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NYダウは弱気パターンの年、10月までに安値2万3,344ドル近くまで下げるか=伊藤智洋

NYダウは、1月26日の高値2万6,616ドルが本年の最高値となって、本年が弱気パターンの年になると推測しています。年末までの展開について考えます。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2018年8月26日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(ドル円、NYダウの今後のシナリオ)もすぐ読めます。

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

チャートでは上昇局面に見えるが…値動きをパワートレンドで読む

財政政策の好材料は出尽くした

NYダウは、1月26日の高値2万6,616ドルが本年の最高値となって、本年が弱気パターンの年になると推測しています。

その理由は、政策金利を引き上げ、マネタリーベースを減らす方向へと政策が変化し、財政政策の材料も出尽くしたと推測できるためです。

政策金利の引き上げは2015年12月から、マネタリーベースは2014年8月から横ばい、減少傾向へ変化しています。

米国のマネタリーベースの推移

昨年までは、トランプ大統領が選挙で話した減税金融規制の緩和公共投資など、米国の株式市場全体にプラスと受け止められる材料を実行できるか否かが注目され、それらを妥協しながらも議会での承認を得ることができたため、株式市場が全体で上昇の流れを作りやすい環境にありました。

金融政策の緩やかな転換を包み込むことのできる材料は、昨年でほぼ出尽くして、本年の焦点が貿易問題へと移っています。

今年の米国市場は弱気パターン

財政政策での材料が出尽くしている状況で、金融政策も緩やかな引き締めから、やや強めの引き締めへと入る可能性があります。

長期の予測は、物が上から下へ落ちることと同じ程度にそうなる可能性があることを基準にする必要があります。短期の予測は、人の積極的な行動の先を客観的に判断することで推測できます。

株式市場では、金融・財政政策が長期的な流れを示すものだと考えられます。短期の予測は、価格が勢いの強い流れへ入っているときだけ、その勢いが継続するか否かを確認することができるに過ぎません。

以上のことを考慮すると、本年は、米国株式市場の上昇から値幅の伴った調整(下降)への転換点の年になると推測できます。

その際、本年末までのどこかで天井をつけて、下降を開始すると考えることができます。NYダウの1月末から2月にかけての下げ幅は、年間の変動幅の目安となる2000ドルを大きく上回る値幅になっています。

すでに年間の変動幅を消化している状況で、積極的な買い材料が出尽くしている(個別銘柄と全体の材料は異なります)わけですから、本年は、戻り高値26616ドルを大幅に超えて、上げ続けられると考えるのが難しいと言えます。

したがって、本年は、2万6,616ドルが最高値になって、弱気パターンの年になると推測できます。

Next: チャートでは上昇に見える場面、今後のNYダウの値動きは?



チャートでは上昇に見える場面だが…

4月2日以降、NYダウは、上値、下値を切り下げて、上昇の流れを作っています。6月28日以降は、上昇が勢いづいていて、2万6,616ドルを目指す流れへ入っている可能性があると見ることもできる値動きとなっています。

チャートだけを見ていると、上昇する可能性を考えておく必要のある場面です。

一方で、前述した長期の予測の基準にしている見方を優先するなら、今後の価格が2万6,616ドルを目指す動きにならないわけですから、その前の戻り高値である2月27日の高値2万5,800ドル付近で上値を抑えられるという見方が有力になります。

私の中の優先順位は、2万5,800ドル付近で上値を抑えられるという動きになります。そのため、8月27日以降は、下降の流れへ入る準備の動きになるという見方になります。

このことを他人に話す場合、2万5,800ドル付近で上値を抑えられるか否かについて、まったく根拠を示すことができません。先のことなど、結果でしかわからないからです。27日以降、NYダウが下がり始めて、もしかしたら、下げるかもしれないという展開をシナリオの1つに加える程度の提案しかできないのです。

少額の投資家が利益を出すには、何を信じるのかという柱になるものを持つしかありません。しかし、そこに手持ちのお金の増減が加わると、長期的な予測など関係なくなり、目先の投資金額の増減にはらはらどきどきしだします。

今回のようなケースでは、株価が下がると推測しているなら、損失が膨らみやすい状況になっているため、本年が2万6,616ドルを越えることもあるのではと疑いたくなります。

どこまで信じて、勇気を持った売りを入れることができるかが、勝敗を決します。

10月までに安値2万3,344ドル近くまで下げる?

1年間の展開の予測は、日柄を経過するごとにシナリオが絞られ、精度が高くなります。

本年が弱気パターンの年になる場合、NYダウは、2万6,616ドルを越える展開にはならず、10月頃までの期間で、最低でも4月の安値2万3,344ドル近くまで下げるという見方が有力です。

2月27日~4月2日までと同程度の期間で、同程度の値幅の下げになる展開が最も緩やかな動きということになります。

だとすれば、本年が弱気パターンの年になる場合、残された展開は限られています。

8月27日から下げの流れを作るか、週明け後に8月21日の高値2万5,888ドルを越えたとしても、すぐに上値を抑えられる動きになると考えられます。

NYダウ日足

目先の価格が一段高となれば、それだけ、上値を抑えられる動き方が急激になると推測できます。

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『少額投資家のための売買戦略』』(2018年8月26日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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