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2019年末までに日経平均4万円超えか、今年の「10大リスク要因」から円・日本株の動向を読む=矢口新

2019年のリスク要因その9:消費増税

消費税は売上に掛ける税金、所得税・法人税は利益に掛ける税金だ。消費税率が10%になると、単純化すれば100億円の売上が90億円になる。ここから諸々のコストを引いて利益とするので、人件費も圧迫されれば、所得税・法人税も減少する。

実際に、消費税を導入した翌年の1990年が日本の総税収のピークとなった。所得税・法人税が減ったためだ。そして、所得税率を5%に引き上げた1997年が日本の経済規模のピークとなった。国の税収は減ったのに、個人の税負担が増えて、成長できなくなったのだ。

こうした過去の教訓から学べば、2019年10月の消費増税は、日本経済の息の根を止める可能性すらあると言える。

それで政府は消費増税対策として、軽減税率を発表したが、これは中途半端な政策だ。消費増税対策の抜本的な対策は、景気後退の要因だとされる増税を止めることだ。

もっとも、軽減税率をどこに配分するかは政治家の判断となるので、自己の裁量権を高めるためには財源がいる。消費増税とは、そのための財源なのかと疑いなくなる。そんな小さな個人の野望など捨てて、国民のために尽くして頂きたいものだ。

消費税は安定財源とされ、財政再建の切り札のように言われているが、財政を悪化させたのが消費税であることは、財務省のホームページを眺めていればよくわかる。安定財源とは、景気が良くても税収が増えず、悪くても一定額は徴収するという悪法の典型だ。政府、官庁に、1989年以前の税制に戻すことを強く要望する。

2019年のリスク要因その10:日銀の政策

日銀の政策目標は、消費者物価コア指数が2%程度で安定することだが、マイナス金利を導入し、バランスシートの規模をGDP比100%以上にした今も、その目的を達成できていない。それどころか、いつまでには達成するという文言も、とうとう聞けなくなった。ちなみに、目標を達成して引き締めに転じた米連銀のバランスシートの規模はピーク時ですら、GDP比21.5%だった。

このことは、消費増税の悪影響が出た時に、日銀には打つ手が何もないことを意味している。

黒田日銀は、マイナス金利導入で短期金融市場を日本からなくし、日本国債の市場を指標の新発10年債ですら取引がない日が出現するなど機能不全にし、日本の金融機関を構造不況業種にしたが、物価目標を達成できなかった。そして、文字通りの限界まで金融緩和を行ったために、何が起きても、もう撃つ弾がない。これが日本経済最大のリスクだろう。

消費増税の悪影響を排除するには、1989年以前の税制に戻して財政再建を図るのが本筋だと思うのだが、どうも日銀の本願は、消費増税のようにも思える。

だとすれば、2019年10月までは緩和政策を継続し、何としてでも株価を持ち上げる必要がある。昨年の見通しでは「あえて、予想するなら、2019年10月までに、日経平均4万円超えもあると見ている。ちなみに、2019年10月には消費税率が10%に引き上げられる」としたが、まだその可能性がゼロとなったわけではないのだ。

Next: 日経平均4万円超えもある? 2019年の円と日本株見通し、その結論は…

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