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日本を襲う新たな貧困「ブロックチェーン格差」の自己責任を乗り越えろ=鈴木傾城

日本人は現金主義だ。しかし今後は「紙のお金のほうが堅実」という考え方そのものが、貧困の原因になっていく。格差の拡大は避けられない。どういうことか?(鈴木傾城)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

日本人よ、ビットコイン価格よりもブロックチェーンの衝撃を学べ

新たな貧困層は「現金主義」から生まれる

日本は未だに現金決済が主流である。それが堅実だと思う考え方そのものが、日本を「遅れた国」にしてしまう危険性が高い。

多くの人は、金融分野で起きつつあるイノベーション(技術革新)の重要性に気付いていない。

これから「紙のお金が駆逐される時代」に入る。最後まで紙を使っている人が時代の波に乗り遅れて貧困を余儀なくされ、イノベーションに乗れた人が生き残る社会と化す。

まず、思い出して欲しい。

インターネットの知識を持ち、使いこなし、それを日常に取り入れられた企業や個人が、真っ先に利便性を享受して大きな利益や見返りを手にしたことを。

まだインターネットが使えない人がいる。主に高齢者貧困層が時代に取り残された。

彼らは「自分には無縁だ」「分からないから使いたくない」という意識が強いので、いつでもインターネットを使える環境を整えられたとしてもそれをしない。その結果、完全に時代に取り残されて不利益の中で生きている。

今まさに、時代に取り残されようとしている人たち

もちろん、インターネットができなくても、現代社会で生きていこうと思えば生きていける。現に、高齢者の中には「一度もインターネットなるものを使ったことがない」という人も多い。

自分たちの子供や孫がそれを使って楽しんでいるのを横目で見ながら、あるいは街で若年層がスマートフォンで何かしているのを見ながら、自分たちは絶対にしない。

それで生きていけないのかと言われれば、そんなことはない。生きていける。しかし、この時代にインターネットを使わないで生きるというのは、あまりにも非効率で前時代的で危険な生き方だ。

インターネットをしている人間は彼らの非効率さが分かるのだが、インターネットをしない人間は自分の非効率さが正確に分からない

時代に遅れているのは薄々勘づいているのだが、どれだけ遅れているのかというのは分かっていない。インターネットを知らないのだから分からなくて当然だ。

これから来る金融分野のイノベーションは、それと同じインパクトがある。

紙のお金だけしか使わない人は、どんどん世の中から遅れていき、自分がどれだけ前時代的で危険な生き方をしているのか知らないまま取り残されていく。

失敗したら日本そのものに未来がなくなると気付け

憂慮すべきなのは、その人「だけ」が時代遅れになってしまうことではない。

日本のように「紙のお金を使うのが堅実」みたいなことを言っている人ばかりが増えていくと、日本全体が時代遅れになって国全体が次世代に取り残されてしまうのだ。

日本の未来のために、それだけは絶対に避けなければならない。失敗したら、日本そのものに未来がなくなる。

日本企業はインターネットで出遅れてアメリカの企業にすべておいしいところを持っていかれたことを認識すべきだ。

現在、インターネットを支配しているのは、アップルやグーグルやアマゾンやフェイスブック等、「すべて」アメリカ企業である。

スマートフォンの分野でも、日本の国民が昔ながらの携帯電話にこだわったために日本企業は壊滅した。

古くさいテキストベースの画面に使い勝手の悪いインターフェイスの携帯電話よりも、スマートフォンが世界を制覇するというのは最初から分かっていたはずだ。

それでも日本人は未来を見なかったので、日本企業は完全に出遅れて技術革新の最先端にあるべきスマートフォンの分野でまったく存在感を発揮できていない。

日本人は、能力があったのに先を読まなかった。それが躓きの石となった。できるのに手を打たなかった。それで巨大で重要な市場を逃してしまった。

Next: 経営者や政治家が「ブロックチェーン」を無視すれば日本は終わる



古いものにこだわって未来をスポイルしてしまった

「古くさい折りたたみ式の携帯電話なんか使うな。全力を賭けてスマートフォンに移行しろ。そうしないと日本は時代遅れになってしまう」と必死で日本人に語りかけるアナリストも、識者も、経営者も、政治家もいなかった。

日本の家電メーカーも折りたたみ式の携帯電話を製造中止にして「もうここには未来がない。日本人は全力でスマートフォンに移行せよ」とトップが命がけで日本人に訴えなければならなかったのだ。

