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2019年末までに日経平均4万円超えか、今年の「10大リスク要因」から円・日本株の動向を読む=矢口新

2019年のリスク要因その5:原油価格

原油価格はOPECとロシアの協調減産合意以降、着実に下値を切り上げ、WTI先物価格は10月には1バレル76ドル台にまで上昇したが、その後、40ドル台前半まで急落した。最も大きな要因は米中貿易戦争がもたらす需要減の懸念と、米国シェール原油の増産だ。

WTI先物が50ドルを超えてくると、シェール原油生産者による実需のヘッジ売り(トータルコストが50ドルなら、55ドルで売れれば利益が確定)が出てくるとされている。価格の上昇局面ではより多くの利益を狙っての様子見もでるだろうが、下落局面では先先へのヘッジ売りも出てくる。55ドルで1年分売れば1年間採掘できるが、45ドルが長引けば縮小せざるを得なくなるからだ。

一方、サウジアラビアが潤沢なオイルマネーを謳歌したのは昔のことのようで、同国の財政を均衡させるためには、原油価格が95ドルになる必要があると試算されている。とはいえ、95ドルなどになれば、米国産シェールが次々と増産されてくる。一方、どんな価格でも売らないと原油収入にはならない。サウジアラビアは追い詰められていると言える。
※参考:Saudi Arabia Makes Rare, Bullish Call on Oil in Its 2019 Budget

こうして見ると、OPECとロシアの協調減産もいつまで続くか分からない。原油価格の下落は、ディスインフレ要因、金利低下要因、日本の貿易黒字要因、合わせて、円高要因ともなる。

2019年のリスク要因その6:世界の金融政策

米連銀は2015年12月から利上げを開始、バランスシートの縮小は2017年12月から始めた。また、ECBは3年に及ぶ2兆6000億ユーロ規模の量的緩和政策をこの12月で終了、金利は少なくとも来夏にかけて現在の記録的な低水準を維持するが、方向は利上げで、時期だけの問題となる。

以下は、私が把握している各国の政策金利の変化で、時期の近いものから過去に向かって10件掲げることにする。(据え置きは省く)

メキシコは政策金利を0.25%引き上げ、8.25%とした。
スウェーデンは政策金利を0.25%引き上げ、−0.25%とした。利上げは7年ぶり。
米FOMCは政策金利のFF金利誘導目標を2.25−2.50%に引き上げた。
タイは政策金利を0.25%引き上げ、1.75%とした。
韓国は政策金利を0.25%引き上げ、1.75%とした。
南アフリカは政策金利を0.25%引き上げ、6.75%とした。
フィリピンは政策金利を0.25%引き上げ、4.75%とした。
メキシコは政策金利を0.25%引き上げ、8.00%とした。
インドネシアは政策金利を0.25%引き上げ、6.00%にした。
カナダは政策金利を0.25%引き上げ、1.75%とした。

ご覧のように、すべて引き上げだ。世界の趨勢は金融引き締めに入っている。このことは、「カネ余り相場」は既に過去のものとなりつつあるということだ。

もっとも、日英は未だに量的緩和を継続中で、真っ先に量的緩和を終えた米連銀のバランスシートも、未だに10年前の約4倍の規模でいる。その意味では、カネ余りは続いている。しかし、その資金で高値まで買ったのだから、資金が減少すれば、高値を維持できなくなってくる。そして、高値の更新がないと、いつの間にか売り物が出てくるのが相場なのだ。

2019年のリスク要因その7:企業倫理

何でも買われるカネ余り相場の終わりが始まり、選別が進む2018年の米株相場をけん引したのは、FAANG(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフィリックス、グーグル)など、比較的新興の勢いのある企業だった。それが個人情報の取り扱いなどで失速。年後半の下げを主導した。

代わって買われたのが、生活必需品や一般消費財などの、古き良き銘柄だった。しかし、その一角、ジョンソンエンドジョンソンが、ベビーパウダーの発がん性物質含有を長年にわたって隠ぺいしていたとして、急落した。多くの訴訟もされていると言う。また、ハラスメントなど、これまで以上に企業倫理が株価に影響を与えるようになってきた。

2019年のリスク要因その8:気候変動

ニューヨーク・タイムズ紙は、2018年を「激甚災害元年」と名付けた。これまでなら何十年に一度という自然災害が、世界各地、日本各地で頻発した。

そうした自然災害の根っこには、地球温暖化があるとされているので、2019年以降も、我々の生活、あるいは金融市場の大きなリスクであり続ける見込みだ。

Next: 消費税こそが諸悪の根源? 2019年に家計を直撃する増税の大波

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