米中貿易摩擦がここまでこじれたのは、中国が国家ぐるみで知的財産の窃盗を繰り返し、その窃盗した技術で米国市場に乗り込んできたからだ。米国が本気でつぶしにかかっている中国ファーウェイの今後と、米中対立の激化が世界にもたらす7つの厄災について解説したい。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
米中の決定的な対立で二分割される世界。最終的に滅ぶのは?
「新冷戦」が始まった
アメリカと中国の「対立」が激しいものになっている。
2019年5月5日、アメリカのトランプ大統領は「中国との通商協議は継続しているが、遅すぎる。中国側は再交渉しようとしている。ノーだ」とツイッターに書き、2000億ドル分の中国製品の関税を10%から25%に引き上げると宣言した。そして、5月10日には有言実行で25%の引き上げを実行した。
中国との通商協議は順調に進んでいると考えていた投資家は不意を打たれ、全世界の株式市場はNY株式市場も含めて一気に下落、悲観と楽観が交差して動揺は今も収まっていない。
そして、5月13日。今度は中国が「アメリカ製品600億ドル相当に、報復関税として6月1日から最大25%に引き上げる」と宣言した。中国外務省の耿爽報道官は「国外からの圧力に決して屈しない」と強気のコメントを出している。
しかし、トランプ大統領は動じることもなくそれを受け止め、今は「中国製品の残り約3000億ドル相当にも25%の追加関税をかける」ことを検討している。
アメリカと中国の対立は互いの報復関税でヒートアップしているが、今後は人権問題・一帯一路・軍拡でもどんどん対立が広がっていく。世界はこれを「新冷戦」と呼ぶようになっている。
国家ぐるみで知的財産を「強奪」する中国
1990年代からアメリカは中国に傾斜するようになり、中国市場を次の草刈場として育ててきた。経済的に豊かになれば中国政府もやがては民主化していき、欧米企業も巨大化した中国市場で莫大な利益を上げられるという目論見があった。
しかし、中国政府は民主化するどころかますます独裁化していくようになり、欧米企業を締め出したり規制したりするばかりか、欧米企業の知的財産の窃盗を公然と行うようになっていった。
窃盗の方法は多岐に渡る。技術を持った企業を根こそぎ買収したり、中国に合弁会社を作らせて技術を盗み取ったりするのは序の口だ。
ハッキングによってサーバーに不正侵入して情報を盗み取ったり、それぞれの企業に産業スパイを潜り込ませて技術を盗み取ったり、各国の経営者や政治家に賄賂やハニートラップを仕掛けて欲しいものを得たりすることも平気でする。
中国は、知的財産の強奪のためにやれることは、合法・非合法問わず、すべてやっている。