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ギリシャは既に株式市場的には終わった問題?なぜそう言えるのか?

ギリシャ問題がいよいよ正念場を迎えています。デフォルトしてしまうのか?ギリシャはユーロを離脱するのか?など、気になるところですが、ギリシャ問題は「少なくとも株式市場的には終わった問題」と人気メルマガ『KA.Blog』では語っています。その理由とはどんなものなのでしょうか?

ギリシャはユーロに留まる?ギリシャ国民の7割が残留希望

イギリスで何でも賭けにするブックメーカーでは、ギリシャが年内ユーロ圏に残る確率は93%となって、ほとんど賭けが成立しない状態だとか。これが一般的な感覚であり常識でもあります。ブックメーカーによる予想はお金がかかっているので皆真剣に情報を収集した結果ですから、集合知の最たるものと言えるかも知れません。実際、スコットランド独立の選挙の際は、独立否決が圧倒的で賭けが成立しませんでした。

一応ギリシャ国民も離脱は望んでいませんし(6月上旬に実施した現地世論調査によると、国民の70%が「いかなる犠牲を払ってでもユーロ圏残留」を望むと回答)、なんだかんだで離脱されるとユーロが高くなることからドイツだってギリシャという弱者を囲っておきたいと考えています。そうなると、今回の話が最終的に本当に取り付く島もなく物別れというのはあり得ないでしょう。誰得なのか?って感じです。

残留が決定した場合は、結局来月もまた再来月も大量の債務償還にあたって危機説が唱えられるかも知れませんが、短期的には好感されます。

私のギリシャに対する姿勢は数ヶ月前から一貫して繰り返しているように、少なくとも株式市場的には終わった問題であると思っています。「全然市場はギリシャに翻弄されているじゃねーか」という突っ込みもあるでしょうが、どういう結末になろうとも、これで世界の株式市場が本筋としてクラッシュすることはないという認識です。ある意味、合意・拒否の予測を無視したシナリオで考えています。

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本気でギリシャ問題を心配している人なんているの?

実際、株式市場の方はその通り動いています。アメリカはNASDAQが今週最高値を更新。ダウやS&Pも高値圏を維持しています。日本株だってITバブル時の高値を上回ってきました。本気でギリシャ問題を心配している人なんて居るの?という感じです。

もうこれだけ数年前から騒がれて、各金融機関は十分備えています。アルゼンチンがデフォルトしても何も変わらないように、結局それによって世界の主要部分さえダメージを受けなければ何も問題はありません。あんな経済大国の中国の上海総合指数が7%を超える暴落をしても世界に悪影響が波及しないのは、あくまで本土の個人投資家がダメージを受けているだけで、内側でほとんど完結しているからです。

数年前にギリシャ危機が初めて表面化した当初は、ヨーロッパの各金融機関ギリシャ債を保有していたから問題になりました。しかしBloombergによれば現状大部分をECBや構築されたセーフティーネットである欧州金融安定化基金(EFSF)が保有しており、民間保有分は17%程度です。これだけ言われているのにギリシャ債券を買っている金融機関は単なる投機目的ですし、デフォルトしても完全に自業自得でしょう。

当然債券を保有していない人にも悪影響は出てきますが、そもそも世の中には様々なヘッジ手段が用意されていて、ユーロ売りのポジションは4月以降はちょっとずつ減ってきてはいるものの(それに合わせてユーロ高が進んでいますが)、相変わらず売り長で破綻に向けた準備がなされています。

ですから、破綻が決まればその後のイタリア・スペインに対する警戒感は引き続き残るとしても、個人的にはむしろ一旦出尽くしから世界同時株高の流れが出るとすら考えています。

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上昇トレンドは継続と考えて良さそう

一方で日本株を見ても空売り比率が連日30%を超えており、一定量心配して備えている人がいます。しかし決着はいつも後回しで、売り方が投げる→株価が上がるという流れを繰り返しています。ある意味、今みたいに決着を付けないままグダグダいった方が、株高の継続性に繋がるのかも知れませんね。

もう一つ間接的な証拠(?)として、足元で今度はウクライナのデフォルト話が出てきました。これはもう売り方がギリシャという悪材料をしゃぶり尽くしたので、新しい燃料を補充するためにもってきた悪材料とも言えます。今まで誰もウクライナのことなんて口の端に乗せていなかったじゃないか。えぇ、その通り。都合良くメディアにリリースされるように取りはからっているのでしょう。

そんなわけで、これで本当に子供の喧嘩のように感情論だけで一切の妥協無しに終わると瞬間的なネガティブサプライズは避けられないでしょうけれど、既に離脱シナリオまで織り込んだ株式市場ですから、間もなく上昇トレンドに回帰できると思います。ですから、どちらにせよ上昇トレンドが崩れることは無いと見ています。

そうしている一方で、個人的には正直諦めモードに入っていたTPPの合意が見えてきました。もし月内にTPAの合意がアメリカでなされないと、もう大統領選挙モードに入るのでオバマ政権下でのTPP合意は無いという話もありました。ところが先般無事TPAが可決したので、後は実務レベルでの話し合いで折り合いが付けば夏場の合意すら見えてくる流れになっており、個別株では今週TPP関連株が買われる流れになりました。

これは株式市場にとっては素直にプラスと思います。自分がTPPに賛成か反対かの論はともかく、投資家は状況に合わせて売買する他ありません。であれば、これはTPP参加国の株式市場にとっては基本的にはプラスに作用すると思います(株式市場に上場するような大企業はグローバル企業が多いため)。無論国別に業態毎で温度差がありますが、一つの大きな経済圏が立ち上がるわけですから、とにかくプラス要因ではあります。

そう考えると、足元結構良い雰囲気になってきているような感じもあります。ギリシャの話をひとまずクリアすれば、サマーラリー相場へと発展していく可能性は高そうです。これも繰り返しになりますが、今現在はアメリカの利上げ時期9月を勘案して、7月下旬~8月上旬が今年の天井説を堅持していますが、とりあえず目先しばらくの上昇トレンドは継続と考えて良いと思います。

KA.Blog』(2015年6月27日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による


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