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中国政府に見られてるぞ。日本人が知らない「QRコード決済」の闇=鈴木傾城

「アリペイ」「ウィーチャットペイ」が広がっている

しかし、タイではのプロンプトペイと同時に爆発的に広がっている別の種類のQRコード決済がある。それが以下のふたつのものである。

・AliPay(アリペイ)
・WeChat pay(ウィーチャットペイ)

どちらも中国から来たQRコード決済で、アリペイは中国版アマゾンと言われている「アリババ」が展開するもの、ウィーチャットペイは中国版任天堂と言われている「テンセント」が展開するものだ。

すでにタイのセブンイレブンや土産屋やレストランなどでは、普通にこの中国からきたQRコード決済が使えるようになっている。実際にタイに観光にきた中国人の多くが、このふたつのどれかを決済で使っている。

中国人がやってくる店では、「このふたつが使えないことには商売できない」と言われるほどになっており、タイ従業員もまたこのふたつに慣れることによって、自らも私生活で使うようになっている。

中国企業が掌握する「QRコード決済」が広がる意味とは

言うまでもないが、「アリペイ」と「ウィーチャットペイ」は中国企業が展開するものである。

このふたつがアジア圏を制するというのは、ビジネスで消費者の分析に欠かすことができないユーザーの消費動向はすべて中国のアリババとテンセントという超巨大ハイテク中国企業が掌握することになる。

ところで、これは何を意味するのだろうか。

たとえば、アリペイを展開するのは「アリババ」なのだが、このアリババの創始者はジャック・マー氏だ。中国最強の事業家である。

辣椒(ラージャオ)という習近平批判で亡命を余儀なくされた中国人漫画家がいる。このラージャオ氏はジャック・マーが中国共産党と結託しており、アリペイも危険であると警鐘を鳴らしている。

たとえば、2017年5月23日のデイリー新潮で以下のように書いている。

中国では、人権派弁護士が地方で起きた事件の調査に行くためにアリペイで電車のチケットを買うと、その情報がすぐに当局に伝わり、駅で警察が待ち構えていて妨害されたりします。さらにひどくなると、突然アリペイが使えなくなる。困った弁護士が、家族のアリペイを借りて電車のチケットを購入したら、詐欺罪で逮捕されて晒し者にされたこともありました。

出典:「中国IT最大手アリババの決済サービスは使ってはいけない」中国人漫画家が日本人に警告 – デイリー新潮(2017年5月23日)

アリババは中国共産党とべったりであり、ジャック・マーは中国共産党にユーザーの情報を漏洩することによって、その地位を維持している。

一方のテンセントの方はどうなのか。レコードチャイナ紙は「テンセントのウィーチャットそのものが中国共産党の党員によって作られたものである。社内に共産党委員会があり、テンセントの上層幹部の多くが中国共産党の上層部と結びついている企業である」と指摘している。

アリババとテンセントが展開する「アリペイ」と「ウィーチャットペイ」が決済を掌握するというのは、どういう意味なのか。見えてきた人もいるはずだ。

それは、アリペイとウィーチャットペイを通して中国政府が自国民のみならず、外国人の消費動向をも監視することが可能になるということなのである。

Next: 中国の「QRコード決済」が日本に定着したら何が起きる?

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