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今週の日本市場は決算発表が行方を左右?企業収益が下支えとなるか=馬渕治好

企業の決算発表が増加する今週、結果によっては市場心理が改善される可能性もありそうです。先週・今週の市場分析と合わせて、展望をお伝えします。(『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』)

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企業の決算発表が増加する今週、結果によっては市場心理が改善される可能性もありそうです。先週・今週の市場分析と合わせて、展望をお伝えします。

馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」2018/10/28号より

過ぎし花~先週(10/22~10/26)の世界経済・市場を振り返って

<波乱が持続し、主要国の株価は想定以上の下落、為替相場も円高気味に>

先週の世界市場は波乱が持続し、主要国の株価は想定以上に売られてしまいました。特に日本発の悪材料がとりわけないにもかかわらず、日本株の下落は他国と比べて大きいものとなりました。為替相場も、円高気味となりましたが、米ドルは対円での下落は他通貨と比べて限定的でした。

とは言っても、これまでと同様、そこまで主要国の株価が下落すべき要因は見出しにくく、短期的に売られ過ぎである、という見解は変わりません。

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来たる花~今週(10/29~11/2)の世界経済・市場の動きについて

<材料が多いなか、日米の企業収益がさすがに株価の下支えとして働こう>

今週は、日本でも企業決算の発表が本格化します。さすがに決算内容や企業側の収益見通しの上方修正が、株価にとってすべて「空振り」になるとは想定しがたく、一旦の株価の持ち直しを見込んでいます。

また、米国で注目度が高い経済指標の発表など、材料は多くはありますが、主要な株式市場は、足元の「まだ」好調な企業決算と心理悪との綱引きが中心で、今週は米経済指標は大きな材料とはなりにくいでしょう。

今週の日本市場は、決算発表の行方が材料に

今週は米国に続いて、日本でも企業の決算発表社数が増えてきます。これまで米国では、足元の収益が強くても、先行きの見通しの弱さを掘り起こして悪材料として騒いできました。ただ、強弱どちらの点を企業決算で注目するのかは、市場心理によるところも大きいです。「まだ」好調な企業収益実態と心理悪の綱引きで、心理悪に歯止めがかかれば、素直に決算が評価される局面もありそうです。

また、日本企業の場合、4~6月の四半期決算実績が好調でも、年度通期の収益見通しを据え置いた企業が多かったです。その分、かえって今回上方修正が多く行なわれ、企業側が自社の慎重な見通しを、アナリストの収益予想水準に近付ける展開になると期待されます。

他にも材料は多くあります。ただ、上で述べたような、企業決算が株式市場の材料の中心となるでしょう。外為市場も、最近は主要国の株価動向をにらんで、動いている感が強いです。

とは言うものの、そうした「他の材料」としては、米国の経済指標の発表が挙げられます。毎月恒例のことではありますが、そうした指標の主なものは、下記の通りです(日付は発表日、全て10月分の統計、カッコ内は(9月実績→10月市場予想))。

10/31(水)ADP雇用統計(雇用者数前月比:23.0万人→18.9万人)

11/1(木)ISM製造業指数(59.8→59.0)

11/2(金)雇用統計(非農業部門雇用者数:13.4万人増→19.0万人増、失業率:3.7%→3.7%)

10/30(火)~31(水)は、日銀の金融政策決定会合が開催されます。今回は、金融政策の変更は、全くないでしょう。ただ、会合後の総裁の記者会見では、先行きの長期金利の誘導方向について、質問が多いものと考えられます。

また10/31(水)には、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が日銀から公表されます(展望レポートについては、「理解の種」でも述べます)。3か月に一度公表されるこのレポートでは、前回7月には、物価上昇率の見通しが下方修正されました。今回も下方修正が行なわれる(日銀の金融緩和のメリットが一段と小さいことが示される)かどうか、注目されます。

Next: 海外投資家は日本市場を「ヘリ」だと思っている?その理由とは



盛りの花~世界経済・市場の注目点

<日本は「ヘリ」?>

先週の日本の株式市況が脆弱(日本発の悪材料が大してないにもかかわらず、他国の株価が下振れすると、他国以上に日本株が下落してしまう)であった、という点は述べました。また、こうした脆弱性が、今回だけではなく、過去も良く生じた、ということも語りました。そうした日本の株式市況の脆弱性は、なぜ生じているのでしょうか。

それについては、海外投資家から筆者は、「日本は経済も株式市場も「ヘリ(margin)だ」とよく言われます。つまり、この「ヘリ」という言い方は、日本は経済にも市場にも、しっかりとした「核」がない、ということを指しているのです。

まず経済面で日米を比べてみると、米国経済は内需というしっかりとした「核」があると言えます。これに対し、日本は輸出依存度(輸出額÷名目GDP)が13.1%と、アメリカの7.8%より高い状態です(2016年の数値、総務省統計局「世界の統計2018」から)。

別に、輸出依存度が高いだけで日本経済が悪い、というわけではありません。ただ、日本からの輸出額を品目別にみると、自動車と自動車部品で約2割を占めており(2017年、以下も同じ)、自動車への依存度が高すぎると言われます。ただ、それ以上に、一般機械が2割、電気機械が18%を占めている点も注目しています。こうした機械類のなかには消費者向けもあるが、半導体製造装置、金属加工機械(工作機械、プレス機械など)、建設・鉱山用機械、産業用ロボットといった、企業向けの最終製品や、それを支える半導体、電子部品が多いのです。

本来は「ヘリ」となるべき海外勢に振り回される日本市場

つまり、世界の設備投資や建設投資に左右される品目が、日本からの輸出に多いわけです。こうした投資は、人間の判断により増減される度合いが大きいです。たとえば、世界の景気が持ち直すと、経営者などが強気になって一気に投資を増やしますが、景気に陰りが出ると、企業の心理が慎重化して投資が一気に削られる、ということがしばしば起きます。

世界の経済において、設備投資や建設投資は「核」ではなく、その周辺の「ヘリ」として大きく増減します。そして、日本からの輸出はその「ヘリ」に依存しており、個人消費などの日本の内需(本来であれば「核」)の成長性が限られると、日本経済全体が「ヘリ」に振り回されやすいことになります。

日本の経済が「ヘリ」として振り回されれば、当然株価も振り回されます。ただ、それだけではなく、日本の株式市場でも、「核」が力不足だと考えます。

海外投資家は、決して日本の経済や企業収益だけに基づいて、日本株を売買しているわけではありません。たとえば、グローバルに資金を運用する海外投資家が、米国の株価が上がるとリスクをもっと取ろうと前向きになって日本株も買う、米国株が下落するとリスクを回避しようとして日本株も売る、といったことがあるでしょう。また、コンピュータプログラムに基づいて株価を売買する海外短期筋は、株価の勢いや日経VIなど株価変動率を示すデータで、日本株を買ったり売ったりすることもあるでしょう。

本来は、そうした海外勢は、日本の株式市場にとって「ヘリ」であり、国内の投資家がしっかりと売買していれば「核」になるはずです。しかし実際には、海外投資家の売買シェアが高く、日本の経済以上に日本の株価が振り回されていると言えましょう。

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※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』2018年10月28日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した項目もすぐ読めます。

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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2018年10月28日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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