マネーボイス メニュー

戦後最長の好景気もついに終焉?今回の暴落はどんな大底を形成するのか=山崎和邦

著名経営者20人に対して行われる日経新聞の正月アンケートで、昨年は概ねの回答が的中した。このアンケートが的中した翌年はトンデモナイことが起こるが…。(山崎和邦)

※本記事は、有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』(罫線・資料付)*相場を読み解く2019年1月6日号の一部抜粋です。最新の1月分の定期購読はこちらからどうぞ。

セリング・クライマックスがいつもあるとは限らない

恒例の日経新聞の正月アンケートが的中した翌年は…

著名経営者20人から聞いた株価と日本経済についてのアンケートである。今年1月1日のそれには、例年にないある特色がある。

例年は「前半安、後半高」が経営者の習わしである。今年増資をするとか設備投資するとかいうことを目論んでいる企業は後半が明るくなければいけないであろう。また、6月の株主総会も控えていることだ。後半を明るく言いたい。代表取締役に対するアンケートはそういうバイアスを含んでいると思いながら見るほうがいいと思う。そこでほぼ全員か8~9割以上の者が「前半安の後半高」と言う

ところが、今年は違う。今年は20人のうちの6人が「前半高で後半安」だと言う。これはある意味では異例なことだ。ただ、安値は1万8,000円、高値は平均すると2万4,500円という具合で20人共に小幅な往来相場であるとしている。

この正月予想の1年後にこれを振り返ってみて、全員が的中した場合にはその翌年にはトンデモナイことが起こる

一つは72年の正月アンケートである。大発会近辺を年内安値とし、大納会近辺を年内高値で終わった。これは全員が的中した。その翌年1月24日で過剰流動性相場は終焉して暴落を演じ、その年の第1次オイルショックでとどめを刺され、そこから日本経済の高度成長の終焉も同時に起こり、ゼロ成長またはマイナス成長(これを「安定成長」と呼んだ)に移行した。

次は89年の正月アンケートである。全員が的中した。大発会近辺を安値とし大納会が史上最高値だった。その翌年大発会から大暴落で始まった。そしてその年のうちに日経平均は約半値になってしまった。これが「大正9年以来の70年ぶりの大暴落」「平成金融不況の警鐘のシグナル」であった。

全員が一致した場合は、その翌年は劇的なことが起こる。昨年2018年正月のアンケートは全員が的中していたわけではないが、概ね前半安(3月最安値を付けた)の後半高(10月2日が年内高値を付けた)であり、高値の限界を2万5,000円と言っていた人が多かったのも(2万4,400円だったから)概ね的中したと見て良い。

そうすると、19年は全員が「やや的中した翌年に相当する」と見て良い。そうすると2019年は「ややトンデモナイこと」が起こるという占いになる。

Next: 株価に大きな影響を与える、2019年最大のイベントとは?



今年最大のイベントは米国景気と日本景気の終焉だ

今年の最大のイベントは戦後最長を記録した日本景気と、米国景気の終焉である。

ヒトゴトではなく日本景気も戦後最長記録を記録して、これも終焉を迎える。株価は先行して下げる。つまり10月2日に最高値を迎えた後、3ヶ月で約5,500円下がったことはアベノミクス大相場の終焉の「理想売り(観念売り。本稿では『逆・青春期相場』と言おう)」である。

実勢はいまだ良好であり、企業決算は好調であり雇用も好調である。にもかかわらず、株だけが勝手に下げ始める。これは「現在は暗いが将来を買う」という青春期相場の真逆であり、「現在の実勢は良いが将来を売る」というものであり、逆・青春期相場とでも言うものである。

2012年12月から始まって、2013年5月末まで短期間で約8割上がった青春期相場の時に「青春期相場が最も激烈で全ての銘柄が上がる。あばたもえくぼで上がる。現実は暗いのに夢を買うのだ。そこは峻厳なる現実の世界ではなく豊富なる可能の世界だ。人はこの夢に鼓舞されて無茶苦茶に買う」と述べた。木佐森吉太郎はこれを「厳寒の中に咲く一輪のフクジュソウを見て人は春爛漫を想定する」と述べた。これであった。

逆・青春期相場もこれである。実勢は良いが将来の厳寒を小春日和のうちに売っておく。それは初動のうちの方が激烈である。次に逆・壮年期相場(実勢を売る)が来るはずである。

