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中国の年金って毎月いくら? 上海老夫婦に「隠居生活」のフトコロ事情を聞いてきました

アジアのローカル景気やおカネ事情を現地在住ウォッチャーがレポート。今回は中国・上海で年金生活を送るご夫婦に、毎日の暮らしぶりを聞いてみました!(取材・文 / ジンダオ)

【 取材時の為替レート:1人民元 = 約19円 】

中国の年金は毎月いくらですか? 元国家公務員のご夫婦に聞いてみる

大家好(だーじぁーはお)!皆さんコンニチワ。
路地ウラウォッチャー・中国担当の「ジンダオ」です。

今回は、上海で年金生活を送る上海人ご夫婦のお宅にお邪魔して、「中国人の老後ってどんな感じ?」をご紹介したいと思います!

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こちらが取材にご協力いただいた李ご夫妻。じつは私の友人のご両親です。

李貴宝さん(71)、李志勤さん(67)ご夫妻

李貴宝さん(お父さん)は71歳、李志勤さん(お母さん)は67歳。定期的に食事の席にお呼ばれすることもあり、私はお二人を「お父さん、お母さん」と呼んでいます(まさに上海の両親という感じで)。

お二人は友人からの紹介で出逢い、熱烈な恋愛を経て結ばれ、今年で結婚43年目だそう。いまでも仲の良いおしどり夫婦です。

いまのお住まいは、上海の金融街・浦東エリアにある110平米のマンション。すぐ近くに超高層ビルの上海環球金融中心を望み、夜には華やかなイルミネーションが楽しめる、申し分ないロケーションです。

そういえば、今まで聞いたことがありませんでしたが、ここって持ち家?それとも賃貸でしょうか?

「そりゃあ当然、持ち家だよ。この物件は2000年に110平米44万元(約836万円)で購入したんだ。当時は4,000元(約7.6万円)/平米だった。それがいま、このあたりの相場は35,000元(約66.5万円)/平米だ。経年を考慮しても350万元(約6,650万円)以上の価値がある。家は資産さ」

15年で約8倍の値上がりは、近年の日本では考えられない感覚ですね。

李さんはここ以外にも、上海郊外の松江区に一軒家をお持ちだそうで、「値上がりすると思って買ったんだけどね。まだあっちは発展途上だから、まだまだこれからだね」とのことです。

現在の李ご夫妻はずいぶん優雅なリタイア生活を送っているようですが、現役時代はどのようなお仕事をし、老後に備えて、これまでどんな準備をしてきたんでしょうか?

若かりし頃のお二人

日本人でも中国人でも、人は誰でも年を取るもの。やっぱり気になってしまいます。そこで貴宝さん(お父さん・71歳)に、お金のこと、健康のこと、趣味のこと…さらに突っ込んで聞いてみました!

Next: 1日2回は株価チェック 趣味に生きる李貴宝さん(71歳)の優雅な一日


路地ウラウォッチャー – ジンダオ

38歳・長崎市生まれ。中国上海に中国語ゼロで渡航して早11年目。語学留学を経て、語学学校の立ち上げ、中国横断3ヶ月バックパックなどドップリ中国にハマる生活。趣味は中華食べ歩きと中華アンティーク収集。訪中当初から中国人に間違えられるアジアンテイストな顔つきのお陰で、中国人に紛れ込むのはお手の物。

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1日2回は株価チェック 趣味に生きる李貴宝さん(71歳)の優雅な一日

貴宝さんの、典型的な1日のタイムスケジュールはこんな感じ!

05:30 起床
06:00 散歩
07:00 朝食
08:00 食料の買い出し
09:00 シャワーを浴びて、少しばかり休憩
09:30 株のチェック~午前の部
10:30 趣味の書道と画の時間
11:30 妻と昼食
12:30 お昼寝
14:00 株のチェック~午後の部
15:00 趣味の書道と画の時間
17:30 夕食
18:30 散歩。たまに凧揚げも
20:00 シャワーを浴びて、趣味の画と書道を楽しむ。たまにTVを見たりも
23:00 就寝

なんとも健康的かつ趣味中心の優雅な生活ですね。午前と午後の2回、株のチェックもしているようです。このあたりに資産構築の秘密があるかもしれません。お話を聞いてみましょう。

――朝食のあと、すぐ食料の買い出しに行くんですね。これは奥さんとご一緒に?

「あはは。買い出しは嫁ではなく俺の仕事なんだ(笑)」

――1日に2回、株のチェックをしています。投資歴は長いんですか?

「そう。株の利益で別宅を購入したこともある。いまは若い頃ほど頻繁に売買はしないけどね。機会を逃さないようチェックは欠かさないよ」

上海のランドマーク、上海環球金融中心はすぐそこ

――それ以外は、趣味の書道と絵画の時間が多いですね

「そのとおり。株以外では、趣味の書道と絵画三昧の毎日だ。合間には、なるべく散歩や運動の時間を設定して、体を動かすようにしている。なかなか充実した1日だろう?」

趣味の書道。プロとして他人に教えられる資格も持っている

羨ましいほど悠々自適の毎日を送る李ご夫妻。

志勤さん(お母さん・67歳)は毎朝9時頃に起きて、その日の食事の準備などをするそうですが、基本的にお父さんは別行動の時間が多いそう。

お母さんは空いた時間ができると、お散歩がてら近所の公園まで歌を歌いに行くそうです。

料理が上手な志勤さん。実は料理は貴宝さんから教えてもらったのだとか

資産運用だけでなく、日々の運動も欠かさないところが実に中国人らしいと感じます。とはいえ、先立つモノがなければ老後生活が成り立たないのは日本も中国も同じ!ですよね。

現在の収入や支出、老後に備えてやってきたことなど、さらに具体的に聞いてみましょう。

Next: 「3,800万円儲けた」李さんの老後の備えはずばり株。物価上昇の影響は?


