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岐路に立たされる自動車産業、トヨタが目を付けたスズキの魅力とは=栫井駿介

GoogleやAppleなどの異業種参入やシェア利用が広がるなど、岐路に立たされる自動車産業。大手自動車会社の株価が低迷するなか、スズキ<7629>に注目してみます。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

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圧倒的な海外シェアを誇るスズキ自動車の下落は買い時か?

自動車業界は競争激化必至

自動車産業は現在まさに岐路に立たされています。電気自動車や自動運転車の発達により、Google、Appleなど異業種からも参入が相次いでいます。

一方で、世界販売を牽引してきた中国市場は昨年28年ぶりに縮小に転じました。市場のパイが拡大しない中で、新規参入者を迎え撃つとなる、と、競争激化は必至です。

先行きが不透明なことから、大手自動車会社の株価は低迷しています。各社のPERは惨憺たる状況です。

トヨタ自動車<7203>10.45倍
日産自動車<7201>8.87倍
ホンダ<7267>7.86倍
※2019年4月12日時点

自動車会社は景気の影響を大きく受けるため、今後の経済見通しの不安さを反映している部分も少なからずあるでしょう。

インドでの強さは垂涎もの

そんな中で、私が今注目している銘柄の1つがスズキ<7629>です。

日本では軽自動車のイメージが強い会社ですが、実は売上高の7割は海外販売です。特にインドでは50%のシェアを誇り、売上高の4割近くを占めます。

インドと言えば、中国に次ぐ10億の人口を誇る国です。しかし、経済発展はまだ大きく遅れています。逆に言えば、経済が発展すれば、中国に匹敵する巨大市場が生まれるわけです。

自動車販売台数(出典:GLOBAL NOTE

現在でも世界第4位の市場ですから、これが中国と同じくらいになるとすれば、将来的に7倍程度に拡大する余地があります。単純にスズキのインド販売が7倍になれば、他が一定でも売上高は3倍に膨らむのです。

もちろん、そう単純ではありません。宗教や文化、政治の複雑性により、ビジネス環境は良好とは言えません。これからも多くの困難が待ち受けるでしょう。

しかし、逆に言えば、それだけ困難な状況でも、シェア50%という地位を築いたスズキの経営力には感心するしかありません。

トヨタがスズキと提携しましたが、それだけスズキのインドにおける強さは他社から見ても垂涎ものなのです。

【関連】スズキ株急落~投資家は三菱自動車の「二匹目のドジョウ」を狙えるか?=栫井駿介

Next: スズキ株の下落は買い時なのか?



株価は下落基調。PER10倍は「買い」か?

上記の記事を書いた時点(2016年5月)で買えればよかったのですが、そのままあれよあれよと言う間に3倍近くまで上がってしまいました。

しかし、ここに来て再び下がってきています。

スズキ<7629>日足(SBI証券提供)

下落要因としては、世界経済の先行き不安が考えられます。たしかに、中期的な展開は思わしくありません。景気後退となれば、一時的な業績悪化も避けられないでしょう。(編注:4月12日に開示された「特別損失の計上に関するお知らせ」により、翌営業日の15日に大きな下落がありました)

しかし、長期的に考えると、インド市場の成長により業績を伸ばすことが期待できます。一時的な景気動向で株価が下がるなら、それは買い時と言うことができるでしょう。

現在のPERが10倍と低水準です。いずれ現在の利益を超えて最高益を更新するようなら、長期的にはプラスになる確率が高いと言えるでしょう。

もちろん、それまでは株価は下がることもあるでしょうが、そこに耐えて先を見据えられるのが本当の長期投資家なのです。


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image by: Atif Amin / Shutterstock.com

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年4月12日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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