政府発表のGDPは振れ幅が大きすぎるとして、日銀が独自のGDPを算出するという報道が出ました。世界でも例を見ない、まさに前代未聞のできごとに唖然としています。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年5月25日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
なぜGDPが正しくない理由を突き詰めない?原因は明白なのに…
日銀はもう政府統計を信じない?
ここのところ国内のGDPの発表内容にあれこれ物申すメルマガを配信させていただいていますが、先週にまたそれとは異なる驚くべき動きが報道され、唖然としているところです。
それは日銀が消費関連の基礎統計である家計調査を利用した内閣府が発表しているGDPについて、調査の振れの大きさを問題視して、独自のGDPの算出を行うという話です。
※参考:日銀が独自のGDP作成、消費関連の精度高め景気判断に活用-関係者 – Bloomberg(2019年5月21日配信)
かねてから日銀は内閣府が取りまとめているデータに大きな疑義を感じており、個人消費の推計データの公表を要請し、足元ではしぶしぶ了承する形でデータを公表し始めているというのです。
日銀としては分析結果を公表するかどうかはわからないとしているようですが、それにしても前代未聞の状況が示現しようとしていることがわかります。
中央銀行が独自にGDPを試算する先進国など存在しない
まあ日銀が同じデータを利用して精度の高い分析結果を出せるなら、それはそれでいいだろうと楽観的な見方をされる方もいるかもしれません。
しかし、一国の統計調査部門がまとめた数字が信用に足らないので、中央銀行が独自に分析してGDPを別途算出するなどという話は、いまだかつて聞いたことのないものです。
近代国家の構成要件を著しく汚すような対応ではないかと、かなり飽きれている状況です。
米国FRB傘下のアトランタ連銀は、独自に分析することで「GDPNOW」という予測モデルを発表していますが、あくまで地区連銀としてのシミュレーション予測モデルであって、アメリカ合衆国の責任ある機関がとりまとめた数字とは別に試算するなどということは行っていません。
いったいどうして、このような体たらくな事態に陥ってしまうのでしょうか?