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根拠なき「偽りのリスクオン」日米株価とドル円の反動安に要警戒=投資アドバイザー・長谷川雅一

10月19日の日経平均株価は18,131円で大引けを迎えました。前週末比160円安と反落してはいますが、依然として18,000円台はキープしています。投資アドバイザーの長谷川雅一さんはここ最近の相場の値動きに対し、もっと円高、株安にふれてもおかしくないのでは?むしろ円高、株安にならないのは不自然なのでは?と疑問を投げかけています。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』)

プロフィール:長谷川雅一(はせがわまさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、自動売買ソフトの開発、投資教室、メルマガの執筆など、多忙な日々を送っている。

根拠なき堅調相場、本来の「自然な状態」は円高、株安では?

経済が悪いから市場が安定するというおかしな状態

このところのマーケットは、リスクオンだかリスクオフだか、よくわからない、方向感の定まらない動きになっています。

10月12日週も、いったんリスクオフ的な動きになり、米ドル/円は118円付近まで下落しました。ところが、週末にかけて買いが優勢となり、米ドル/円は119.50円付近まで戻して引けています。NYダウも74ドル上昇と堅調な引けでした。

米ドル円 日足(SBI証券提供)


NYダウ 日足(SBI証券提供)

「年内にはなさそうだ」と言われていたアメリカの利上げが、ここへ来て、「年内の利上げはない」という確信に変わったことで株式市場が安定。そこに、日本やEUの「追加金融緩和期待」が加わって、相場が上向いているという状況です。

ただ、これは、おかしな話ですよね。だって、アメリカが金利を上げられないのは、世界経済の成長が鈍化し、その影響で米国経済にも「かげり」が見えてきているからです。

最近は、「アメリカは金利を上げるどころか、下げるのではないか」という見方すら出てきています。つまり、「アメリカが金融緩和を再開する可能性もある」というレベルにまで、米国経済が「怪しく」なってきているわけです。しかし、「利上げなし」なら「株を買え」ということで株が買われ、「株式市場安定」なら「ドル買いだ」ということで、ドルが買われているわけです。

経済が悪いからマーケットが安定しているという、この状況。ちょっとおかしいと思いませんか?

現在の米ドルは割高?上昇の材料が尽き、徐々に下落トレンドへ

米ドル/円は、2014年8月には102円ほどでした。それが今や120円。125円もありました。1年ちょいで2割も上昇しているわけですが、この上昇を支えたのは、「アメリカは利上げに向かう。日本は金融緩和を続ける」という経済政策の落差による「ドル買い」でした。

ところが、ここへ来て、「アメリカの利上げ」が怪しくなり、日本の「金融緩和」も、これ以上やるかどうかは不透明な状況。つまり、いつの間にかドル買いの根拠がなくなってしまったわけです。

それでもまだ、米ドル/円は120円付近を保っているわけですが、これもちょっと不自然です。現在の米ドル/円は割高ではないか?という疑問がわいてきます。

実際、米ドル/円は、8月24日にいったん116円に接近したあと122円近辺まで反発。そのあとは、徐々に頭が重くなり、少しずつ、上値と下値を切り下げています。つまり、微妙な「下落トレンド」に入っています。

チャートを見ても、このあと121円を抜くのは難しい形。むしろ、再度116円に接近していく可能性が高いのではないか、という形です。じわりじわりと、米ドルに売りが入っているわけです。

米ドル/円 週足(SBI証券提供)


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効果ありなんてウソだ!金融緩和失敗の責任を取らされるのは国民

日本の大胆な「金融緩和」ですが、これは決して、このあと何年も持続可能なものではありません。しかも、その効果は限定的。政府や日銀は「効果あり」と胸を張っていますが、経済指標や景況感を見れば、「ウソだ!効果なんてないじゃないか!」と突っ込みたくなります。

そもそも、これまでの金融緩和に「効果がなかった」からこそ、今、「追加金融緩和がありそうだ」という「期待」あるいは「催促」が出てきている。それを忘れてはなりません。

今の日本政府は「やりたい放題」ですから、さらなる「追加金融緩和」をやるかもしれません。しかし、このあとまた無理矢理、追加の金融緩和をやっても、その効果は従来と同様、限定的でしょう。しかも、その反作用、副作用が、いつどんな形で出てくるか、わからないのです。

日経平均はまだ、18,000円台をキープしていますが、日本市場も、なんとも「怪しい」感じです。

日経平均株価 週足(SBI証券提供)

今の株価は、言うまでもなく政府の「株価操作」の賜(たまもの)です。政府による株の買い支えも、永久に続けることは無理であるばかりか、やめた瞬間に強烈な反動が来るわけで、やめることも難しい。

今の政府に、「金融政策のこの先は、どうするの?このまま続けて大丈夫?」と聞いても、明確に答えられる人はいません。この大胆な(=無謀な)金融緩和で日本経済がひっくり返っても、責任を取る人などいないのです。

ただし「責任を取らされる人」はいます。それは言うまでもなく、我々、一般国民です。だから政府は安心して「ムチャ」ができるのです。

「不自然」な株高・円安相場が「自然」に戻る時の反動に注意

こうしたことを考えると、株はもっと安いのが自然ではないか?為替も、もっと円高なのが自然ではないか?という気がします。

一国の政府がコントロールできるほど、世界のマーケットの規模は小さくありません。そのうち、今の「不自然な相場」が、「自然な状態」に戻ろうとする時が来るのではないかと思います。

その「自然な状態」は、とりあえず「円高、株安」だろう、と僕は思っています。しかし、それでは終わらず「(円高ではなく)超円安、超株安」になるかもしれません。

あなたはどうお考えでしょうか?

【関連】利上げどころかマイナス金利に?イエレンと地区連銀総裁の気になる発言

長谷川雅一のハッピーライフマガジン』2015/10/17号より一部抜粋
※太字、小見出しはMONEY VOICE編集部による

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