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PayPay祭で燃え尽きたキャッシュレス化の灯火。カード業界から見る孫正義「5つの誤算」とは?=岩田昭男

昨年末に世間を賑わせた「PayPay祭」は、日本のキャッシュレス化促進に貢献するのだろうか。私は5つの理由から、先般のキャンペーンは失敗だったと見ている。(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)

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プロフィール:岩田昭男(いわたあきお)
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。

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わずか10日で終わった「PayPay祭」

昨年末、家電店で繰り広げられた「PayPay祭」はわずか10日間で打ち切られた。

PayPayで買い物すると「20%還元」され、しかも「40回に1回はくじ引きで全額返還」という魅力的なキャンペーンであったが、あまりに多くの人が家電店に押し寄せて電子レンジや冷蔵庫、それにテレビなどをまとめ買いしたためにあっという間に100億円の資金が底をつき、12月4日から4ヶ月間予定のキャンペーンがわずか10日で終了となってしまったのだ。

10日で終わったということは単純に計算して上限10万円を10万人に10日間配り続けたということになる。

QRコード決済の「認知度」を大きく上げたが…

そのため、このキャンペーンが成功だったのか、失敗だったのかという論議がいまだに喧しく行われている。ただ、いろいろ言われているものの、やはりPayPayを始めとするQRコード決済の認知を全国に広めた功績は大きい。

連日テレビや新聞で大きく報道されたから、一般のビジネスマンや主婦までもQRコード決済の存在を知り、その仕組みもおおまかには分かったことだろう。これはヤフーとソフトバンクという大企業がバックにいるPayPayでなければできなかったことだ。

しかし、それを差し引いても直後のシステム障害不正利用の多発など、今回のサービススタートに関しては多くの課題があった。

とくにカード業界の人たちは1カ月以上経過した今も「『100億円あげちゃうキャンペーン』については、違和感を覚える」とそれぞれが感想を述べている。

こうした声を集めて、今回のキャンペーンから見えてきたPayPayの誤算を5つに絞って考えてみた。

PayPayの誤算その1:キャンペーンの進め方がおかしかった

「締め切りが3月末だから、ゆっくり構えられると準備をはじめた時に中止となったので、ショックでした。たった10日間で終わったわけですから、利用者軽視です。これはまずいですよ」(流通系カードA社員)。

キャンペーン終了まで4カ月はあると思っていた人たちは、わずか10日間で終わりと知って混乱し、怒った。

原因は、あまりの人気に予算が追いつかず、キャンペーンを途中で中止せざるをえなくなったこと。基本的にキャンペーン期間を設定しながら、同時に予算を使い切ったらやめるという別の方針を出したせいで、結局は最悪の事態に陥ったのだ。

手本となったのが、中国アリペイのキャンペーンであった。国慶節の時など、「全額返金キャンペーン」や「5%・10%・15%割引」になるキャンペーンをしばしばやっている。

親密な関係にあるPayPayもこれをマネて実行したのだが、アリペイでさえ、決めた期限は何があってもしっかり守るし、金額を決めて提供する場合も最初に「早い者勝ち」と銘打ってキャンペーンをやるから途中で中止になったことがない。

今回のPayPayは2つの決まりを同時に走らせたために、あとで取り返しがつかないことになった。利用者の印象も悪いものにした。

「楽天カードの『山分けキャンペーン』のように、上限を自由に設定してリスクをヘッジする技を使えばよかったのに、知らなかったのかな」(カード情報専門サイト担当者)

という指摘もあった。状況に応じて上限を設けたり、柔軟な対応をすれば、ここまで騒ぎが大きくならずに済んだことは事実だ。カードビジネスに習熟している人がアドバイスしていればソフトランディングできたかもしれない。

Next: なぜ皆がハッピーにならなかった?盛況だったのは家電量販店とコンビニだけ…

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