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イスラム国と裏で繋がるトルコ・エルドアン大統領の「B層」扇動術

10月25日に渋谷・トルコ大使館前で起きたトルコ人とクルド人の乱闘騒ぎ。この事件の発端は、トルコの首都アンカラで10月10日に起こった自爆テロによって、大勢のクルド族が犠牲になったことでした。

トルコのエルドアン大統領は、テロ発生直後に「犯人はイスラム国だ」と非難しましたが、彼は実際にはイスラム国と繋がり、裏で大きな利益を得ています。そして、クルド族にトルコ国民の怒りを集中させて、B層のトルコ国民を扇動することによって、権力のさらなる拡大を画策しているのです。(『カレイドスコープ』のメルマガ)

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構造的に日本と似ている、トルコ国内でのクルド人を巡る内紛

陰謀だらけの摩訶不思議で危険な国

東京・渋谷にあるトルコ大使館前でのトルコ人とクルド人との紛争が長引いています。

日本のメディアでは、「11月1日の在外投票を巡って、トルコ人とクルド系双方が、極右系政党や非合法武装組織の旗を掲げるなどし、これが騒動の発端になったとの情報もある」と報じられています。(編注:トルコ人口の10~30%はクルド系と推計されている)

しかし、当のトルコ大使館の男性職員は、「私には乱闘の理由も原因も分からない」と話していると言います。

彼は、嘘を言っていません。本当に乱闘の理由が分からないのです。

地中海に面しているトルコから遥か彼方の日本で、なぜ、これほどの憎しみが噴出しているのか、日本人には、まったく見当もつかないのです。

陰謀の数々が、まるで網の目のように入り組んだ摩訶不思議の国・トルコの深い闇を知ったからといって、日本に何の関係がある?

すぐ先の未来――数ヵ月先――には、ほとんど関係がありません。しかし、数年後には、「今、こうなってしまったのは、あのときのトルコのせいかもしれない」と多くの人々が思うでしょう。

日本のメディアは、トルコの政情に関心が薄いせいか、常に部族間抗争の視点から報道するので、日本人はますます混乱してしまうのです。

そうした枝葉末節をバサッと一気に切り捨てて、重要な骨格だけを残すと、それほど難しくないだろうし、今後を予想できるようになります。

とにかく、9.11のような、どんな大規模なイベントでも、マララを「平和の使者」として広告塔に使う小さなイベントでも、あるいは、イベントと言うにはあまりにも不謹慎で、世界中が慟哭したアイランちゃんの悲しい死のような、欧米の主流メディア(100%企業の資本によって運営されている)が、こぞって報道する出来事の背景には、「まったく信じられないほど人間離れした悪鬼」がいることを決して忘れないでください。

それは、1つとして例外はありません。すべての事象の背後には、それを仕掛けた人間がいるのです。

彼らの目的は、すべてにおいて、「金と権力」です。こうしたことは、善意の人間が多い日本人には、なかなか理解できないことなのです。

Next: 日本人が知らない「トルコ大使館前騒動」根底にある理由


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日本人が知らない「トルコ大使館前騒動」根底にある理由

まず、原因と結論をまとめておきます。

今回のトルコ大使館騒動は、10月10日、トルコの首都アンカラで起こった自爆テロによって、大勢のクルド族が犠牲になったことが発端です。トルコ政府によるクルド族への弾圧は、今回に始まったことではありませんが、暴動の発火点になったのは、確かにアンカラの自爆テロです。

現在、クルド族は、シリア、イラク、イラン、トルコに約3200万人が分散していると推定されています。そのうち、トルコへの集中はもっとも大きく、約3200万人のうち約1500万人のクルド族がトルコ国内に住んでいます。

もっとも、トルコの人口調査では、グルド族は国民としてカウントされないので、彼らがトルコの全人口のうち、何割を占めているのかは正確にわかっていませんが、推計では約10%から最大で30%であると考えられています。

クルド言語は英語や他の西洋言語とともに、インド・ヨーロッパ語族のグループの一部でありながら、トルコでは特に、住んでいる国の利点を享受しない、あるいは、享受できない気の毒な立場に追いやられている世界最大の民族グループです。

トルコ政府は、トルコ人単一民族主義を取っており、クルド人の存在は認めていません。クルド人はトルコ政府が排除したい民族なのです。

今、トルコでは日本と同様、極右政党の政治家が権力をいっそう拡大しつつあります。

クルド族弾圧の先頭に立っているのが同国の第12代大統領、レジェップ・タイイップ・エルドアンです。

民主主義が発達した現在のトルコの憲法では、そうやすやすと、議会の議員を刑務所に入れたり、恫喝したりすることができないようになっています。しかし、トルコの公正発展党(AKP)は、クルド族が多い野党議員の逮捕を容易にしようと、恐ろしい法案を通そうとしています。

