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金融支援が終わったダウ、消費増税前の追加緩和が期待できる日経平均=犬丸正寛

先週金曜日のNYダウは367.29ドル安の17128.55ドル、また時間外のシカゴ日経平均先物円建は18780円となり、21日(月)の東京株式市場は安く始まりそうです。黒田日銀が18日(金)に決定した金融緩和の追加措置は出鼻をくじかれ不発に終わった格好ですが、株式評論家の犬丸正寛さんは今後、消費税10%を見据えた日銀の追加緩和がポイントになると見ています。(『日刊株式投資情報新聞』)

1年強に迫った消費税10%、最後の切り札は日銀の追加緩和か

日銀のETF増枠などで乱高下、不発に終わった「黒田マジック」

18日(金)の日経平均の終値は1万8986円80銭(366円76銭安)、TOPIXは1537.10ポイント(27.61ポイント安)、出来高概算(東証1部)は急増して29億8751万株。

18日後場の東京株式市場は、12時半頃に日銀がETF(上場投資信託)の買い入れ枠を増やすなどの追加緩和を決定と伝えられ、日経平均は前引けの46円安から13時にかけて一気に515円高まで急騰した。

しかし、為替が円高気味になったことなどが影響してか、一転、急反落に転じ、13時30分頃には160円安。一時的に揺り戻した後は一段ジリ安となり、大引け間際に371円31銭安(1万8982円25銭)まで下げた。前場は高かった東証マザーズ指数も軟化した。

日経平均株価 1分足 2015年12月18日(SBI証券提供)

後場は、宅配寿司のライドオン・エクスプレス<6082>(東1)は消費税の軽減税率の恩恵などから終盤に一段高。さくらインターネット<3778>(東1)が前場に続いてフィンテック(金融IT)技術企業との提携などを好感してストップ高に張り付いたほか、リアルワールド<3691>(東マ)も仮想通貨ビットコインのポイント交換業務への進出などが言われてストップ高。ラクーン<3031>(東マ)も前場からストップ高。

この日は3銘柄が新規上場となり、フリュー<6238>(東1・売買単位100株)はプリクラ関連事業などを展開し、取引開始と同時に公開価格3200円を上回る3220円で初値がつき、高値は前場の3320円、終値は2972円。

アートグリーン<3419>(名セ・売買単位100株)は胡蝶蘭をはじめとする高級生花の生産や輸入、卸売りなどを行い、10時30分に公開価格420円を46%上回る614円で初値がついた。高値は前場の664円、終値は526円。

アークン<3927>(東マ・売買単位100株)はマルウエア(悪意のあるサイバー攻撃ソフト)に対するセキュリティー対策などを提供し、本日は買い気配のまま値がつかず、大引けは気配値で上げる場合の本日の上限気配になる3130円(公開価格1360円の2.3倍)となった。

東証1部の出来高概算は増加して29億8751万株(前引けは9億7869万株)、売買代金は3兆5971億円(同1兆1030億円)。1部上場1930銘柄のうち、値上がり銘柄数は279(同745)銘柄、値下がり銘柄数は1578(同1034)銘柄。

また、東証33業種別指数は全業種が値下がり(前引けは11業種が値上がり)し、値下がり率の小さい業種は、上位は、医薬品、鉄鋼、水産・農林、空運、精密機器、サービス、情報・通信、輸送用機器、などとなった。

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年内は「モヤモヤ解消」相場

年明けは日米とも景気注視の展開へ~犬丸正寛の相場展望

1年もの長きにわたって、「ヤル、ヤラナイ」と、やきもきさせてきたアメリカの利上げ問題がはっきりした。7年におよぶゼロ金利政策が終了、来年は利上げの展開を迎える。気になるのは株価への影響であることは言うまでもない。

当面、少なくとも年内は、はっきりしなかった金利引上げ問題の霧が晴れたことで、「モヤモヤ解消相場」が続くものとみられる。しかし、年明けからは1本調子の上昇ということにはならないように思える。

アメリカは景気に配慮して、今後の利上げは小幅となることは予想されるが、しかし、今回の利上げ方針決定は、今の景気がこれ以上、好調となる必要はないというメッセージでもある。住宅、自動車の販売はバブルともいえる状況でこれ以上の拡大が続くと、バブルが破裂したときの反動が大きいものとなる。

今後のアメリカ景気が小幅の利上げを吸収して緩やかな上昇を継続できるか、いわゆる、ソフトランディングができるかが注目されることになろう。このため、年明け以降のNYダウは景気に対する小さな変化に敏感となる展開が予想される。

2009年3月のボトムから約7年で、ゼロ金利と量的金融緩和によって約3倍に上昇してきたNYダウが、一大転機を迎えていると捉えておきたい。大きく下がることはないとしても、言えることは、これまでと同じような短期間で3倍上昇は難しいということだ。

一方、日経平均も2009年から約3倍に値上がりしているが、この間、アメリカが3度の量的金融緩和を実施したのに対し日本は2度の実施で、アメリカに習えばもう1度の金融緩和が見込めることになり、この点は日経平均はプラスである。

1年強に迫った消費税10%を考えると最後の切り札の量的緩和は実施されるものとみられる。金融の支援が終わったNYダウと、金融支援の見込める日経平均ではこの点に大きい違いがあり、今後は徐々に日経平均はNYダウとは違った展開となる可能性がありそうだ。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

物色の中心は引き続きトヨタ自動車など主力株ではあるが、政府の方針である「東京から全国隅々まで景気の実感を」「大手企業の好調が中小企業へも波及効果を」ということからも、そろそろマーケットでは主力株だけでなく中低位銘柄にも物色の矛先が向いてくるものとみられる。

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日刊株式投資情報新聞』2015年12月18日号より
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