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PayPay祭で燃え尽きたキャッシュレス化の灯火。カード業界から見る孫正義「5つの誤算」とは?=岩田昭男

PayPayの誤算その4:アーリーアダプターと呼ばれるマニアの人をターゲットにして、話題づくりを先行させ、一般の人をおいてけぼりに

利用者でも、PayPayが狙ったのは、家電好き、ポイント好き、ネットショッピング好きというアーリーアダプター、つまりマニアであった。

この人たちをターゲットにすれば、SNSで拡散してくれるので、立ち上がりが早いと読んだのだ。また、利用者も急速に増えると思ったのだろう。

実際、この期間で190万人の新会員があったというから、その作戦は当たったといってよい。しかし、このマニア層がいるネットでは十分にメッセージが届いたが、リアル中心の本当の顧客にはほとんど届かなかったと言われる。

PayPayの誤算その5:アーリーアダプターはチェリーピッカーということを知らない。本当のお客ではないから、騙されないか今後が心配だ

PayPayはアーリーアダプターたちの本心を読み違えている可能性がある。

アーリーアダプターたちは、またの名をチェリーピッカーと呼ばれている。チェリーピッカーとは実だけをとって、さっさと逃げてしまう連中のことで、彼らはポイントについてはよく知っている。還元率が高い店に集まり、ポイントだけとって、他の買い物は一切しないから、店にとっても、カード会社にとっても歓迎できない客なのである。

PayPayにはまだこの認識がないので、1月10日から始まるポイント還元から大変な目にあうのではないかと、心配する声があるのだ。

PayPay側とすると、今回のキャンペーンで配った100億円は還元され、その多くがまた利用者のPayPayに返ってくるわけで、PayPayとしては次の売上に回せるとみている。PayPayはそこで、再びアーリーアダプターたちを焚きつけて家電量販店を儲けさせられると考えている。

しかし、その循環が起こるかどうかについては疑問に思っている。というのは、還元率20%で返ってきたポイントをアーリーアダプターが再び家電量販店で0.5%の還元率で使うかどうか、これは難しい問題だと思う。

とにかく還元率に敏感な人たちだから、いくらお金が返ってきても還元率が0.5%であったら魅力がないので、決して使わない(ファミマで焼きとりを買うくらいか)。

家電購入で使うとすると、もっと大規模な10%~15%のキャンペーンが始まった時だろう。それまでは塩漬けにしておくつもりではないか。したがって、ここに期待するのは馬鹿げているのだ。

というのもカード業界の人はこの人たちに何度も煮え湯を飲まされているからだ。彼らはいつもポイントだけを摘み取って逃げてしまった

例えば、2005年頃には「Edyを使ってANAマイルを貯める」ことが流行った。このときに規約スレスレの裏技を使ってマイルを大量に取り込んだのがこのマニアたちだったからだ。航空会社もカード会社もこのときは大きな痛手を受けている。

また、最近では、ジャックス系の高還元率カードがブームとなり、ここでも裏技で不法にポイントを貯めるマニアがいて、カード業界は痛い目にあっているから、カード業界はこの人たちに警戒心を解いていない。それが分かっているから、1月のポイント還元を筆者は注目してみているのである。

この辺をよく知っているカード会社の見方は厳しい。

「還元率20%に釣られて皆が買い物をしましたが、0.5%になって、また買うとは限らないでしょう。還元率に敏感な人たちですから、40分の1に落ちた還元率では、買い物はそのままにしておくという人が多いのではないですか。しかも、2度・3度とキャンペーンを繰り返しても、そのやり方だとそのお金をチェリーピッカーにプレゼントして終わってしまいそうだ。本来のキャッシュレスの広がりには全くつながらないという悲しいことになりそうだ」(流通系カードC社員)

つまり、家電とコンビニだけに加盟店を集中させていても、サービスの広がりは得られないということになりそうだ。キャンペーンの波及効果を得るためにも、もっとPayPayの店を増やさないとお話にならないということだろう。そのためにもPayPay側が本気で加盟店開拓に乗り出す必要がある。

最後に今後について述べておこう。

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