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本土では報道されない沖縄基地問題。2月24日「県民投票」前に知って欲しい歴史と基地利権

辺野古基地建設の是非を問う「沖縄県民投票」が2月24日に実施されます。本土と沖縄の意識の差を埋めたい…という故・翁長前知事の想いと現実をお伝えします。(『らぽーる・マガジン』)

※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2019年2月18日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

辺野古に基地を造らないと困る人たちがいる?決戦は2月24日に…

翁長前沖縄知事の想い

本土と沖縄との基地問題の意識の差を指摘し、ぜひ本土の人も当事者意識を持って考えて欲しい、特に本土の保守を掲げる政治家には訴えたい…。昨年にすい臓がんで亡くなった翁長前知事の強い思いです。

なぜ沖縄だけに基地負担を強いるのか、いつまで沖縄県民は我慢しなければならないのか…」。翁長前知事は、いつもこのことを訴えておられました。

翁長前知事の語られた言葉、ラジオ番組でのインタビューの書き起こしは、翁長氏訃報を受けた後の当メルマガ「2018年8月13日配信の情報誌」に詳しく書きました。

一部、そのときの内容を掲載します。

翁長氏は親兄弟が政治家で、一貫しての保守一家でした。消費税導入で逆風選挙のときも、無所属で立候補する候補者を尻目に、あえて自民党公認で戦うという、自民党愛の塊だったそうです。

那覇市議会議員や沖縄県議会議員を歴任、自民党県連の幹事長も務め、当時は、辺野古移設を推進する立場でした。

自民党と袂を分かつことになったのは、高校教科書検定問題がきっかけだったそうです。

「沖縄集団自決は日本軍の命令による」という文言が削除されたことで、代々語り継がれてきた沖縄の戦争経験者の言葉を「嘘」と決め付けるような行動に、翁長氏は裏切られた思いがしたようです。

自民党にいたとき、本土の自民党保守政治家は、まだ沖縄に申し訳ないという気持ちがあったようで、沖縄が本土の盾となることも仕方がないという気持ちが、当時はあった。いまは札束で沖縄をだまらせる風潮が当たり前となっていることに憤りを覚えている…。

翁長氏の言葉です。

国土の0.6%に米軍基地の74%が集中している沖縄の異常な現実

数字の取り方はいろいろあり、引用するものによって若干違いますが、沖縄だけに多大な米軍基地負担をお願いしているのは間違いありません。

かつては本土にもたくさんの米軍基地があり、沖縄と同じように住民は反対運動を起こしていました。

1950年代、基地反対の動きは全国に広がっていました。ことのきっかけは、群馬県で起きた「ジラード事件」です。

群馬県群馬郡相馬村(現・榛東村)の米軍キャンプ・ウェア演習場(通称・相馬ヶ原演習場)で、空薬莢(やっきょ)拾いに来ていたの村内の主婦・坂井なかさん(46歳)が米兵に射殺されるという事件が起きました。

射殺した米兵は、ウィリアム・S・ジラード三等特技兵(当時21歳)です。

当時村人たちは、薬莢(やっきょ)を拾って、週に1度来る「仕切り屋」にそれを売って生計を立てていました。

この事件をきっかけに日本本土の反基地感情が一気に高まり、全国的な反米感情に転化すること米国側は恐れて、海兵隊を本土から全面撤退させることを決定しました。

その移転先は当初計画されていたグアムではなく、沖縄が選ばれたのです。

当時沖縄は、米国の占領下にありましたからね。

日本本土の米軍専用施設は1955年から1660年にかけて約13万ヘクタールから一気に約3万3,500ヘクタールにまで減少、一方の沖縄では1.86倍の約3万ヘクタールに増加したとあります。

今沖縄で起こっていることが、以前は日本本土でも同じようなことがあり、本土は米軍基地を撤退させることができましたが、今の沖縄ではそれがかなわない状況にあるというのです。

それでも日本本土は、沖縄で起きていることを「知らぬ顔」でいるばかりか、安全保障の名の下に、米軍基地の存在を沖縄県民に押し付けているように思えます。

Next: 本土の人は知らない。沖縄が求めてきた「基地撤去」「基地の返還」とは?



沖縄が求めてきた「基地撤去」「基地の返還」とは軍用地を元の所有者に返せということ

日本本土の米軍基地は、もともと日本軍の基地だったところにあり、日本軍基地が米軍基地に変わっただけですが、沖縄の米軍基地は、基地がないところに米軍基地があるのです。

つまり、もともと沖縄県民所有の土地を強制摂取した土地に、米軍基地が造られているのです。

沖縄の人が収容所に入れられて沖縄に戻ってきたら、本来帰るべき土地が米軍基地になっていたというものです。自分の土地の上に普天間飛行場や嘉手納飛行場ができていたというのです。