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「3,800万円儲けた」李さんの老後の備えはずばり株。物価上昇の影響は?

――お父さんの現役時代のお仕事は?

房管所(房屋管理所)勤めだ。簡単に言うと国家公務員の一種だな。日本と違って、昔の中国では、部屋は政府の持ち物だった。だからその部屋を一つ一つ統括している管理局があって、そこで働いていたよ」

――それはたいへんな仕事でしたか?

「あははっ。まぁ公務員だからね、そんな特別な苦労はなかったよ!日本の公務員はどうなんだ?」

公務員時代の記念写真。前列いちばん右が貴宝さん

――いまは悠々自適の生活ですね。老後の蓄えはどうやってつくりましたか?

「ずばり株。公務員は安定しているが、現役当時は給料が良いわけではなかった。だから50歳から株を初めて、それで200万元(約3,800万円)くらい儲けてね。その利益で別宅を買ったりしたよ」

――現在の収入は?

「いまの収入は基本的に年金だね。今後変わる可能性はあるが、中国の年金は男性60歳、女性50歳から支給される。ウチの場合、俺が5,000元(約9.5万円)、嫁が3,000元(約5.7万円)、夫婦あわせて毎月8,000元(約15.2万円)になる。元公務員だから、一般的な民間企業より額は多めかな」

――上海は物価が上昇していますが、生活への影響は?

「たしかに生活費はアップしているが、年金もそれに合わせて上昇しているから、これといって生活に困るということはないよ」

――現在の支出は?

「年金収入はほぼぜんぶ生活費として消費している。この年齢になって、毎日の食事や買い物を切り詰めたくはないからね。それ以外の支出なら、いちばん大きいのは趣味の旅行だね」

――いままでどんな場所に行きましたか?

「これまでに旅行した国は、日本、台湾、韓国、シンガポール、ベトナム、カンボジア、オーストラリア、アメリカ、それに欧州6ヶ国だな。国内旅行もよく行ってるよ」

――ずいぶん精力的に各国を巡っているんですね

「年に1回は海外に足を延ばすようにしているんだ。今年の8月もオーストラリアに再訪するよ。やっぱり、動けるうちに動いて楽しまないとね、人生は」

Next: 将来に不安は?中国経済はこれからどうなる?李さんの答えは――


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将来に不安は?中国経済はこれからどうなる?李さんの答えは――

――今後の生活に不安は?

「正直言って、これといってないな(笑)将来のことをあまり考えてもしかたがない。動けるうちに動いて、遊んで、楽しんで、動けなくなったらそのとき考える。いまが一番楽しいし、問題は何もなし。息子もいるし、動けなくなったら、その時だよ」

――保険などには加入していますか?

「国の医療保険以外だと、60歳まで掛け金を支払えばいいタイプの生命保険があって、俺が2つ、嫁が1つ、加入しているよ」

――中国経済は今後どうなると思いますか?

「中国のGDPは例年2桁成長を続けてきたね。それが7%成長になって、景気が落ちてきたと心配している人がいるのは事実だ。ただ俺は、今までの2桁成長が異常だっただけだと思うんだよ。これからは安定した成長が続いていく。中国経済の将来は明るいんじゃないかな」

――いま、お金を一番使いたい!と思う瞬間は?

孫孝行だな。洋服を買ってあげたりして、喜ぶ顔が見たいからね。あとは、やっぱり夫婦で動けるうちに、旅行と食事にどんどんお金を使いたいかな」

李さんご夫妻の今のいちばんの楽しみは、息子が孫を連れて遊びに来てくれることだそう。「孫と話したり、遊んだり、老人にとっては孫と一緒の時間を過ごすのが一番よ」と奥さん。このあたりは日本と変わりませんね。

また、趣味の書道や絵画は、基本的に紙代程度しかかからず、月に数百元程度の出費。盆栽や、飼っている鳥のエサ代なども大した出費にはならないそうです。

海外旅行では奮発するいっぽうで、あまりお金がかからず、長く続けられる趣味もいろいろとお持ちなんですね。これは日本でも中国でも、老後の大切なポイントかも?

李さんは今年8月にオーストラリアを再訪予定ですが、実はこれは単なる観光旅行ではなく、国際文化交流イベントに出席するんです。

元教師の友人が、中国の書道や絵画を現地で広めたいと検討した結果、李さんに声が掛かったそうです。現地では、オーストラリア人に書道を教えたり、作品の販売を行うとのことで、趣味もここまでくるとまさに「ライフワーク」ですね。

いかがでしたでしょうか?私が今回取材して印象的だったのは、李さんご夫妻の羨ましいほどの悠々自適ぶり。

元国家公務員という、比較的恵まれた環境ではありますが、毎月の年金をあらかた使ってしまう積極的な支出スタイルや、中国経済の先行きに対する楽観的な見方など、(特に若い世代の)日本人の老後に対する意識とは「根本的に違うな~」と感じる部分がたくさんありました。

路地ウラウォッチャー – ジンダオ

38歳・長崎市生まれ。中国上海に中国語ゼロで渡航して早11年目。語学留学を経て、語学学校の立ち上げ、中国横断3ヶ月バックパックなどドップリ中国にハマる生活。趣味は中華食べ歩きと中華アンティーク収集。訪中当初から中国人に間違えられるアジアンテイストな顔つきのお陰で、中国人に紛れ込むのはお手の物。

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