最近、マーケットで話題の「イールドカーブのフラット化」は本物です。この現象が発生するには2つの原因があり、今回こそ中期的な不況シグナルということです。(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)
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不況間近?本物の「イールドカーブのフラット化」で何が起きるか
「フラット化」には2種類ある
イールドカーブとは、債券の年限(期間)の長さと、金利の違いをグラフにしたものです。横軸が年限、縦軸が金利です。
一番よく見られるのが、米国債です。
普通は、償還までが長いと、金利が高くなります。すると、右肩上がりの形状になります。時間のリスクを織り込んでいるわけですね。
しかし、ときどき、経済の変調によって、どの年限でも金利が同じになったり、あるいは短い期間の方が逆に金利が高くなることがあります。
これを「フラット化」とか、「逆イールド」と言っているわけですね。
実は、これには、2種類あるんです。
何かの棒を、右肩上がりに持っている様子を想像してみて下さい。この斜めの棒が平たんになるには、左側を持ち上げるか、右側を下げるか、ですね。
シンプルに考えればわかりますが、この2種類です。
今回は、右側が下がっている
さて、1つめのパターンは、短期金利の上昇でフラット化する場合です。
FRBが利上げを開始して、もともと右肩上がりで斜めだった棒の左側部分が持ち上げられ、フラット化します。
これは、景気が良くなって、短期金利を上げるわけですから、時間の経過とともに棒の右側部分の年限が長い債券の金利が徐々に上昇して、また傾きがある状態に戻ってきます。景気回復の初期によくある現象です。
しかし、ここ最近で話題になっているのは、年限が長い方の金利の低下です。このパターンでは、棒の右側を下げることで、フラット化しているわけです。
こちらは、中期的な不況のシグナルとされています。
その背景にはいったい何があるのでしょうか…。
Next: 不況は近い?本物の「イールドカーブのフラット化」では何が起きているのか
本物の「フラット化」現象が起きる背景
では、本物の「イールドカーブのフラット化」では、何が起きているのでしょうか?
これは、景気の上昇が一巡し、先行きが不況になる可能性が出てきている時点です。
つまり、不況になればFRBは利下げをするし、今までよりも金利が低くなります。期間が長い債券は、この先の償還までの間に、当然こうした時期に入ってきますね。
つまり、この先を織り込んで、償還までの期間が長い債券は、この先の不況並みの金利へと、徐々に金利が低下してくるのです。
ですから、棒の右側が下がり、フラット化するというわけです。
ということで、今回の「フラット化」は、本物の中期的な不況のシグナルということです。
景気回復初期の「フラット化」ならば心配はいりませんが、今回の場合は、不況に備えて、
年限が長い米国債などの長期金利が下がり始めている、ということを意味します。
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『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』(2019年3月24日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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