沖縄に帰ってきた人々は、仕方なく基地周辺で生きていくことになったのです。

今まで農業を営んできた農地は焼け野原となり、生活の糧となるはずのその土地がなくなったので、仕方なく基地で働かざるをえなくなりました。

それが戦後沖縄の現状だったのです。

朝鮮戦争特需で基地で働く沖縄県民は潤っている、基地のおかげで経済が発展しているという目で、本土の人は沖縄を見ていたとされていますが、どうかここに至る経緯を理解してほしいと、翁長氏は訴えておられました。

沖縄県民感情からすれば、普天間基地から辺野古基地への移転は、奪った土地が都合が悪くなったから別の土地をよこせと言っているようなものだとのことです。

なぜ沖縄県内でたらいまわしなのか、本土の人は沖縄をどう思っているのか…。

辺野古移転に関しての翁長氏の思いは、その米軍の態度に何も言えない日本政府へ、憤りの矛先が向かったようです。

「移設」ではなく「新基地建設」

翁長氏は、辺野古米軍基地を、一度も普天間基地からの「移設」とは表現していません。終始「新基地」建設と表現しています。

これは沖縄メディアの共通認識のようです。

それだけ辺野古基地は、普天間基地と比べて大規模な広大なものになっているのです。

約2兆5,000億円…。これが辺野古基地建設にかかる費用だと言われています。当然税金です。

日本の安全保障のための費用」という大義名分で捻出されるのでしょうが、はたしてそうなのでしょうか。

たしか辺野古基地は、米軍と自衛隊が共同使用するというのを聞いたことがあります。記憶の片隅にあるもので、一般報道では見当たらないのでなんとも言えませんが、今後の進展を注視すればわかることでしょう。

いずれにしても、大浦湾には強襲揚陸艦が入ることができ、軍港機能を備えた総合運用可能なの辺野古基地であり、滑走路しかなかった普天間基地の「代替施設」とはとても言えないものとなっています。

この事実からも、もはや「移設」ではなく「新基地」だという沖縄の人たち感覚は当然だと思えます。

Next: 滞在する米軍海兵隊は、日本を守る役目を負っていない?沖縄が反対するワケ



そもそも「海兵隊」とは

普天間基地は、正式には「普天間飛行場」で、在日米軍海兵隊の軍用飛行場です。つまり、普天間基地に滞在しているのは米軍海兵隊なのです。

海兵隊とは、陸・海・空の軍隊とは別の第4軍事組織で、海上で艦船による戦闘を主に行う海軍に対し、敵地への上陸作戦を専門に行うのが海兵隊です。軍政上は海軍に属していますが、陸軍や海軍と同じように独立した軍隊となっています。

海兵隊は、艦船同士の戦いで敵船に乗り込み制圧する切り込み部隊として16〜17世紀ごろに各国で創設されました。

そもそも海兵隊は「切り込み部隊」で、有事のときは米国の軍隊の先頭に立っていますので、日本を守る役目とは言えそうにありません

米軍基地の存在自体が、他国の日本攻撃の抑止力になると言われればそうなのでしょうが、そもそも日本を守ることが、海兵隊の役目ではなさそうですね。

そりゃそうでしょう。米軍は米国のためにあるもので、米軍の安全を守るためにあるわけですからね。

沖縄県民の、辺野古基地建設に反対の理由

政府側が沖縄県に訴えているのは、決めたことを首長が変わるたびにコロコロ変えないで欲しい…。というものです。

防衛庁長官や防衛大臣を勤めた中谷元衆議院議員がこのように発言しています。

でもこれは、辺野古基地建設賛成派と反対派の陣営が選挙で戦った結果であり、外交における国家間協議とは異なるでしょう。

一方、沖縄での反対派の言い分は、概ね以下の4つに整理されます。

上記に関しては、大浦湾基地建設でのエンジン音等で、じゅごんはすでに逃げてしまっているらしく、現在3頭だけが存在が確認されていると言われています。

大浦湾には「じゅごんの里」と呼ばれる自然体験ができる場所があります。

海外自然保護団体からもサンゴ礁保護の訴えは出ているようで、米国からもそのような声は上がっているようです。

昨年12月14日に米軍基地建設が予定される辺野古に、政府は土砂投入を強行しましたが、海底地盤がかなりゆるく、強固な基礎を作るには、相当量の土砂が必要になってきました。

こういうときによく使われる「東京ドーム○○個分」とか「△△杯分」という表現ですが、12月の記事を読めば「東京ドーム17杯分」の土砂が必要とあります。

既に、じゅごんとサンゴ礁の海に、大量の土砂は投入されています。

マヨネーズ状と言われる地盤強固には、どれだけの土砂が必要なのでしょう。かなりの高度な技術が必要なことは容易に理解できそうです。

そんな工事ができるのは、地元沖縄の企業ではなく、東京に本社がある企業になるのでしょう。

Next: 辺野古に基地を造らないと困る人たちがいる?



辺野古に基地を造らないと困る人たちがいる?

