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モスク銃撃犯はサイコパスじゃない。犯行声明を和訳してわかった模倣犯続出の危険性=高島康司

約100人が死傷したニュージーランド・クライストチャーチのモスク銃撃事件。犯人は犯行声明を公表したが、それが持つ危険な意味について取り上げたい。この犯行声明の影響で、これから白人優越主義者によるテロは増えることが予想される。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2019年3月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

類似事件は起きる? 犯行声明の「呼びかけ」は共感を呼ぶ…

生中継された銃乱射事件

3月15日、ニュージーランドのクライストチャーチで、2つのモスクを狙った銃乱射事件が発生した。50人が死亡し、数十人が負傷した。銃乱射事件としてはニュージーランドでは史上最悪のものになった。

犯人はオーストラリア人のブレントン・タラントであると判明した。タラントは世界各国を転々とし、ニュージーランドには定住していなかった。また両国では監視対象にもなっていなかった。英BBC放送によると、2年前から犯行を計画していた疑いがあることも分かった。

この事件がとりわけ凄惨だったのは、実行犯はカメラを装着して犯行を実行し、そのときに撮影したとみられる銃撃動画がネット上で「生中継」されたことだ。

動画は瞬時に世界中に広まった。フェイスブックなど大手IT各社は問題動画の削除を急ぎ、150万本ほど削除したものの、動画はネット上から消えず、ツイッターやユーチューブなどへ繰り返し転載され、拡散はいまも続いている。

ブレントン・タラントはサイコパスではない

この事件は、3歳の幼児を含めニュージーランドの社会に適応して生きているイスラム系の人々を標的にした、実に凄惨な事件である。

実行犯のブレントン・タラントはオーストラリア出身で、低所得の労働者階層の家庭で生まれ育った白人優越主義者の男性だ。28歳である。日本の一部大手メディアでも、この銃撃事件は頭の狂ったサイコパスの犯行だとして報道されている

しかし、銃撃事件と同時に公開されたタラントンの犯行声明を見ると、彼はサイコパスどころではなく、白人優越主義思想に影響され、革命を決意した確信犯である。いわば、義憤に燃えた革命家として自分を意識している人物だ。

白人優越主義と聞くと、「ネオナチ」や「クー・クラックス・クラン」のような狂ったカルト思想であり、それを信じる人物はやはりサイコパス以外のなにものでもないと思うかも知れない。

確かにそうした側面があることは間違いないが、犯行声明に現れたタラントンの呼びかけを狂ったカルトとしての文脈だけから見てしまうと、タラントンの犯行声明に内在している広範な影響力を見逃してしまうことになる。

タラントンの犯行声明は、急速に世界的に拡大している反グローバリゼーションの潮流の、もっとも過激な一部であるのだ。

Next: 多くの模倣犯が生まれかねない。反グローバリゼーションの潮流とは

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