パウエルFRB新議長は2月27日、米下院で就任後初となる議会証言を行いました。力強い経済見通しと利上げ路線を明確にしましたが、これからFRBは難しい局面を迎えます。(『『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』連動メルマガ』児島康孝)
※本記事は有料メルマガ『『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』連動メルマガ』2018年2月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
「利上げ」してもしなくても悪材料に。新議長はどう乗り切るか?
利上げ路線が明確になった
パウエル新FRB議長は2月27日、米下院の金融サービス委員会で就任後初となる議会証言を行い、事実上のデビューを果たしました。
その内容は、「基本的に米国の景気は力強く、インフレ率も2%に向かっている」「徐々に利上げを行う」というものです。
マーケットは現段階で、今年は「4回の利上げがある」と予想しています。
イエレン氏の負の遺産
本来であればイエレン氏が、2017年にさらなる利上げを行うべきでした。
FRBは今まで、世間がまだ早いと思っていても、まさに本当の「フォワード・ルッキング」で、果敢に利上げを行ってきたのです。
しかしイエレン氏は、アメリカ大統領選挙で現職・民主党の政権に肩入れし、利上げを遅らせたのです。
つまり、2017年の本来の姿は、もう何回か利上げがあり、金利高と景気上昇が並行しているという状態だったのです。
しかし、民主党政権下で景気上昇を早く演出するため、いびつな金融政策を行ったわけです。
これが、パウエル新議長に重くのしかかります。
「利上げの負荷」は2018年へ
本来あるべき利上げの回数より、2017年に減らした分だけ、2018年にしわ寄せがいって利上げが多くなるということです。
これは、何を意味するのか。
アメリカのドルは、世界中で使われ、表・裏の産業などすべてで通用しています。これは日本の円のように、範囲が限られ、管理が厳しい通貨とは事情が異なります。
つまり、ムニューシン財務長官の発言で、急速なドル安が起き、トランプ大統領が「火消し」をしたように、何らかの要因でドル安が起きる可能性があるのです。
これは、ドルの信認という問題であり、日本の円の「円安」が歓迎されているような話とは、まったく異なります。ドルの通貨の価値が、消失するリスクとつながっているわけです。
これが、たびたび「ドル高は、アメリカの国益である」とアメリカ政府が表明している理由です。
Next: 今後も乱高下があり得る? パウエル議長が直面する壁とは
マーケットの大揺れは今後も続く
つまり、パウエル議長は、利上げをしないとドルの信認問題に火が付き、利上げをすると景気後退局面に利上げをすることになるという、極めて難しい金融政策のかじ取りを迫られるのです。
何らかのマジックがあれば別ですが、これは難しいです。
利上げをしなければ、ドルの信認問題。
利上げをすると、景気後退局面の利上げです。
パウエル新議長への交代早々にマーケットの大揺れがありましたが、それは、これからもあり得るということです。
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日本に影響を与えてきた欧米勢の勢力図が変化し、国際情勢も激変の時期を迎えています。トランプ政権の前の欧米勢力は、日本の1990年のバブル崩壊以降、日本の衰退を狙ってきました。超長期の経済サイクルである、コンドラチェフ・サイクルが、戦後最悪の大底でもあったことから、日本経済はデフレに陥り、低迷したままであったのです。ところが、トランプ政権の誕生以降、欧米勢の勢力は変化し、日本の今後も、大きく変わろうとしています。このメルマガでは、有料読者に限定して、ちょっと書きにくい話にも踏み込んで、欧米勢の動きをお伝えします。