東京ドーム71個分の税金に相当し、土木関連企業にとっては利権だ…。

あるジャーナリストの訴えです。ネット記事から拾った言葉です。言葉の真相は分かりませんが、ここでも東京ドームが引き合いに出されていますね。

もともと米国は、世界規模の米軍再編で、日本駐留の海兵隊をグアムに移転させる予定だったということを記憶しています。あくまでも私の記憶の話ですが、それを日本の外務省が、米軍を無理やり引き止めた経緯があると記憶しています。

ラジオで首都大学東京の宮台真司教授が、私の記憶と同じようなことを言っていましたね。

米軍再編計画では、在沖縄海兵隊9,000人を国外に移転し、10,000人が沖縄に残るとされてきました。その後見直しがあり、中国の弾道ミサイルなどによる攻撃を回避するため常時即応体制にある「海兵空陸任務部隊(MAGTF)」を沖縄のほか、グァム、ハワイ、オーストラリアに分散配置する方針に転換することにより、沖縄に残るのは実戦部隊の2,000人から3,000人規模のMEU(海外遠征部隊)だけになることになりました。

「普天間基地の辺野古移設」は、現在の普天間基地の基地機能がそのまま辺野古に移転されるものとして語られていますが、海兵隊は沖縄から撤退し、より実戦的に再編され、グァム、ハワイ、オーストラリア、沖縄と分散配置されることになったとのことです。

つまり、あのような大規模の辺野古基地は、沖縄の米軍機能から考えて必要ないということになります。米国にすれば日本のお金で造ってくれるのだから「ありがとう」という感じでしょうかね。

辺野古基地建設費用は2兆5,000億円です。地盤を考えるともっと膨らむのではないでしょうか。

たしか米軍のグァム移転費用も日本がかなり負担することになっていたのでは。費用の詳細は、防衛省ホームページでも確認できます。

これらを考えると、どうしても辺野古に基地を造らないと困る勢力が存在するのでは?と勘ぐりたくなりますね。

これは安全保障の問題ではなく利権の問題だということが言えそうですが、当然そんなことは報道されることも無く、確認のしようがありません。

真に潤うのはどこの企業か

事実として、2兆5,000億円規模の工事が沖縄で行われ、その工事は東京の企業が主導で行われるということで、当然現地の土木会社等も潤うということです。

また普天間基地移転と言いながら、どうも別の計画があるという思惑も透けて見えてきました。

むしろ米軍基地返還が進展すれば、効果的な跡地利用による経済発展により、基地経済への依存度はさらに低下するという地元の声は遠くにかすみ、基地建設はどんなことがあろうと実行されるようです。

民主党が今の「V字滑走路」を決めた当事者だけに、野党の追及も及び腰になっているのでしょうか。

鳩山由紀夫元総理が「最低でも県外」の旗を降ろさせたのが、後に「嘘」とわかった外務省から手渡された極秘指定文書だと、鳩山氏本人が後に答えています。

極秘文書には、当時鳩山氏の念頭にあった「徳之島移設」が困難な理由を明記されていたとのことです。

その極秘文書なるものには、航空部隊を訓練場のある沖縄本島から65カイリ(約120キロ)以内に置く必要があるとして約192キロ離れた徳之島案を米国は拒否したとのことです。

65カイリは米軍の基準で「それを超える例は世界的にない」と説明しているとの外務省の報告ですが、米軍は「そのようなマニュアルは存在しない」と否定し、外務省の「極秘文書の管理簿」にもこの文書が記載されていないということです。

そこまでして辺野古に基地を建設したい本当の狙いはなんなのでしょうね。

Next: 2月24日、選択肢「どちらでもない」を加えた沖縄県民投票が始まる…



2月24日、沖縄県民投票が始まります

沖縄県民投票が2月24日に実施されます。

正式には「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票」と呼ぶそうです。

当初、辺野古基地建設に「賛成」か「反対」かの2択だったのが「どちらでもない」という項目が付け足されました。

「どちらかと言えば賛成」という設問を、政府は用意したかったとか。

「どちらかといえば賛成」と「賛成」をあわせれば、それなりの数字になると思ったのでしょうか。「反対」票を薄める効果を狙ったのでしょうかね。

反対派の個人情報を収集している動きがあるとか、きな臭い動きが報道されましたが、とにかく住民投票結果を見守りましょう。

投票率が問題になるでしょう。投票者数は大きなポイントになります。

公明党支持母体の創価学会も、沖縄と東京では立場が異なっているようです。

ただ言えることは沖縄だけの問題ではないということを、本土の人も理解すべきだと思います。

今回、この記事を書くにあたり、沖縄基地問題を調べて知らないことばかりでした。またこの問題を取り上げるに当たり、政治色が強くなりそうで、ナイーブな部分が多く躊躇したのですが、県民投票を前にやはり書くべきだと思い、今回、あえて取り上げました。

沖縄県民の思いを、私たちがどう受け止めるか問われるところでしょう。

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らぽーる・マガジン』(2019年2月18日号)より一部抜粋
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