大変動というほどではないですが、為替相場は久々に上下に慌ただしく動いています。そんな中、今日は月に一度のお祭り、雇用統計です。相場の現状をしっかり確認しつつ、展望、トレード戦略を考えていきたいと思います。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)
想定レンジは1ドル=107.80~109.30円、今夜のトレード戦略は?
利下げが織り込まれ、ドルが買いにくい相場に
ここ1~2週間の為替相場における大きな変化とは、やはりドルが買いにくくなったということでしょう。
端的に言えば、利下げが織り込まれて米長期金利(10年債利回り)が低下し、その影響でドル安という流れになっています。
背景には、米中貿易戦争への懸念やメキシコへの関税、さらには米経済指標の停滞・悪化などが挙げられます。
これらを嫌気して、株が売られて国債が買われ、結果的に金利が低下(国債の価格は上昇)しました。
また、FRBメンバーの何人かも利下げに言及するなど、ここ最近は利下げ機運が高まっています。
上記はCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)グループが金利先物市場の動向に基づいて算出した、今現在の市場が想定している2019年末のFF金利(フェデラルファンドレート、政策金利)の水準です。
1回の利下げで25bps(ベーシスポイント)引き下げられると考えると、2回の利下げが33.0%、3回の利下げが32.8%も織り込まれており、市場は2~3回の利下げが行われると想定しています。
これではドルが買えないのも納得というか、かなり前のめりというか行き過ぎた折り込みであるとは思いますが、当局者も利下げに言及していることを踏まえれば、なかなかドルが買えない相場になりつつあるのが現実かと思います。
先行指標はADP雇用報告の9年ぶりの低水準が気がかり
それでは、雇用統計の先行指標を確認していきましょう。今回は民間の企業の発表するADP雇用報告の大幅な下振れが目立ちます。9年ぶりの低水準でした。
ISMは改善していますし、新規失業保険申請件数を見ても、そこまで悪化しているとは思えません。それだけに、ADPによる雇用者の大幅減は嫌でも目につきます。
4月分が強めだったことを踏まえると反動減とも考えられますし、トレンドで見れば一時的と考えることもできます。
しかしながら、今日の雇用統計の非農業部門雇用者数も大きく予想を下回るようだと、米国の労働市場、ひいては企業活動への懸念は強まることになりますから、要注意でしょう。
そして、率直な感想として5月の米経済指標はやや弱めの数字も並んでおり、4月と比べると停滞感は否めませんから、予想を下回る可能性が高いのかなと感じています。
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引き続き戻り売りがベターか?想定は1ドル=107.80~109.30円
ドル円は108.00~108.10円近辺での底堅さを考えると、よほど極端に弱い数字(例えば非農業部門雇用者数が5万人を下回るなど)が出ない限り、底抜けという値動きにはならないでしょう。
底抜けなら、やはりメキシコとの協議が決裂するなど、さらなるネガティブ材料が必要になってきそうです。
もっとも、メキシコ協議は後にホワイトハウスから否定されましたが、一時合意が伝えられるなど進展機運が高まってますから、まずは合意方向で見ておきましょう。
そして、合意すればリスクオンでドル円は買われることになりますが、それでも、これだけ米長期金利が低下していることを踏まえると、上値はかなり重いままでしょうから、まずは戻り売りというのが第一感ですね。
実際、一部報道で合意が伝えられても、ドル円はそこまで伸びきれませんでしたからね。
ドル円は日足ベースのレジスタンス(上値抵抗)である108.40~108.50円に当たって止められている状況です。
仮にここを抜けても109.00円の節目ラインがレジスタンスになりますし、109円台では売られやすいでしょうから、上値は21日移動平均線のある109.30円ぐらいを目先の上限と考えています。
なので、ここを抜けた109.40円ぐらいに損切りを置きつつ、雇用統計発表前に108円後半ぐらいにあるなら、軽く売って結果を待っても良いのかなと思います。
もちろん、雇用統計発表で108円台半ばから後半に戻してきた場合でも軽く売りつつ、さらに上昇して109.00円台に戻してきたら厚めに売りポジションを追加したい。
利食いは状況にもよりますが、108.20円ぐらいから考えておきたいですね。107.80円を割り込んでくると、107円前半ぐらいまで下値余地が広がることになりますが、現状でそこまで見込めるかというと、やや厳しいように思います。
ツッコミ売りは厳しそうなので、まずは戻りを待って売っていくのが基本戦略でしょう。
やはりメキシコとの電撃合意と雇用統計が非農業部門雇用者数、平均時給ともに大きく予想を上回るパターン(例えば、非農業部門雇用者数が+25万人以上、平均時給が前年比で+3.5%以上)なら上抜けもありそうですが、そうでもなければ上値の重い状況は変わらずでしょうからね。
というわけで、先行指標や5月の米指標を見ても、あまり強気になれる材料もありませんから、多少、予想を上回る程度なら戻り売りで対応していきたいと考えています。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年6月7日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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