こうした極右政党の台頭は日本だけではなく、世界的に見られる傾向です。

特に、トルコでは日本と同様、エルドアンという独裁者が、クルド族にトルコ国民の怒りを集中させて、B層のトルコ国民を扇動することによって権力のさらなる拡大を画策しているのです。

そうした状況下で起きたのが、アンカラ駅前で起こった自爆テロです。大勢のグルド族が殺されました。

10日、アンカラ駅前広場では、クルド人や左派グループが、再燃しているトルコ人とクルド人の反体制勢力の衝突を終わらせるように政府へ求めるデモンストレーションを行っていました。

エルドアン大統領は、自爆テロ勃発直後、間髪入れずこう言いました。「犯人はイスラム国だ」。しかし、イスラム国は犯行声明を出していません。

エルドアンは、イスラム国憎しの演出をしてイスラム国と敵対しているかのように装っていますが、実はイスラム国から大いなる恩恵を受けているのです。

Next: イスラム国が盗んだ石油で儲け、負傷したテロリストを手当てする


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イスラム国が盗んだ石油で儲け、負傷したテロリストを手当てする

エルドアンの息子は、イラクでイスラム国が盗んだ石油を世界市場で売りさばく一方で、エルドリアンの娘は、負傷したテロリストの傷の手当てをする病院を運営しています。当然、病院の上得意は、イスラム国の戦闘員でしょう。

これについては、ロシアのスプートニクの記事「ISの石油密売ルートはトルコ領内、元CIA職員の判断」が報じています。

イスラム国の物資は、トルコ経由で入ってきている」というドイチェ・ヴェレ(DW)の記事を覚えているでしょうか。

つまり、イスラム国のマスクを脱ぐと、その下にはエルドアンの顔が出てくるのです。

独裁者、エルドアンに楯突く者は容赦しない、ということです。そのターゲットになっているのがクルド人です。クルド人は、イスラム国最大の敵です。だから、よりいっそう、エルドアンはクルド人を迫害したいのです。

これによって、「言うことを聞かないクルド人をやっつけろ」と無知なトルコ人が扇動されており、ますますエルドアン人気を高めることに動員されているのです。

その結果、無知なトルコ国民は、無意識にエルドアンに超独裁を許し、クルド人はますます迫害されることになるのです。そして、最後には、愚かなことに、エルドアンを応援している右傾化したトルコ人も同じ運命を辿るのです。

クルド人は、イスラム国最大の敵です。

シリアやイラクでイスラム国と戦っている、女性民兵を含むクルド族軍隊の勇敢で知的な振る舞いは、世界の称賛を浴び、そのような民族国家を作るために、クルド人の権利に関する雄弁な議論を創り出しているのです。

エルドアンのような権力者にとって、簡単に極右に洗脳することができるB層トルコ人とは違って、決して権力に屈服しないクルド人の自主独立の精神ほど恐ろしいものはないのです。

Next: 世界中で起こっていることは、いずれ日本でも起こる


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世界中で起こっていることは、いずれ日本でも起こる

トルコのクルド人を巡る内紛は、構造的には日本で起こっていることに非常に似ています。これは、世界中で起こっていることなのです。

つまり…世界中は、とっくに気がついています。エルドアンや安倍晋三を操っているのは、メディアに姿を現してはいるものの、人々が気にも留めないほど目立たない奥の奥にいるグループです。

その目的は、世界的な超独裁体制を構築するために、右と左に分断して紛争を起こし、第一段階として、その国の国力を削ぐことによって国家の転覆を図っているのです。

だから、「右翼だ、左翼だ」と大騒ぎしている連中ほど、支配者の術中に嵌められている悲惨な人々なのです。あるのは、「世界支配層と私たち平民」、この2種類だけです。

「右翼・左翼」の二元論は、彼らの正体を隠すための道具に使われているに過ぎないのです。早く気がつかないと、トルコは第3次世界大戦に引き込まれてしまうかもしれません。

日本人は、少しずつではありますが、この辺りの真相に気が付き始めています。しかし、日本のメディアは、アメリカの企業メディアや、ロスチャイルドのロイターより真実を報じていません。

目下のところ、国民にもっとも敵対しているのは、安倍晋三という男に愚直なほど忠実なメディア群です――


好評配信中の『カレイドスコープのメルマガ』10月31日臨時増刊号では、この続きとして以下の内容を紹介しています。

欧州理事会は反エルドリアン勢力を犯人に仕立て上げ、間接的にイスラム国を支援している

最も信頼できる反グローバリズム学者、ウェブスター・タープリー教授の分析

トルコ政権与党の政治家や官僚の一部は、イスラム国から多大な恩恵を受けている

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「カレイドスコープ」のメルマガ』(2015年10月31日臨時増刊号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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