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来年前半までにNYダウは1万9,222ドルを目指す…ここから6,000ドルもの暴落はどう起こるのか=伊藤智洋

NYダウは2万5,483ドル(3月25日現在)ですが、当メルマガでは以前から本年中か来年前半には1万9,222ドルを付けるとお話しています。今回はその詳細をご説明します。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2019年3月25日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(日経平均・NYダウの今後のシナリオ、予測の仕方)もすぐ読めます。

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

中国発の金融不安をきっかけに世界的暴落が起こる?

急激に信用収縮を起こすような状況は突発的であってはならない

今回は、陰謀の話です。

以前の当メルマガでも、NYダウが本年末、または来年前半に1万9,222ドル以下をつける可能性があるというシナリオを紹介しています。現在の金融資本主義市場では、架空のお金の貸し借りによって、多くの企業がつながっています。

周知のことですのでくどくど書きませんが、大手企業や金融機関の破綻は、国境を越えて多くの企業の連鎖的な倒産を引き起こし、金融資本主義体制の崩壊につながることも考えられます。したがって、急激に信用収縮を引き起こすように状況は、突発的なものであってはいけません

そのような状況がおこる可能性があれば、事前に対処できるよう、十分に準備をしておく必要があります。大手企業が債務不履行になるような状況がある場合、財務諸表を見れば、おおよその検討がつきます。

その企業が粉飾していて、突発的にあらわれたものだとしても、内部に事態を理解している人たちがいる以上、客観的に変化を見つけることが可能です。

突発的で、対処の方法がすぐに決まらない、誰にも利益を与えることのない信用収縮など、起こってはいけないことなのです。突発的で、対処方法もない信用収縮が起こる事態を招く可能性があるとすれば、最も警戒すべきものは、株価の突発的な下げに端を発したパニック売りによる暴落です。

言い換えると、現在の金融資本主義市場を壊したいと多くの金持ちが考えていない限り、突発的で、対処方法が事前に決まっていない株価の暴落などありえないということになります。

同じ理由から、世界全体の市場をひとまとまりとして考えた場合の株価は、長く下げ続ける展開になりません。長い期間、弱い状況が続く場合、どこかの時点がきっかけになって、突発的に対処不可能な信用収縮が起こるということを否定できません。

株価がある値位置まで下がることが市場全体の総意になっているのであれば、事前に想定できる事象を推測して、対処する方法がある時間の範囲内で事を起こす必要があります。

例えば、米中貿易問題がトランプ大統領だけの判断であれば、来年までに決着するようにトランプ大統領が妥協点を見つけるはずです。米国企業を守る、米国の安全保障にかかわるものであれば、大統領の任期が交渉期限に影響を与えることになりません。

株価が大きく極端に下げる動きがあるとするなら、それは半年、長くても1年程度の期間であらわれる必要があります。

Next: 原油の下落を例に考える、株価を下げるための計画とは…



半年から1年で6,000ドルを下げるには計画されているはず

筆者は今年年末から来年5月頃までの期間で、NYダウが1万9,222ドルまで下げると推測しています。NYダウは、3月22日に急反落して2万5,557ドルで引けていますが、それでも、まだ2万5,500ドル以上あります。

予測が現実になるには、あと半年から1年の間で、6,000ドルもの下げを経過する必要があります。今年は、これからリーマンショックと同等の下げ場面を経過することになるわけです。実際にそのような下げがあるとするなら、何度も書いている通り、突発的なものではなく、十分に計画されたものであるはずです。

余談になりますが、米国は石油供給の潜在的な供給途絶に対する脆弱性に対処するため、戦略的に石油を備蓄しています。2000年台へ入ってから原油が上昇したきっかけは、米国が戦略的備蓄を増やすという発表をして、市場から原油を吸収したことが理由の1つだと言われています。

覚えているでしょうか。2014年6月から2015年1月までの期間で、100ドル以上だったNY原油期近の価格は、一気に50ドル以下になってしまいました。

当時、100ドル以下になると、多くの供給国の財政が悪化し、60ドル以下になると、米国のシェールオイルの採算が取れなくなるなどと言われていました。

そのような状況で、NY原油期近はたった6か月程度で半値以下へ暴落したわけです。

米国は、米戦略石油備蓄の能力の検証を目的に、法制に基づく試験売却が2014年3月に実施されていました。当然、供給が増えるわけですから、価格へ影響を及ぼすだろうことを想定しているはずです。

その中で、米国のシェールオイル採掘企業の大手は、先物市場で原油の売りを入れていて、1年程度の期間で原油価格が下げたとしても、損が出ないような取引をしていたと言われています。

Next: FOMCが急激に緩和の方向へ動いた理由とは?



FOMCは緩和の方向性は、年後半に向けた対処のためか?

今回のFOMCでは、「年内に利上げはしない」「バランスシートの縮小を9月に終了する」など、1月の決定よりも緩和的な内容を発表しています。

NYダウは昨年10月の高値に接近する程度まで上昇、失業率が低水準で安定して、賃金も上昇している状況です。

2019年は、まだトランプ大統領の実施した減税、歳出拡大の効果を十分に期待できる年です。それにもかかわらず、多くの市場参加者の予想を超える決定となりました。

この判断は、今後の経済指標の数値にかかわらず変わらないもとしているので、現在のNYダウの値位置を考慮すると、良好な経済指標をきっかけにして株価が大幅高になり、インフレ圧力が強まることも想定されます。

利上げの有無や資産縮小の方法にあいまいさを残していた1月の決定の方が、FRBの方針としては、市場参加者にとってわかりやすいものだったように感じます。

このような明確な方針転換は、今年後半、対処しなければいけない何かがあるのではないかと疑いたくなります。

前述の通り筆者は、来年5月頃までの期間でNYダウが1万9,222ドルまで下げると推測しています。

FRBの今回の判断が株価下落に備えたものであるとするなら、NYダウは今年、10月~12月頃の期間で1万9,222ドル以下の目標値を達成するかもしれません。

株価下落のきっかけは、中国発の金融不安だと考えられます。長くなったので、この先の話を含めて動画にしました。

動画の視聴はご購読ください。


※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2019年3月25日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(NY金の展望、日経平均の今後のシナリオ)もすぐ読めます。

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『少額投資家のための売買戦略』』(2019年3月25日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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