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2019年末までに日経平均4万円超えか、今年の「10大リスク要因」から円・日本株の動向を読む=矢口新

2019年は、過去3年で大きく育った変化の潮流が吹き荒れる年になると見ている。2018年を回顧しながら、今年の10大リスク要因と円・日本株の動きについて解説したい。(『相場はあなたの夢をかなえる —有料版—』矢口新)

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プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

何を買っても儲かった時代は終焉へ。消費増税ほかリスク要因は?

2019年の動きを過去から読む

2018年の相場は荒れた。私は、2016年に始まった大きな変化が、小康状態の2017年相場を経て、2018年に顕在化し始めたためだと見ている。そして、2019年はその変化が本格化するのではないかと見ている。

では、2016年に何が起きたのかを見るために、過去2年間の私の「年初の見通し」を振り返って見る。

<私の「2017年、年初の見通し」>

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2016年の金融市場は内外ともに大変な年だった。大きな出来事を3つ挙げると、(1)日銀のマイナス金利政策、(2)ブレグジット、(3)トランプ氏の米大統領選勝利だ。

日欧の金融政策は、少なくとも、2017年いっぱいは緩和的だ。超低金利と量的緩和が続く。これは、銀行経営の難しさと、カネ余りとを意味する。銀行は生き残りのために、投機的にならざるを得ず、その成否が、経営そのものを左右する。

原油の協調減産はいつまで続くのか? OPECと非加盟国は12月に原油の協調減産で合意した。合意はサウジアラビアの大幅譲歩により成立したが、原油価格さえ上昇すれば、大産油国であるサウジの原油収入は増加する。

非加盟国であるロシアも減産に同意したが、減産幅はミニマムで、それも6カ月にわたって漸減させるというものだ。あるいは、6カ月後には合意が反故になっていると見越しているのかもしれない。そう思うだけの根拠がある。

デフレを理由にした緩和的政策が、供給サイドにしか働かないために、更なるデフレを生んでいる。

これを変えるには、既存システムではもう駄目だと、英米伊の国民は意識しないまでも気付いている。「ポピュリズム(大衆迎合主義)」の対義語は、「富裕層1%迎合主義」かと気付き始めている。ここで英米伊の政治家たちが、国民の潜在ニーズに応えられないと、世界は更に不安定になる。

2017年もカネ余りで、根っこのない状態はまだ続く。欧州の政治、ユーロ、欧州連合、原油価格を鑑みても、相場は荒れると見るのが自然だ。そんな中で、利上げを継続すると思われる米国に、世界の資金が集まると見ている。

<私の「2018年、年初の見通し」>

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2017年の金融市場は、思いのほか平穏だった。それは2016年に起きた予想外の出来事、(1)日銀のマイナス金利政策、(2)ブレグジット、(3)トランプ政権誕生などの余波が、思いのほか、大きな悪影響とはならなかったからだ。

また、2016年末からのOPECと非OPECのロシアとの減産体制が、2017年間を通して機能し、原油価格も概ね50ドルを挟んで推移したことも大きい。

(1)の日銀のマイナス金利政策では、銀行収益の極端な悪化、短期金融市場の消滅、国債市場の機能停止、それに伴うノルウェー国富ファンドの日本国債投資からの引き上げなどが起きていて、近未来から中長期にかけての(破滅的な?)悪影響は必至なのだが、少なくとも2017年中は、大きな問題とはならなかった。

(2)のブレグジットは、フランス大統領選挙で、EU支持が勝利したことが、EU安定への勢いを引き寄せた。とはいえ、ドイツ総選挙ではEU支持の与党が十分な支持を獲得出来ず、カタルーニャでは独立派が独立投票と解散総選挙の2度にわたって勝利した。EU支持派は、今後も独立派を「強権」で押さえつけていくのだろうが、それが根本的な解決とはならないのは明らかだ。

(3)のトランプ政権は、問題が山積みなのだが、税制改革案などでしのいだというところだろう。

とはいえ、(1)(2)(3)のどれもが、本来の意味では金融市場の安定を示唆するものではない。後述するが、大きな問題を先送りにしただけだ。それでも、株式市場は上昇し、債券市場には大崩れがなく、商品市場はマチマチながら不穏な兆候が見えなかったのは、「カネ余り」が主因だと見ている。

未だに、「何年ぶり、何十年ぶり、過去のサイクルでは」などと述べる識者は多いが、世界の主要中央銀行が空前の資金供給を続けてきた市場で、以前のことと比較するのは意味がない。空前とは、以前にはなかったことなのだから。

カネ余りの行く着く先は「投機バブル」だ。各地で住宅市場が急騰し、美術品や宝石などの多くが最高値で落札されたことなども兆候だが、2017年で最も目立ったバブルは、何といっても「仮想通貨ブーム」だった。

こで、2018年の金融市場を動かすと思われるリスクを、10個選んで箇条書きにしよう。

1、日銀のマイナス金利政策継続の悪影響
仮に2018年の金融市場が平穏だったとしても、日本の金融システムは、マイナス金利政策により根元から腐ってきていると考えていいだろう。

