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【2月米雇用統計】平均時給はさらに伸びそう。基本は「戻り売り」狙いで=ゆきママ

前回、2月2日に発表された米1月雇用統計から、市場の流れが大きく変わり、一段と円高・ドル安が進みました。最近の雇用統計は、なかなかトレンドの出ないイベントとして認識されていましたが、やはりサプライズがあれば話は別。今回もしっかり注目していただければと思います。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

基本は「戻り売り・ショート」で。今夜は流れに沿ったトレードを

悩ましい状態が続く為替相場

今年に入ってから円高が加速していますが、この短期間にこれだけ円高が進むと予想していたエコノミストは皆無に近いでしょう。理由についても後付けが多く、しっくりこれだというものはないように思います。

結局のところ、いろいろな材料が絡み合っていて、スッキリとした結論を出せないというのが現状なのでしょう。

なので、今回の雇用統計においても、最終的なトレード判断は市場全体の値動きを見ながらということになりそうです。

注目すべきは金利と株価の反応

前回、1月分の雇用統計発表時には、平均時給が前年比で予想を大きく上回ったため、インフレの加速見通しから、利上げペースの加速が意識されて米長期金利(10年債利回り)が上昇しました。

これにより、いわゆる日米金利差の拡大から、ドル円も発表直後こそ教科書通りに上値を伸ばしたものの、週明け以降は金利上昇を嫌気した株安により、反落するという値動きになっています。

したがって、今回も仮に平均時給が上振れするとすれば、金利や株価の値動きを確認しながらトレードをしていくということになるでしょう。

基本的に賃金の上昇はドル買い要因ですが、市場の受け止め方次第であり、解釈によって値動きは異なるという点を覚えておいていただければと思います。

もちろん、予想を下回る数字が出れば、基本的にはドル安要因です。しかしながら、それを受けて株価が大きく上昇するのであれば、リスクオンでドル円は下支え、反発まであり得ますので、その辺も踏まえた上で見ておきましょう。

Next: 先行指標と注目ポイントは? 前回の賃金上昇は寒波の影響との声



先行指標は好調!前回の賃金上昇は寒波の影響との声

それでは、いつものように先行指標や事前予想値、注意すべきポイントなどについて解説していきます。まずは先行指標から見ていきましょう。

先行指標の結果(数値はいずれも速報値)

先行指標の数字は、全体的に好調をキープしています。ISM(米供給管理協会)の調査における非製造業部門の雇用指数は前回から大きく下回っているものの、1月分が良すぎただけであり、分岐点となる50.0ポイントは大幅に上回っているため、特段問題のある数字ではありません。

まずまず好調な数字が並んでいるので、市場の期待感としてもそこそこありそうです。ですので、事前予想値を下回ってしまうようだと、少なくともあまりポジティブには受け取られないでしょう。

そして、最も注目すべき平均時給(賃金上昇率)については、前月比+0.2%・前年同月比+2.8%と、こちらもしっかりとした伸びが期待されています。

ちなみに、前回の1月分は前年同月比で+2.9%という伸びを見せ、市場に衝撃が走る結果となりましたが、寒波の影響による労働時間の減少が時間換算の平均時給を押し上げたという指摘もあります。

今回は寒波の影響がなくなり、労働時間は前回よりは伸びることが予想されるため、そんなに過度に賃金の上昇を織り込まなくて良いと考えています。しかし、逆に労働時間が伸び、かつ賃金も上昇という結果になれば、いよいよ賃金インフレは本物という見方で相場が荒れる可能性がありますので、労働時間の推移にも注目しながら結果を分析する必要があるでしょう。

Next: 今夜のトレード戦略は? 極短期ならロングも面白いが…



極短期ならロングも面白いが、基本は「戻り売り」

昨日から今日にかけて、ドル円は一段と上昇し、目先のレジスタンス(上値抵抗)となっている21日移動平均線(106.90円近辺)にタッチしています。

ドル円チャート(日足)

要因としては、トランプ大統領が鉄鋼とアルミに関税を適用したものの、NAFTA(北米自由貿易協定)で交渉を続けているメキシコやカナダは一時的に除外されるなど、バランスのとれた内容だったこと、さらには今朝、米朝首脳会談に北朝鮮が意欲、核開発凍結といった報道がなされたことがあります。

全体的にリスクオン(選好)の流れとなり、ドル円は反発していますが、トランプ政権の軸足は引き続き保護主義的であり、政策的にもドル安を志向しているのは明らか。また、北朝鮮の動向も相場にとって本質的な材料ではありませんから、1~3ヶ月といった少し長めのスパンで考えた時のトレードの基本は、ドル円は戻り売り・ショートということになるでしょう。

本稿執筆時点(15:00)のレートが1ドル=106.60円近辺となっていますが、発表前に107円台にしっかり乗せていれば、雇用統計の数字次第では日足ベースの抵抗ポイントである、107.80~107.90円ぐらいまで戻してくることは想定できます。

したがって、今夜はノーサプライズでまずまず好調な数字が出る可能性が高いと考えて、デイトレ意識で今の水準から軽くロング(買い)で入るというのは決して悪くない戦略ではあるでしょう。売られすぎたドルの修正というのも、ある程度は期待できますからね。

しかしながら、やはり108円、109円といった数字を見込んで行くためには、それなりに材料が重ならないと難しそうですから、リスクを避けるのであれば、今夜は結果を受けての天井を確認し、戻り売りがベターと考えています。

冒頭でも書いたように、悩ましい相場となっていますが、悩ましく分からない時こそトレンドを重視し、流れに沿ったトレードを続けていきたいところでしょう。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2018年3月9日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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