。
というのも、クレジットカード会社は家賃に限らず、その人の支払いの情報を保持しているからです。そしてその情報は、入居審査を劇的に良くする可能性を秘めているからです。
Next: 家賃のクレカ払いが入居審査を大きく変える。入居者にメリットは?
大きく改善する「入居審査」
これまでの入居審査では、その入居希望者の会社や連帯保証人などに確認を行い、ちゃんと滞納しないかを確かめていました。
しかし、この方法には限界があります。以前にお話しした在籍屋のように、架空の会社に在籍しているように見せかける業者も存在しているため、大家を騙そうと思えばいくらでも騙せるのです。在籍屋は、架空の給与明細なども作るので、大家に見抜くことは難しいと思います。
その点、クレジットカード決済は優秀です。その人のカード支払いの滞納状況が一発で分かるわけですから、審査が簡単かつ安全になります。
人によってはカードを作れない人もいるのですが、大家にとってはカードを作れないほど信用情報がダメダメということが事前にわかるので安心です。
ソフトバンクやY!mobile(ワイモバイル)などの携帯電話会社は、クレジットカード決済にしか対応していません。それは、カード手数料を支払ってでも与信チェックを優先しているということだと思います。
利益が減っても与信チェックを優先する時代
不動産屋もこれからは、手数料を支払ってでも与信を確保することを優先して行かなくてはならない時代になると思います。
大家にとっては、クレジットカード会社が先に立て替えて支払ってくれるため、家賃滞納リスクが減ります。
また業者にとっても、家賃督促はクレジットカード会社が行ってくれるので得だと思います。
入居者にとっては、カード決済によりポイントが貯まるのでお得になると思います。
ということで、このクレジットカード決済、どんどん普及してもらって、家賃支払のデファクトスタンダードになればいいなと思います。
Next: まとめ:クレジットカード支払で得する人、損する人
まとめ:クレジットカード支払で得する人、損する人
<得する人>
- 入居者:ポイントが貯まる
- 大家さん:滞納リスクの減少
- 不動産業者:滞納家賃の請求業務が緩和
- カード会社:手数料収入がもらえる
<損する人>
- 滞納する入居者:クレジットカードが作れず入居できない
- 不動産業者:手数料支払が増加する
まとめてみると、大家さんにとってはメリットしかないですね。
不動産業者にとっては、滞納家賃の請求業務がなくなるし、そもそもの滞納が減る代わりに手数料の分だけ利益が減るのでトントンでしょうか。
滞納する入居者については、クレジットカード決済が普及すると、普通の家は借りられなくなります。
きっと、そういう時代になったら、「滞納してても住んでOK」みたいな、ワンランク下の賃貸サービスなんかも出てくることになるのでしょうね。そんな時代が来るのも、そう遠くないかもしれません。
『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』(2017年11月30日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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