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韓国はファーウェイと別れるの?別れないの?米中二股を清算できず経済崩壊の危機へ=勝又壽良

韓国は、中国のファーウェイ(華為技術)問題で、米中のせめぎ合いに苦悩しています。米国は、次世代通信網「5G」でファーウェイを導入しないように迫っています。中国は、従来通りのスマホ部品供給を「要求」しています。6月5日、中国外交部(外務省)高官は、韓国記者団との懇談で、「韓国政府と企業が正しい判断をしなければならない」と高圧的発言をするほど。一種の脅迫とも言えるでしょう。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2019年6月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

どっち付かずはもう続けられない。韓国に最悪の経済危機が迫る…

ファーウェイの「スパイ行為」を糾弾する米国

ファーウェイが5月15日、米国政府から安全保障上の理由で、ソフトと技術の輸出規制(事実上は禁止)措置を受けました。これは、米中双方にとって死活的な問題です。

中国にとってファーウェイが、ハイテク企業の中核であります。唯一の世界的な企業に発展し、次世代通信網「5G」を牽引すると期待を寄せています。

米国から見たファーウェイは、スパイ行為を広範に行っていると、その事実を指摘しています。スマホには、「バックドア」を仕掛けている。技術窃取の先兵にもなっている。こうも言われています。「5G」では人民解放軍と組んで、インフラ設備の破壊情報収集など簡単に行えるソフトが仕組まれる、と警告しています。

「5G」疑惑は、豪州政府のハッカー集団によるゲーム演習で判明しました。昨年初めのことです。これ以来、世界の最高機密収集「ファイブアイズ」(米・英・豪・加・ニュージーランド)によって、その危険性が共有されました。この「ファイブアイズ」に最近、日本が加入したと報じられています。

どちら側についても地獄を見る韓国

ファーウェイをめぐる疑惑は、米中対立の深刻な原因になっています。中国にとって、ファーウェイは「中国製造2025」の核になる企業です。米国は、安全保障上の理由で「危険な存在」として排除しています。

米国のファーウェイ排除理由を考えれば、韓国は軽々にこの問題を扱えない事態になってきました。

以上のファーウェイを巡る話を整理しておきます。

中国:産業高度化計画「中国製造2025」の中核企業である。
米国:安全保障上において最も危険な企業である。

韓国が、ファーウェイへの部品供給をストップすれば、中国政府から「信頼できない企業」としてリストアップされ、中国へ進出している部門が不利な扱いを受けます

一方、部品供給を継続すれば、米国政府から「セカンダリー・ボイコット」を受ける危険性があります。セカンダリー・ボイコットとは、「不買・拒否・排斥運動などを、第三者に呼びかけ、行わせることで、相手方に圧力や打撃を加えること」です。この措置を受けると、米国市場で大変な被害を受け兼ねません。

韓国にとってファーウェイ問題は、米中両国に関わるだけに扱いが慎重にならなければなりません。韓国の輸出市場は、中国が1位、米国2位というウェイトを占めているからです。

まさに、「前門の虎、後門の狼」という関係です。

Next: いつまでも二股を続けられない韓国、ついに関係を精算か

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