アジア各国で急速にQRコード決済が広がっている。中国の大資本アリババとテンセントが提供する決済システムだ。これが普及する意味を鈍い日本人は知る由もない。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
なぜアジアに普及した? AliPay・WeChat payは使うなという声も
日本人が中国政府にリアルタイムで監視される?
日本はまだキャッシュレスの時代に突入しておらず、電子決済を率先して使う人も多くない。「QRコード決済」と言っても、それが何なのか分かっていない人が大半だ。
そのため、ほとんどの日本人は「QRコードによる決済はアリババやテンセントという中国の巨大ハイテク企業が強い影響力を持っている」ということも知らない。
何も知らない以上、アリババやテンセントが決済システムを制したら何が起きるのかなど想像すらもしたこともない。だから、このように言っても意味が分からないかもしれない。
「日本で暮らし、日本から出たことがなく、中国に行ったことも関心もないとしても、QRコード決済がアリババやテンセントが市場を制したら、日本人もリアルタイムで中国政府に監視されるかもしれない」
いったい、どういうことなのか。何が起きているのか順を追って見ていこう。
日本を尻目に、アジア各国がキャッシュレス化に突き進む
世界は今、急速にキャッシュレスに向かっているのだが、動きの鈍い日本を尻目に、東アジアも東南アジアも国を挙げてどんどんキャッシュレスに向かって突き進んでいる。
キャッシュレスとは「現金を使わない決済」のことを指す。
分かりやすく言えば、「紙幣や小銭を使わない決済」を指す。今までは自分の財布から紙幣や小銭を数えてレジに渡し、レジの人もまたそれを数えておつりを返すという時間のかかるやり取りをしてきた。
今後はそれをやめて、デビットカードやスマートフォンやアップルウォッチのようなもので「電子決済」を行う。決済は一瞬にして終わり、小銭を何度も数え直したり、出し間違えたり、落としたり、ごまかされたりすることもない。
もちろん、汚い紙幣や偽札をもらうこともない。「迅速、正確、清潔」なのが電子決済なのである。
日本人は紙幣や小銭を大切にする。そのため、ひどい紙幣が渡されることはほとんどない。
しかし、世界ではボロ雑巾のようになった紙幣や、破れてボロボロになった紙幣や、錆びついた小銭が結構な割合で流通していて、偽札や似たような価値のない外国紙幣も混じっている。
電子決済はこれをすべて廃する画期的な決済なのである。