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2019年末までに日経平均4万円超えか、今年の「10大リスク要因」から円・日本株の動向を読む=矢口新

結論:2019年の円と日本株見通し

こうしてリスク要因を掲げていると、何が起きるか分からないというのが実感だ。それで、相場で生き残りたいなら、時間のリスクを持ち越さない短期トレードが一番確実で、そうでなければ、売りと買いと組み合わせることで時間のリスクを管理するポートフォリオ運用が機能すると、私はお勧めしている。とはいえ、長年相場に携わってきたので、中長期の見通しがないわけではない。

昔、長期的な円高が続いていた背景には、膨大な貿易黒字額が示す、膨大な実需の円買いがあった。その貿易収支が、2018年はほぼ均衡した。2019年も、貿易実需は円相場にニュートラルである可能性が高い。ここでの最も大きなリスク要因は原油安だろう。輸入金額減少による貿易黒字は、円高要因となる。

中長期のトレンドに影響を与える資本実需は、大きく円安を示唆している。マイナス金利の国内に運用先がなく、信用リスクや流動性の観点から運用商品として申し分のない米国債が3%前後の利回りを提供しているからだ。ほぼ日英だけが、世界的な利上げ局面から取り残された環境も、外貨建て投資を後押しする。

となれば、円高リスクは、膨大な外貨建て投資のヘッジの円買いと、投機的なものだけとなる。これをまとめると、トレンドは円安で、円高局面は勢いがあったとしても長続きしないことになる。

円安が定着すれば、海外勢の日本株の買い戻しが期待できるようになる。また、株高時には配分比率いっぱいまで日本株を買っていた年金は、株安では比率が下がるため、また買えるようになる。買い手の主力1つ、企業の自社株買いも株安で出易くなる。そして、日銀の日本株買いは、少なくとも2019年いっぱいは続く見通しだ。そうして見ると、日本株はそれほど下がらないことが見えてくる。

世界の金融市場は、基本的に何でも買えた「カネ余り相場」から、選別しないと大損してしまう相場に変わってきている。そんな中で、日本株のように下値が限られた市場は魅力的に見えるのではないか? 世界で緩和を継続している市場は、ブレグジットの英国と、消費増税を前にした日本しかないのだ。一方で、いち早く利上げサイクルから抜け出す米株も、案外、健闘するように思える。

最後に、過去のバブルの、約1年前から崩壊までのチャートをいくつか付け加えておく。このチャートをどう見るかは自由だが、私自身は、2019年末までに日経平均4万円超えの可能性を、まだ捨てていない。

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2019年が皆様にとって、良いお年でありますように!

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image by:Sira Anamwong / Shutterstock.com
チャート出典:tradingview

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年1月6日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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