ただし、大底のつけ方は次の項目で述べるように常に一定とは限らない。今回を除いては史上最長だった「いざなぎ景気」(65年11月~70年7月)の大相場では日経平均は2.5倍になって、その大底は1年間でつけてしまった

しかも▲25%で完了した。しかも「コツンと来た」という鋭角的なセリング・クライマックスを経ずに、銘柄別に個々に大底を付けてダラダラとした鍋底型大底(ソーサ型大底)であった。

大底は必ずしも、03年春にりそな銀行に2.2兆円を注入したのを最後として、金融不安の終焉の時のV字型回復、または09年のリーマンショック後の暴落の後のV字型回復の時のようにセリング・クライマックスを迎えてV字型回復するものとは限らない。だからこそ本稿では相当以前からキャッシュポジションを高めて好機を待とうと呼びかけてきた。

Next: 毎回おなじとは限らない、大底のパターンとは?



大底の付け方にもいろいろある

現在の景気第16循環の遥か昔、史上最長だった「いざなぎ景気」の時の大相場は始動点から2倍半になったが、その終焉は「鍋底型大底1,971円(71年1月)」で約1年後に形成されて、その大底から5,359円の列島改造バブル(円高介入での過剰流動性バブル)の大天井(73年1月)まで2倍半になった。しかも正味2年間であった。

大底の付け方にもいろいろある。03年春の大底や09年春の大底は、鋭角的な誰の目にも(ただし、キャッシュポジションを高めに確保しておいた人々には)見える明確な大底観であった。

繰り返すが、大底の付け方にもいろいろある。09年のような明確なWボトム(毛抜き型大底)ではなく、16年2月と6月のような1円違いの綺麗なWボトムでもなく、トリプルボトム(逆三尊型大底)でもなく、鍋底型(ソーサ型)大底というのもある。

このことは今のうちから述べておきたい。

しかも、大天井からの日柄は一定ではない。「いざなぎ崩れ」の大底のような1年という短い例(上述)もあるし、所得倍増政策中の大天井(61年7月)から「昭和40年不況」の大底(65年7月)のような満4年というのもある。

平成バブルの大底のような13年(90年~03年)という長きにわたった例もある。(もっとも、「2倍以上」を大相場と言ってきたが、「6割高」という相場はその13年間に3回あった)。

続きはご購読ください。初月無料です<残約17,000文字>

アベノミクス終焉の序幕式は済んだから週明けは高い──但し中間反騰だ

次は実勢悪を見る時がくる

PBRとPERから見た19年の展望──観念売りから実勢売りへ

長期的なシナリオに見識のない大手証券の言い分

今後の市況概観-アベノミクス相場の正味6年間の「完結編の儀式」は一応済んだ。今後は「実勢悪を売る時代」になる

警戒サインが灯っている

「財政の崖」より心配なトランプの政策運営──政権幹部の乱暴な人事

中国景気の減速が加速する

昨年は戌年だった、「戌は笑う」であったか──9人の投資家の概略

海外勢の売り越し13兆円

戦後最長の好景気は「拡大期」から「山」を越えて「後退期」へ向かうであろう

19年の景気と株価「大胆予測」

「環太平洋経済連携協定(TPP11)」が12月30日発効

武者陵司氏、超長期の超強気見通し──日本株式の新時代に

※これらの項目は有料メルマガ購読者限定コンテンツです →いますぐ初月無料購読!


※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報 「投機の流儀 (罫線・資料付)」*相場を読み解く』2019年1月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

image by: Dmitry Birin / Shutterstock.com

【関連】PayPay祭で燃え尽きたキャッシュレス化の灯火。カード業界から見る孫正義「5つの誤算」とは?=岩田昭男

【関連】2019年末までに日経平均4万円超えか、今年の「10大リスク要因」から円・日本株の動向を読む=矢口新

【関連】2019年、安倍政権は米ロに引導を渡される?日本経済を襲う政治リスクと4つの壁=斎藤満貨

山崎和邦 週報「投機の流儀(罫線・資料付)」』(2019年1月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

山崎和邦 週報 「投機の流儀 (罫線・資料付)」

[月額3,000円(税込) 毎週日曜日(年末年始を除く)]
大人気メルマガ『山崎和邦 週報「投機の流儀」』のHTMLデラックス版をお届けします。テキストメルマガではできなかったチャートや図解を用いた解説も掲載。より読みやすく、理解しやすく進化しました。投資歴55年を超える現役投資家だからこそ言える経験に裏打ちされた言葉は投資のヒントが盛りだくさん。ぜひご購読ください。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。