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相続の落とし穴「故人の不動産がどこにあるのかわからない」を解決する方法=山田和美

相続ではよく「故人がどんな財産を持っていたかわからない」という問題が起こります。そこで今回は、故人の持っていた不動産を調べる方法を解説します。(『こころをつなぐ、相続のハナシ』山田和美)

プロフィール:山田和美(やまだかずみ)
1986年愛知県稲沢市生まれ。行政書士、なごみ行政書士事務所所長。大学では心理学を学び、在学中に行政書士、ファイナンシャルプランナー、個人情報保護士等の資格を取得。名古屋市内のコンサルファームに入社し、相続手続の綜合コンサルに従事。その後事業承継コンサルタント・経営計画策定サポートの部署を経て、2014年愛知県一宮市にてなごみ行政書士事務所を開業。

価値の低い不動産、共有物件などが盲点に。どうやって探し出す?

故人の財産がわからずに困るケースは多い

さて、相続が起きて、残されたご家族が困られるケースの1つに、「故人がどんな財産を持っていたかわからない」というものがあります。

同居をしていたのならまだしも、離れて暮らしているような場合には、いくら親子や兄弟であっても、財産の全容を把握しているケースの方が少ないかもしれません。

そこで今回は、故人の持っていた不動産を調べる方法について解説していきます。

固定資産税の「課税明細書」から探す

まず、残念ながら、どこかに問い合わせることで日本全国すべての不動産が名寄せできるような仕組みは、今のところありません。

一方、市町村単位であれば、その人の持っていた不動産の一覧を取得することが可能です。

ただ、日本全国の市町村すべてに問い合わせることは現実的ではありません。まずは、どの市町村に不動産を持っていたかを把握することがスタートです。

一般的に、ご自宅などで見つけやすい資料としては、「固定資産税の課税明細書」があります。これは、毎年5月頃に、固定資産税を支払ってねという通知が市町村から送られるものです。

この中に、不動産の一覧が載っていますので、これを見ることで、所有している不動産がわかるわけです。

しかし、この資料を過信してはいけません。この通知はあくまでも固定資産税を賦課する目的で送られてくるものです。

そのため、

についてはこの一覧に載って来ませんので、注意が必要です。

固定資産税の課税明細が見つかったら、その市町村に、このほかに故人が所有していた不動産はなかったか、問い合わせをされると良いでしょう。

ご家族からの問い合わせであればお電話等で答えてくれる場合もありますし、書面で請求をする必要がある場合もあります。

Next: 情報がないと財産を探すのは非常に困難。市町村の次に連絡するところは?



権利書や登記簿謄本を根気よく探す

その他には、家の中を探して頂き、不動産の権利書や登記簿謄本などを見つけて頂くのも、手がかりを知る1つです。

(本来は権利書があれば確実なのですが、大事なもの故にしまいこんであり見つけられないケースもあるため、より見つけやすい課税明細から確認をされた方が、早いと思います。)

こうして地道に家の中を探し、不動産を所有していた形跡のある資料を探し、そのうえで市町村役場へ問い合わせていきます。

市町村に問い合わせて終わりではない

さて、市町村に問い合わせて、これで終わりではありません。

なぜなら、固定資産税の課税明細は、実際の名義と異なっている場合もあるためです。

例えば、実際は祖父のまま名義変更をしていないのに、固定資産税を支払っている父の元に通知が来ている、というようなケースもあります。

また、不動産を共有している場合にも、共有割合は載っていないことがほとんどです。

そのため、市町村への問い合わせで不動産の概要が分かったら、次の「法務局」で、その不動産の謄本(全部事項証明書)を取得します。

謄本を確認することで、現在の所有者や共有割合などが正しくわかるためです。

探すのは非常に困難。生前に書き残しておきたい

いずれにしても、情報がない状態から財産を探すのは、非常に困難です。

そのため、財産を残すかたの立場としては、ぜひ、どこに何があるのか、書き残しておいて欲しいと思います。

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こころをつなぐ、相続のハナシ』(2018年4月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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