日本のリーダーは誰もが事なかれ主義でやり過ごした

だから、いつまでもだらだらと古いものにこだわって未来をスポイルしてしまったのだ。

つまり、誰も「日本の未来」を真剣に考えなかったということだ。誰も危機感を覚えず、憂慮せず、新しい時代を切り拓こうとする気概も、勇気も足りなかった。技術も能力も揃っているのに、ビジョンが欠けていた

これまでは、そうだった。では来たるべき次の技術革新で、日本は同じ過ちを避けることができるのだろうか

次の技術革新は凄まじく巨大な波になる。人工知能ロボット自動運転仮想現実……と重要なイノベーションが目白押しになっているのだが、その中のひとつとして「ブロックチェーン」が勃興してきている。

これからの決済は国や銀行が信用を保障するのではなく、「ブロックチェーンという技術が信用を保障する」時代に入る。

ブロックチェーンとは何か。

簡単に言えば、取引履歴が記載された情報を暗号化し、そのデータをインターネットに接続された個々のコンピュータに保存して、取引のたびにデータを付け足していく技術を指している。

データは分散して保管されている。ブロックチェーンのデータを持っている機器はインターネットに膨大に存在するわけで、これをすべて改竄することは事実上不可能だ。

だから、取引は管理機関がなくても保障される。それがブロックチェーンという仕組みである。現在、このブロックチェーンの仕組みを利用して急速に台頭しているのが「ビットコイン」と呼ばれるものである。

Next: ビットコインではなく「ブロックチェーン」がイノベーションの真の主役



「ブロックチェーン」がイノベーションの真の主役

現在、ビットコインは投機の対象として見られ、海千山千のギャンブラーが価格を押し上げたり売り飛ばしたりして値が乱高下している。

街で普通に使おうと思っても、その通貨が去年の10倍の価格になっていたり、一日で20%も爆下げしたりするのであれば、安心して使える通貨とはなり得ない

ビットコインのみならず、ブロックチェーンの仕組みを使った暗号通貨のほとんどは、とても現実に使える通貨としての役割を果たしていない。投機の対象としては面白いが現実に使うのは難しい

ほとんどの人は投機はしないし、もともと通貨には投資しないのでビットコインの狂騒と狂乱は一部の人間が踊っているだけのものだ。バブルは目立つが、重要なのはバブルではない

真に重要なのは、「ブロックチェーンが確実に世の中を変える」という面である。ビットコインではなく「ブロックチェーン」がイノベーションの真の主役なのである。

今後、「暗号化・分散化されたデータによって信用が担保される」という仕組みがきちんと機能するようになる。

そうすると、取引は個人対個人で完結する。

銀行に取引履歴を担保させる必要はなくなるので、管理費用も手数料も発生しなくなる。あらゆる金銭取引で、銀行やクレジットカード会社などを介する必要がなくなる。

手数料が必要なくなるので少額決済に大きなメリットが生まれるのだが、逆に高額決済に関しても莫大な手数料が消えるのでメリットが発生する。

また、国をまたいだとしても、送金料など必要ないし、為替レートも考える必要がない。

自分が普段使っている「お金」が、世界中どこでも現地通貨の交換もなく、手数料も取られず、単位も変わらず使えるとしたら便利だと思わないだろうか。

世界が認知した暗号通貨が生まれれば、それがあっさりと実現するのである。

Next: 「紙のお金のほうが堅実」と、座して死を待つ古い日本人



座して死を待つ古い日本人

今後、「ブロックチェーン」の仕組みを利用したイノベーションも急激に台頭してくる。

そんな中で、日本人が「紙のお金を使うのが堅実」とか言って、いつまでも紙にこだわっていると、またもや日本は時代に取り残されて、それは大きな致命傷と化す。

だから、そうならないために、日本のアナリストも、識者も、経営者も、政治家も、そしてありとあらゆる業界のリーダーは総力で日本を変えていくために動かなければならないし、個人は「紙のお金を使っていると駄目だ」と意識を変えていかなければならない

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変わるのは悪いことではないのだ。そうした意識を持って「紙のお金」から脱却できた人が、真っ先に利便性を享受して大きな利益や見返りを手にすることができるからだ。


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ダークネスビットコインの価格よりも、ブロックチェーンの衝撃を学べ(2018年1月10日配信)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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