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徴用工問題、日本の報復措置に韓国メディアが危機感。怯える韓国に残された選択肢は2つだけ

元徴用工問題について、韓国最高裁での判決結果を受けて日本企業に実害が生じた場合、日本は報復に出るとの報道が目立ってきた。現実的にありえるのだろうか?(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)

※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2019年3月24日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

韓国が戦犯扱いする日本企業はおよそ300社。裁判はまだ続く?

日本は報復に出るのか?

日韓の対立が続く元徴用工問題。韓国最高裁での判決結果を受けて日本企業に「実害」が生じた場合、日本は報復措置に出るとの報道が目立ってきた。

すでにご存知のことと思うが、韓国側が新日鐵住金の資産である株三菱重工の特許使用料など差し押さえて現金化しようとしている。

最終的に日本の報復措置はあり得るのか? 私は、たとえ報復措置を行ったとしても、韓国に致命的なダメージを与えるものではない、軽い報道措置になるだろうと考えている。

なぜ原告側は日本の報復措置を恐れるのか?

原告側は「現金化する」と言いながら、もう3週間ほど何の動きもない。

そもそも、非公開株の現金化はかなり困難だということを以前にも当メルマガで述べた。しかし、理由はそれだけではないようだ。

どうやら日本の報復措置を恐れていて、慎重に見極めているのだという。

原告側がどうして日本の報復措置を恐れるのか。それは裏に韓国政府がいるとしか考えられない。

通常、裁判では、原告側は国と国の関係なんてものはまず考慮しない。そもそも、日韓関係を考慮するなら、朴槿恵前大統領のように裁判の判断そのものを延期にするような手段も取れた。

そこで疑問が出てくる。どうして原告側が日韓関係を気にしているのか。

これも慰安婦と同じである。日韓慰安婦合意を履行する前、これは朴槿恵前大統領の時に明らかになったのだが、実はその慰安婦団体を裏で韓国政府が支援していた。

しかし、日韓慰安婦合意以降はそれが表向きにはできなくなった。もっとも、2008年の「韓国蝋燭デモ」で朴槿恵氏が弾劾されて文在寅大統領になってからは、日韓慰安婦合意そのものを事実上は破棄しているので、今は裏で政府が支援していても何らおかしくないだろう。

そして、徴用工の裏にも韓国政府がいたわけだ。表向きには裁判所の判断がどうとか述べているが、裏では徴用工を支援していた。どうせ日本は折れて金を払うだろうと考えていたからだと推測できる、

しかし、日本はまったく折れずに数ヶ月が経過した。韓国はさらに追い打ちをかけようと現金化に着手しても、日本政府は折れない。さらに、報復措置まで麻生財務大臣の口から飛び出したというのが現在の状況だ。

Next: 韓国が戦犯扱いする日本企業はおよそ300社。裁判は次々と行われる?



日本の報復措置を警戒する韓国メディア

「このままでは本当に報復措置が実行されるかもしれない」と恐れ始めたのは、韓国メディアだ。

韓国は日本のお得意様だから報復措置はないとか強がっているが、そんなことは関係ない。日本は良くも悪くも、決めたことに対しては考えを曲げることはほとんどない。だから、本当に日本企業に損害が出れば報復措置を取るかも知れない。

「報復措置リスト」にはビザの復活関税の引き上げなど100個ほど韓国への報復措置が書いてあるという。日本政府はWTO違反にならないように慎重に見極めており、今のところ、報復措置ともいえない、日韓通貨スワップ協定の中断TPPにおける韓国加入の拒否などが出ている。

しかし、将来的に韓国に協力しないのは当たり前だが、それは制裁とは言わないだろう。制裁とは、韓国への輸出を規制する、韓国人旅行者を制限するなど、目に見えるものではないと効果がない。そういう意味で日本はまだ制裁措置を取ったとはいえない。

韓国が戦犯扱いする日本企業はおよそ300社

ならば、このまま韓国政府は裏で原告側の現金化を抑えたら、もう、徴用工問題は解決するのか。

もちろん、何1つ解決しない。なぜなら、訴訟はいくらでもあるからだ。韓国が戦犯企業などと勝手に名付けてリスト化した日本企業はおよそ300社。それらの企業もどんどん訴えられていて、裁判すれば必ず原告側が勝利するという出来レースである。

1人あたり1,000万円が貰えるチケットにつられて、集団訴訟を起こそうとする韓国人の問い合わせは日々、増えているそうだ。

今後、韓国に資産を持っている日本企業が訴えられていけば、現金化に着手しようとする韓国人は必ず出てくる。非公開株や特許使用料などよりも、もっと簡単な現金化できる資産を差し押さえる可能性がある。

そうなると日本企業の損害は避けられない。すると、日本は報復措置を発動することになる。

だから今、韓国政府が働きかけたところで原告側が納得しない場合、ここまでの動きは無駄な努力となる。

日本は折れないというのが前提なら、この先、韓国政府が取るべき道は2つしかない。

Next: 韓国に残された2つの選択肢とは?放置が続けば日韓関係は泥沼に…



韓国に残された選択肢その1:政府が原告側にお金を支払う

1つ目は、韓国政府が原告側に1,000万円ずつ支払うことだ。

これは原告側が少ない場合には有効だが、問題はその原告側がこれから爆発的に増える恐れがあること。こうなってくると、韓国政府が支払う額は2兆円を超える。

この「2兆円」は根拠のない数字に見えるが、実際、元徴用工問題で最高裁判決が出たときにも話題となった金額だ。元徴用工やその遺族だと訴えれば、誰でも賠償金がもらえる状態になる。

今の韓国政府に2兆円を支払う覚悟はあるか。きっとないだろう。

韓国に残された選択肢その2:放置して日本の報復を受ける

そして2つ目は、このまま放置することだ。

これでは日韓関係は変わらないので、下手をすれば日本から報復措置を受けることになる。仮に報復措置を受ければ、韓国政府はさらに報復の報復措置を取るだろう。すると、日韓関係はさらに悪化する。

これは、米中貿易摩擦を見ていればわかるだろう。トランプ大統領は米中貿易摩擦交渉で何らかの合意ができても、関税の即時撤回はないと述べている。つまり、中国は信用できないので、ある程度は様子見するということだ。

そもそも、韓国は徴用工問題における協議要請にすら応じない。戦略的放置が当たり前となり、6月に大阪で開催されるG20でも「日韓首脳会談は行わない」としている。関係悪化は、そのまま韓国との付き合いをやめていく流れにシフトするだろう。

さらに今回、日本は、折れずに現在の姿勢を貫くだけで、何もしなくても勝ちが確定している。韓国は勝ち目のない戦いを自ら仕掛けたということだ。そして、韓国は勝手に自滅へと向かう。

もっとも、日本は何もしないで自然と韓国の自滅を待つよりも、目に見える報復措置を実行した方がいい。日本は完全に韓国に舐められているからだ。

Next: 手ぬるい日本政府に期待はできない?報復措置は軽いジャブ程度か



手ぬるい日本政府に期待はできない

最後にまとめれば、私は日本が報復措置を取るとすれば、日本企業の損失がトリガーだと考えている。

さらに、もし報復措置が取られても、韓国が恐怖するような強い報復措置とはならないだろう。ダメージを与えるのかさえも怪しいところだ。何かの交流の中止、日本大使の召還など、そんな程度ではないかと思える。

なので、過度に期待しても、期待外れに終わるのではないだろうか。

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2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』(2019年3月24日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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