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コカ・コーラ、世界的な砂糖離れに大苦戦。「健康志向」に乗れない企業は潰れていく=鈴木傾城

コカ・コーラ社は莫大な広告費をかけて主力のコーラを宣伝しているが、炭酸飲料は世界的に売れなくなってきている。人々の嗜好は変わったのか?状況をつぶさに見ると「変わった」というしかない。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

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「肉フェス」に猛抗議する人々

2019年のゴールデンウィークに、東京と大阪で「肉フェス」という肉料理に特化したグルメイベントが行われていた。2014年から開催されているこのイベントは累計来場者数は630万人を超えるものになっている。

ところが、このイベントに対して「筋金入りの反対者」が抗議デモをしていた。

ヴィーガン主義の人々である。ヴィーガンとは日本語で「絶対菜食主義」とも言われているのだが、「絶対」とあるように動物の肉も魚も卵もいっさい食べない徹底した菜食主義者を指す。牛乳も飲まない。

彼らが「肉フェス」のイベント会場の前で、残虐に殺された動物の写真を並べて「動物を殺してほしいですか」「ヴィーガンになろう」「搾取から脱却しよう」と訴えていたのだった。

欧米でも、肉屋の前で「動物を殺すな」と過激な抗議活動をして、賛同よりはむしろ顰蹙(ひんしゅく)を買っている。しかし、世界中で彼らの主義主張はじわじわと広がっており、実際にヴィーガンの食生活を試す人も多い。

絶対に肉を食べないという極端な食生活をライフスタイルとして取ると、普通の食生活ができなくなり、生活に不便をきたす。しかし、ヴィーガンは増えている

彼らのためのレストランや食材の提供も静かに増え続けている。これは、ひとつの潮流だ。

コカ・コーラ、炭酸飲料が売れずに苦慮

ところで、別の潮流も起きている。炭酸飲料離れ、砂糖離れだ。

コカ・コーラ社は世界有数の国際炭酸飲料企業だが、2018年9月にあるイギリスの企業を51億ドル(約5,700億円)で買収することで合意した。その企業とは「コスタ・コーヒー」である。

コスタ・コーヒーは日本には上陸していないので、あまりよく知られていないのだが、スターバックスに次ぐ規模を持ったイギリス最大のカフェチェーンである。欧米から中東までを網羅している。

それにしても、炭酸飲料が主力のコカ・コーラ社がなぜコーヒーだったのか。

その理由は、主力である炭酸飲料の不振が長引いていることにある。アメリカだけでなく、世界中で同じ傾向がある。コカ・コーラが、かつてよりも「飲まれなくなってきている」のである。

砂糖まみれの炭酸飲料であるコカ・コーラは「身体に悪い」というイメージができつつあり、人々は無意識にそれを避けるようになっている。

人々があまりにも「砂糖まみれ」の飲み物を避けるので、コカ・コーラも人工甘味料に切り替えて砂糖を使わない製品を揃えるのだが、そうすると今度は人工甘味料が健康に悪いと槍玉に挙げられる始末だった。

コカ・コーラ社は莫大な宣伝費をかけて主力であるコカ・コーラを宣伝しているのだが、その宣伝力にも関わらず、炭酸飲料を売り込むことに苦慮している。

人々の嗜好は変わったのか? 状況をつぶさに見ると「変わった」というしかない。

人々は明らかに「炭酸飲料離れ、砂糖離れ」を起こしているのだ。それがゆえに、コカ・コーラ社は対策を急いでいる。その対策のひとつとして「コスタ・コーヒー」の買収がある。

コーヒーは「身体に良い」というイメージがある。「身体に良い」というイメージに向けて、人々は嗜好を変えている

Next: マクドナルドも「脱ジャンクフード」への舵切りを迫られている

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