富裕層の悪知恵。「一般社団法人」を使って相続税を10分の1にする手口=大村大次郎

国民すべてに等しく課せられている「納税の義務」、のはずなのですが…、法律の抜け穴を巧みに突いたやり口で、相続税や贈与税を逃れている不埒な人間もいるようです。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では著者で元国税調査官の大村さんが、一般社団法人を利用して無税で財産を身内に移す手口や事業用の土地を10分の1以下の税額で相続する方法を紹介しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2017年12月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

土地も金も無税で相続。金持ちはこうして財産を身内に移している

相続税の抜け穴~社団法人を使った逃税術とは?

相続税の抜け穴に、「社団法人」というものがあります。「社団法人」というのは、剰余金の分配を目的としない法人のことです。社団法人というと、公益的な事業を行うようなイメージがありますが、必ずしもそうではありません。社団法人には、「公益社団法人」と「一般社団法人」というものがあり、「一般社団法人」が行う事業には、公益性は求められていません。つまりは公益性がなくても社団法人をつくることができるのです。

以前は、社団や財団というと、必ず公益性が求められていたのですが、平成20年12月1日に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」という法律が施行され、公益性がなくても「一般財団法人」「一般社団法人」というものが、つくれるようになりました。「一般社団法人」は、普通にアパート経営をしたり、いろんな収益事業を行うなど、企業としての活動をしても構わないのです。ほとんど普通の法人会社)のようですね。

「一般社団法人」と普通の法人(企業)と何が違うのか、というと、「配当の分配をしない」ということです。普通の法人(企業)であれば、事業を行なって、利益が出れば株主に配当を支払います。しかし、社団法人の場合は、配当はさずに、利益は法人の中に貯め置かれるのです。一般社団法人と普通の法人の違いは、その点だけといってもいいでしょう。他にも若干の違いはありますが、もっとも特徴的な部分は、そこだけです。

そして以前は、社団というのは、官庁の許可がないとつくれませんでした。しかし、現在は、一定の要件さえ満たせば、誰でもつくれるようになったのです。一定の要件というのも、「発起人が2名以上いる」「登記をする」というくらいの簡単なものなのです。だから、つくろうと思えば誰でもつくれるのです。

社団法人の逃税スキームとは?

社団法人が、なぜ金持ちの節税アイテムになっているかというと、社団は、税金の面で非常に大きな特典を持っているからなのです。資産家が社団を作って、自分のお金を拠出するときには税金がかかりません。普通、自分の資産をだれかにあげたりすれば、贈与税がかかってしまいます。贈与せずに、死後に譲った場合は相続税がかかります。しかし社団にあげることにすれば贈与税も相続税もかからないのです。

そして、その社団の運営権は、簡単に他の誰かに譲り渡すことができます。だから、自分の財産を社団につぎ込み、社団の運営権を自分の親族に渡せば、事実上、相続税を払わずに自分の資産を親族に移すことができるのです。

社団の運営には、官公庁も一応、指導をすることになっていますが、それも甘いものです。だから社団のお金の使い道は、設立者、運営者の意のままなのです。

社団の活動は、その構成員の協議で決められる、という建前があります。でも社団の構成員は、創設者の息がかかった人しかいないので、実質的に社団の資産は、作った人の思いのままになるのです。第三者を入れなくてはならないという法律もなければ財産の運用をチェックする外部機関もないのです。

この社団法人を使った相続税逃れは、現在、税務当局で対策が講じられており、法改正されて抜け穴を封じるように検討されています。さすがに、それはそうでしょうね。

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