毎年恒例、各社発表の2018年に起こるかもしれない「びっくり10大予想」を集めてみました。それぞれの予想を読み解くことで、共通のテーマが見えてきます。(『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』東条雅彦)
世界情勢は?仮想通貨は? ブラックストーンほか各社予想まとめ
毎年恒例の「びっくり予想」とは?
毎年、この時期になると、各社(主にシンクタンク、投資会社、証券会社)から、その年に起こるかもしれない「びっくり10大予想」が発表されます。
元祖びっくり予想はウォール街のご意見番、米投資会社ブラックストーンのバイロン・ウィーン副会長が1986年から毎年発表しているものです。バイロン・ウィーン氏はびっくり予想を「起こりそうもないことの中から確率50%で起こりうる予想」だと定義しています。つまり、元々、起こる可能性は低いけど、でも、もし当たったらみんなビックリするだろうという予想になります。
では、本当にこのびっくり予想は当たるのでしょうか?
過去に、バイロン・ウィーン氏は「2000年のITバブル」「2008年の米景気後退」等を的中させています。毎年、10個の予想のうち、1つぐらいは的中させています。そのため、完全に無視はできない状況になっており、年初には毎年、注目を集めています。
去年のウィーン氏のびっくり予想の中には次のような予想がありました。
<ウィーン氏の予想(2017年)>
S&P500種株価指数は12%高。米主要企業の収益が拡大する。財政赤字の拡大への懸念を伴いながらもS&P500種株価指数は(16年末比12%高い)2500に上昇する。
お見事です! 2017年のS&P500は2249ドルから2673ドル(18.8%高い)に上昇しました。ウィーン氏は見事に的中させています。
見事に的中していた仮想通貨暴騰
2017年に起きたことで最も目を引いたのは、ビットコイン等の仮想通貨の暴騰でしょう。2017年は「仮想通貨の元年」とも言える年だったと思います。どんな投資対象よりも仮想通貨に投資していた投資家がボロ勝ちしています。
最も時価総額の大きいビットコインは1年で15倍になりました。時価総額2位のリップルは360倍、3位のイーサリアムは95倍です。時価総額の小さいマイナーなアルトコイン(通称「草コイン」)の中には、1年で1000倍以上も上がったものもあります。FXや株式投資をやっている人からすると、信じられないパフォーマンスだと思います。
それでは、事前にこの仮想通貨の暴騰を言い当てていた会社はあったのでしょうか?
先程のウィーン氏の予想には、仮想通貨については一切、触れられていませんでした。見事に的中させていたのは「サクソバンク」です。
サクソバンクはデンマーク・コペンハーゲンに本拠を置く投資銀行で、毎年、尖ったびっくり予想を発表することでも知られています。2017年の大胆予想にて仮想通貨について次のように予言していました。
<サクソバンクの予想(2017年)>
仮想通貨の人気に伴ってビットコインが大幅に上昇! 来年のビットコインの価値が3倍となり、現在の700ドルから2,100ドルを超える水準まで容易に上昇する可能性があります。
2017年、ビットコインはサクソバンクの予想を遥かに上回って一時1万9,511ドルまで上昇しました。
ただ、いずれにしても、2017年の年初の時点では大半の人は仮想通貨がここまで暴騰するとは認識していなかったはずです。びっくり予想に仮想通貨バブルに言及していただけでも、凄いと思います。さすが毎年、他社よりも尖ったびっくり予想を打ち出すサクソバンクです。
各社のびっくり予想を集めたら、何か傾向が見えてくるのでは?
びっくり予想は元々、当たらないことが前提になっています。そもそも、「びっくり」させる必要があるので、当然といえば当然です。
それでは、このびっくり予想はまったく奇想天外な話が盛り込んで、みんなを驚かすことだけを目的にしているのでしょうか?
いえ、そんなことはありません。ある程度、大局を読みながら、人々の予想を上回ることをわざと狙って打ち出しています。その予想の根本には何かしらのファンダメンタルズがあると思われます。予想の根本になっているファンダメンタルズを意図的に拡張して、未来を推定しているから毎年10個の予想のうち、1つぐらいは見事に的中できていると考えるべきです。
そこで、私は各社のびっくり予想をまとめてチェックして、共通事項を見つけることによって、その予想のベースとなるファンダメンタルズを逆算で導き出せるのでは!?と考えました。
まずは各社のびっくり予想をチェックしていきましょう。