2、EUからの独立運動
EUが統一国家になるためには、財政資金の統一が不可欠だ。ところが、格差が拡大してしまった今となっては、豊かな国は貧しい国と財布を共有したくないのは道理だ。私はユーロ圏の崩壊は、時間の問題でしかないと見ている。もっとも、EUを含めた現政権は既得権のために強権を振るって「独立運動」を押え込んでいる。2018年にいきなり危機になる可能性は低いと思われる。

3、トランプ政権が導いた米国の孤立
米国は1991年のソ連崩壊以来、一貫してロシアの孤立化を進めてきた。そのために、ロシアの周辺国を陰に陽に支援し、中近東諸国にも軍事援助を続けてきた。それが、エルサレム問題1つで、オセロゲームのように、一転して孤立化したのは米国となったのだ。

4、地政学的リスク(中近東と東アジア)
トランプ大統領は、エルサレム問題で米国に反対すれば経済支援・軍事支援を打ち切ると牽制したが、それでも各国は反対した。ここで米国が本当に支援を打ち切れば、周到に築き上げてきたイラン包囲網が崩壊する。これでは、米国は簡単にはイランを叩けないので、中東情勢はより混沌としてきたと言える。

東アジアでは、内側に大問題を抱えた中国の対外進出が最も大きなリスクだ。北朝鮮は、米中が本気で現体制を排除する気持ちを固めたなら、できないということはないのだろうが、まだまだ利用価値があるのだろう。金正恩委員長の綱渡り外交が続く見通しだ。

5、中国の金融政策(通貨と金融政策)
米国と同様、中国も引き締め政策に転じている。以前に通貨危機を経験した国々に比べ、中国経済は強いかも知れないが、債務の大きさは同様だ。高金利、通貨高、デレバレッジによる景気減速で、これまで以上に不良資産が増え続けると、金融システムが持たなくなってくる可能性が高い。

6、ロシア・ゲート
米国は大統領が代わると、官僚を含めた行政スタッフ全員が代わるので、連続性がなくなると言われている。ところが、対ロ戦略や対日政策を見る限り、米国の政治にはブレがなく終始一貫してきた。このことは、米国には大統領府を超える「力」が存在することを示唆している。米国の、いわゆるグランドプランを立てている勢力だ。前2回の世界大戦時では、ダウ構成企業の創業者などが「影のプランナー」だと言われている。

ところが、トランプ大統領は異質だ。(3)トランプ政権が導いた米国の孤立、(4)地政学的リスク(中近東と東アジア)で述べたことが真実に近いとすれば、トランプ大統領は米国の一貫した政策からはみ出している。同氏は「影のプランナー」たちの虎の尾を踏んだ可能性が高い。果たして、無事でいられるのだろうか?

7、選挙の季節(ロシア、イタリア、米国)
2018年3月にはロシア大統領が行われる。イタリア総選挙は2018年5月までに行われる予定。また、2018年11月には米国議会の中間選挙が行われる。

8、住宅バブルの崩壊(オーストラリア、カナダ、中国、ノルウェー、スウェーデン)

9、米国内の貧富格差の拡大(税制改革案)
近年の世界経済フォーラムでは、毎年のように格差問題が取り上げられているが、それでも「カネ余り」が、社会全体の資金不足を防いできた。しかし、米国は2015年12月からの利上げに続いて、2017年10月からは資金の吸い上げも開始した。

10、カネ余り相場の終わりの始まり(FRB新体制の利上げ政策と、他中銀)
過去8年近く、世界は空前の緩和政策を採り、カネ余りと、超低水準の資金調達コストを維持してきた。空前、前例がないことは、正常とは見なされない。ニュー・ノーマルという見方もあるが、さらなる危機が起きた時には、もはや打つ手が何もない状態だったことを鑑みれば、やはり、異常事態だった。

そうした事態から、いち早く正常化への舵取りを行ったのは、米国だ。そして、日本を除く主要各国はいずれも、近い将来の正常化への舵取りを明言している。このことは、いずれ「カネ余り」相場は終わることを意味している。

いずれは、2018年ではない。2019年でもないかも知れない。だが、数年という期間で見れば、カネ余りは解消し、投機バブルは間違いなく崩壊する。

とはいえ、相場で先を読み過ぎることは禁物だ。収益に繋げるには、目先を読む必要がある。その意味では、多くのリスクがありながらも、引き続き米株が世界の資金を引き付ける可能性が高いと見ている。

日本株は、金融緩和が継続することに加え、外貨や債券に比べて、最もリスクが小さいことから、引き続き上昇すると見ている。あえて、予想するなら、2019年10月までに、日経平均4万円超えもあると見ている。ちなみに、2019年10月には消費税率が10%に引き上げられる。

さて、2019年の動向を読むために、2018年に噴出した日銀マイナス金利政策継続の悪影響ほか10項目をしっかりと振り返っておきたい。

Next: 金融市場、2019年のリスク要因とは?「何を買っても儲かった」時代は終焉へ

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