日本経済の悪化を理由に、ここに来て「消費税増税が延期されるのではないか?」との見方が強くなっています。そうなると、「キャッシュレス決済なら5%還元」という施策はどうなるのでしょうか?(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)
※本記事は。『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』2019年5月15日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。
キャッシュレスの灯火は消える?消費増税延期後の3シナリオとは
気になる米中貿易戦争と消費税延期
5月14日、私は東京下町の商工会議所に招かれて「キャッシュレス」についての講演を行いました。出席者は商工会議所の幹部に限られていたので結構緊張しました。
最初は事業主が多いので、コード決済を導入する際にどの決済代行業者を選んだら良いのかといった話がウケると思っていたのですが、実際はキャッシュレスの歴史の解説が高い評価を得たのでした。
この講演会が始まる前までは、私は悩み抜いていました。
米中貿易戦争の影響で、景気が悪化して、リーマン・ショックまではいかないけれど、それと同じほどの影響があるために、消費増税が延期になるのではないか、と言われはじめたからです。
「キャッシュレス決済で5%還元」もなくなってしまう?
そうなると、消費税アップに伴う救済策として中小小売店で、キャッシュレス決済すると5%ポイント還元はもちろん、導入初期費用の補助、手数料の引き下げといった特典も、すべてなくなってしまう可能性が出てきたからです。
そんなことになったら、せっかく盛り上がっているキャッシュレスブームがたちまちにしぼんでしまうのではないかと恐れたのでした。
安倍政権としては、消費税延期を打ち出して、それを国民に問うというカタチで、衆参ダブル選挙を行うといわれています。
一方の野党も対抗して消費税延期を旗印に、選挙戦を戦うと思われます。
そうなると、いずれが勝ったとしても消費税延期は確定的になるわけです。ですから、選挙が決まった時点で、消費税アップは立ち消えになるということです。
その結果、この救済策がどうなるか気になるところです。
そこで、現在考えられるシナリオを3つのケースに分けて考えてみました。