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【7月米雇用統計】利上げは今年で打ち止めか。鍵を握る平均時給でドル円はどう動く?=ゆきママ

投資家にとってのプレミアム・フライデー、今日は米雇用統計が21時30分(日本時間)に発表されます。今回も最大の焦点は平均時給(賃金上昇率)となり、先の先を見据えた市場を満足させられるかが鍵となりそうです。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

今夜は1ドル=111.4~112.2円を想定。有効なトレード戦略は?

今年4回の利上げは確定的!

2日未明に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の政策声明では、アメリカの経済活動が力強い速度で拡大しているとの景気判断もあり、次回9月、さらに12月の2回の利上げは、ほぼ確実視されています。

実際問題として、アメリカの景気は非常に良く、企業収益も過去最高レベルに高まっています。アメリカ一強、ドル一強という構図です。

一方で、完全雇用により加速度的に上がると期待されていた賃金の伸びは停滞を続けており、当然、個人消費もイマイチ。来年にはリセッション(景気後退局面)入りとの声も強く、警戒感を滲ませるエコノミストも多いのが現状です。

注目は来年の利上げへ…

こういった背景から、今年いっぱいは利上げするにしても、来年はそろそろ打ち止めでは?といった見方が強まっています。いわゆる中立金利(景気に対して緩和的でも引き締め的でもない中立的な金利)に近づいているということですね。

というわけで、これまで通り米金利高≒ドル高と材料視するサイクルが続くのであれば、来年以降も利上げを継続するというシナリオが必要になってきそうで、そのためには何度も繰り返している通り、平均時給の伸びが鍵となるでしょう。

すでに市場は今年残り2回の利上げは織り込んでいますし、アメリカ経済が好調なのは百も承知。今日はプラスアルファ的な要素が出てこないと、上値を伸ばしていくのは少し厳しい気がします。

Next: ひたすらレンジ感が漂うドル円。気になる先行指標や事前予想値は?



先行指標は良好で強めの結果を織り込みか

それでは、先行指標や事前予想値を確認していきましょう。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

ご覧のように、前回(6月)から比べて先行指標は良好な数字が並んでいます。少し停滞感の漂い始めた製造業において、雇用指数が小じっかりとしているのは心強いです。一般に、サービス業よりも賃金水準は高いとされていますからね。

ただ、平均時給は前月比+0.3%・前年比+2.7%と控えめな数字となっています。特に前年比でFRBの目標下限である+3.0%に近い数字、+2.9%という結果になれば市場へのインパクトがありそうですが、そうでない限りは、当たり前に当たり前の良好な結果が出たということで、さほどドル買い機運は高まらないでしょう。

ひたすらレンジ感の漂うドル円

アメリカの経済が強い、それは誰もが分かっていることですが、結局は上げきれず、ひたすらレンジ相場が続いているのが今のドル円相場です。

結局のところ、今年はドルよりも円の上げ下げが大きく影響していますから、ドル単体でドル高基調になったとしても、イマイチ伸びきれないんですね。当然のことながら、今夜もその傾向はあるでしょう。

ドル円チャート

ジワジワ下値を切り上げながら、右肩上がりの値動きは続いているものの、基本的にはほとんどレンジで、少しずつ上がって急落…のパターンを繰り返しています。

現状では、111.00円近辺の底堅さ、割り込んでも110.00円ラインといった大台の節目、ちょうどそこに位置する200日移動平均線(111.040円)に支えられているので、過度な下値不安が高まりにくくなっています。

Next: 今夜は1ドル=111.40~112.20円を想定! 有効なトレード戦略は?



今夜はレンジ想定でエントリーを! 1ドル=111.40~112.20円を想定

なので、トレード戦略としては、まずまず良好な数字が出ると考えるのであれば、現状の水準(1ドル=111.65円)のレンジ下限付近からのロング・押し目買いということになるでしょう。平均時給が予想を上回ってくれば、追っかけ買いもありだとは思います。

ただし、112円台の定着には失敗していますし、先月も年初来高値にチャレンジしたものの、見事に失敗してしまいましたから、112円台は基本的に叩かれやすい水準であり、売り場を探すのが無難といったところでしょう。

112.20円といったレンジ上限をあっさり突き抜けない限りは、112.00円近辺では利食いして、様子を見ながらショートするタイミングを狙っていきたいですね。

というわけで、今夜の雇用統計はレンジ想定で上下でエントリーを狙っていけば良いのかなと思います。

また、何度も書いている通り、指標でトレンドが発生するのは稀ですから、事前予想値からよほどの乖離がない限りは、基本的に全戻しパターンを想定しておきましょう。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2018年8月3日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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