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【展望】リスク回避で日経の上値重く。個別物色は資金の逃げ足に要注意=山本伸一

リスク回避の動きが続き、上値の重い展開となっている株式市場。外部要因も落ち着かず、依然として不安定な様相は続いている。こんな時は、自動運転やドローン、マイナンバー、インフルエンザなど次のテーマ株を仕込むのもよさそうだ。(『プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。』株式評論家・山本伸一)

軟調展開が続く日本市場。次のテーマ株を物色する機会に

まずはこの1週間(1月11日週)の相場動向を振り返り

今週の株式相場は、大発会から調整に見舞われた先週の流れから、月曜日の「成人の日」の祝日休場明けとなった火曜日も売り優勢の展開。水曜日には買い直されたものの、木曜日には再び売り込まれており、金曜日には見直し先行も戻り売りで軟化するなど、まだ全体的に軟調展開が続いています。

日経平均株価は、先週末の1万7600円台から、火曜日に1万7200円台まで下押し。水曜日には1万7700円台まで戻したものの、木曜日には一転して一時1万7000円の大台を割り込む場面まで下押し。金曜日も1万7100円台まで持ち直したものの、先週より水準を切り下げてきました。

日経平均株価チャート 2016年1月15日終値

先週は、地政学的リスクの高まりやサーキットブレーカー発動の中国株安が嫌気されるなど、外部要因悪化とともにリスク回避の流れが強まりました。

週末3連休明けの火曜日には、休場中の海外株安を受けて見切り売り圧力を強め、日経平均株価は戦後初となる大発会から6日続落を記録。水曜日には外部要因好転やリバウンド期待の高まりとともに買い優勢の展開に。日経平均株価は今年に入って初めての前日比プラスの7営業日ぶりの反発となり、前営業日下落分を埋めてきました。

しかし、木曜日には一転して米国株安など外部要因悪化とともに大きく売り直されており、日経平均株価は急反落。後場ではインドネシアの爆発発生など地政学的リスクに備えるリスク回避が影響。日経平均株価はザラ場中に大台1万7000円を割り込む場面も見られました。

金曜日には、米国株高、円安推移の外部要因改善とともに日経平均株価は反発スタート。ただ、戻り売り圧力が働き、高寄りから伸び悩み。日銀の黒田総裁が「現時点で金融緩和の考えはない」との発言を受けて円高が進行。後場からは日経平均株価がマイナス転換に。中国株の午後取引開始で上海総合指数が年初来安値更新したことから、リスク回避の流れに拍車がかかり、金曜日の日経平均株価終値は1万7,147.11円と下げ幅を広げて取引を終えています。

値動きの激しかった銘柄をおさらい

日経平均構成銘柄では、構成比率上位のファーストリテイリング<9983>ファナック<6954>ソフトバンク<9984>の下落が目立ち、トヨタ<7203>、ソニー<6758>、キヤノン<7751>の外需関連、三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>、みずほFG<8411>のメガバンクも反落。ハイテクの村田製作所<6981>、内需系のNTTドコモ<9437>や原油価格の下落で市況関連の三井物産<8031>なども売られました。

ファーストリテイリング<9983> 日足(SBI証券提供)

ファナック<6954> 日足(SBI証券提供)

ソフトバンク<9984> 日足(SBI証券提供)

そんななかでも、台湾の鴻海精密工業が買収を再提案するとの観測報道が伝わったシャープ<6753>が大幅高。買収額を7000億円規模に引き上げるなど、具体的な内容が物色の手掛かりとなり、交渉が進まない場合にはTOBの可能性も伝えられていることから思惑買いも入っています。

シャープ<6753> 日足(SBI証券提供)

また、米クアルコム社と業務提携、高周波モジュールなどを提供する合弁会社の設立について合意したTDK<6762>が上昇。IoT関連のテーマ性も再認識されました。

TDK<6762> 日足(SBI証券提供)

また、個別株ではそろそろ決算に絡んだ売買もあり、火曜日にはイオン<8267>が第3四半期決算の連結営業利益は増益となったものの持分法適用会社の連結化によるもので、減額懸念の高まりから暴落。

イオン<8267> 日足(SBI証券提供)

また、川崎重工業<7012>も集計中の第3四半期決算でブラジル造船合弁事業での損失221億円を計上し、下方修正懸念から大幅続落と、相場調整とともに減額修正懸念の銘柄には見切り売りが相次いでいます。

川崎重工業<7012> 日足(SBI証券提供)

テーマ物色を追い風に連日ストップ高を形成していたフィンテック関連銘柄も、SJI<2315>、インフォテリア<3853>、さくらインターネット<3778>も金曜日には売り込まれるなど、フィンテック関連などのテーマ株もひとまず利益確定の動きが出ています。

Next: 【展望】外部要因は落ち着かず。1月18日週は新たなテーマ株を物色する機会に



フィンテック関連も一段落?ディーリング資金の循環も見られる

さて、大発会から続落を続けている株式市場。13日の水曜日にようやく反発したものの、さすがに大幅調整からの戻り売り圧力は根強く、外部要因軟化も重しに。週末3連休を控える米国市場の手仕舞いを考慮する動きも働いたのではないでしょうか。

ただ、金曜日の日経平均は、結果的には5日移動平均線(1万7404.12円)の上値抵抗に押されたものの、下値切り上げに転じるなど、25日ボリンジャーバンド-2σ(1万7179.11円)や大台1万7000円に対する意識も高まっているものと思われます。

東京市場は木曜日は米国株安とともに下押し。米国反発とともに金曜日は見直し買いが先行しましたが、戻り売りに押される格好。日銀黒田総裁の発言で緩和期待も後退、円高推移も逆風となっています。前営業日も日経平均株価の大台1万7000円攻防をこなし、本日も下値切り上げ。株価指数の水準的にも昨年後半の安値レベルにあり、下値を拾う意識も働くところです。さすがにこの水準での下値レベルでは、中長期視点での買いを誘っているのではないでしょうか。

ただし、ここ最近、連日ストップ高や売買代金上位に進出してきたフィンテック関連などの一部テーマ株には、利益確定の動きが働いています。金曜日の市場でもSJI<2315>、インフォテリア<3853>、さくらインターネット<3778>などの全員参加型となった人気銘柄には利益確定売りが出ており、ディーリング資金の循環が見られました。

新たな投資テーマ株を物色する局面か

週明けには米国市場が祝日休場となるだけに、週末の米国市場や外国為替市場などの外部要因の変化を反映した月曜日の寄り付き後は、ディーリング対象が活躍する局面も期待できそうですが、今週フィンテック関連が失速したように、最初の盛り上がりから売買代金の上位に進出して全員参加型となった銘柄は、利益確定のタイミングが大事。

いくら上昇率の高い銘柄でも、ディーリング資金の逃げ足は速く、売られるときは短期間で一気に売られることもあるため、着実に利益確定をしていくことがポイントです。

NYダウ 5分足 1/15(金)週末時点(SBI証券提供)


米ドル/円 5分足 1/15(金)週末時点(SBI証券提供)


シカゴ日経先物円建 5分足 1/15(金)週末時点(SBI証券提供)

外部要因は落ち着きを欠いているので、中長期投資対象と併せて、新たな投資テーマを探っていく局面でしょうか。自動運転ドローンマイナンバー関連のほかに、インフルエンザ流行など新たなテーマも出てきているので、個別の投資テーマ株を物色していきましょう。

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※チャートと太字はMONEY VOICE編集部による

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