5月22日、金融庁が「資産寿命」についての指針案を発表。公的年金だけでは望む生活水準に届かないことを明言し、国民に「自助」を求めたその内容に批判が集まっています。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年5月24日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
年金を謳って国民から金を巻き上げる詐欺?不足の責任はどこに…
ついに「年金不足」が明言された
5月22日、金融庁が日本の国民の資産寿命について初の指針案をまとめ、その原案を開示しました。その内容を巡って、大ブーイングが起きています。
正確な詳細はこちらのPDFでご覧いただけますが、ごくごくかいつまんでその中身を言えば、少子高齢化が現実のものとなり年金の給付水準を維持することがもはや困難であることを明言しています。
国民の誰しもが薄々感づいていたことが、とうとう文書で明文化されてしまう事態となったわけです。
現状の年金給付額でも、老後は1,300〜2,000万円ほど足りなくなる
ご丁寧に不足額について極めてリアリティの高い内容を開示して、リスクを煽っています。
この文書では、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯を例に挙げており、現状の給付でも毎月の不足額が平均約5万円にのぼり、老後の人生が20〜30年のあるとすれば総額は単純計算で1,300〜2,000万円の不足になるとしています。
恐らく今後、給付年齢の後ずれがより明確になり、70才から下手をすれば80才にまで引き上げられることになれば、不足額はこんなものではなくなる可能性が一段と高まることになります。
政府は一方で、仕事を持つ高齢者は70歳過ぎまで年金の保険料の支払いを検討しているわけで、これではいくら支払っても何の意味もないことが明確です。
そもそもこういう試算文書を、なぜ金融庁がまとめるのか? 監督官庁は厚生労働省ではないのか?ということも大きな疑問となります。