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日本はどっちにつくべき?ファーウェイ潰しで見えた米中貿易戦争の行方=矢口新

米中の制裁関税合戦は激化し、ついにグーグルまでファーウェイ排除に参加。果たして決着の筋道はあるのだろうか?ここで日本はどう立ち振る舞うべきかを考えたい。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2019年5月20日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

中国は日本のようになりたくない? 米中はどちらが不公平なのか

制裁関税合戦

今年に入って4月末まで、米株は概ね3つの材料で上昇していた。「米中貿易戦争の休戦」「中央銀行のハト派への傾斜」「過度な景気減速懸念の後退」だ。

ところが5月5日、トランプ大統領が「中国からの輸入品2000億ドル相当への関税」をツイートしたことで、米中貿易戦争は再開した。その時、トランプ大統領は「中国が合意案を破棄したため」だとしていたが、市場はそうした合意内容の破棄が、マイナーなものだと思っていた。

ところが報道によれば、5月初めに中国政府が行ったことは、「7分野150ページにわたる合意文書案を105ページに修正・圧縮」したものを、一方的に米側に送付していたことが分かった。破棄は合意案の何と3割にも及んでいたのだ。

突然の合意破りは国際慣習違反に当たるが、中国は「内政干渉を法律で明文化するような不平等条約は受け入れられない」、「中国の原則に関わる問題では決して譲らない」として、全面対決の姿勢を示した。中国内政の原則とは国家資本主義と呼ばれる、共産党が実質上の経済政策を行うことを指す。

合意案が体制の違いにまで踏み込んでいたとすれば、中国はいったんの合意後でも破棄するしかないだろう。そして、米国の2000億ドル相当への関税に対抗し、中国は600億ドル相当の米国からの輸入品への関税引き上げを発表した。

そこで13日、トランプ政権は中国からの輸入品ほぼすべてに制裁関税を課す「第4弾」の詳細を公表した。その発動時期は6月末以降。トランプは6月末に大阪で開かれるG20首脳会議で「習近平と会談することになるだろう」としている。

ダメージは中国の方が大きい

米国と中国が互いに輸入品すべてに関税をかけた場合に、関税だけの影響で見れば、米国のGDPを0.2〜0.4%前後押し下げることになると言われている。一方、中国のGDPは1%弱低下すると見られている。

中国から米国への輸出は約5400億ドルと米国から中国への輸出の約4.5倍なので、関税全面戦争の影響は中国の方が大きいのだ。

一方、4.5倍分の輸入品の関税を引き上げることになる米国は、その分だけ物価上昇に繋がりやすいことになる。米国の平均的家庭4人の生活コストは年間767ドル増えるという。平均世帯年収は68,000ドル余りなので、1.1%ほどの負担増となる。

2018年7月の第1弾の引き上げは340億ドル相当分で対象は「ロボットや工作機械など」だった。2018年8月の第2弾は160億ドル相当分で「半導体や化学品など」が対象だった。ところが、今回の第3弾は2000億ドルと大型で、消費者向け製品にも及ぶ。6月末にも実施するという第4弾は、中国からの輸入品ほぼすべてなので、以上のような負担増となるのだ。実際に、ウォルマートは関税分を価格に転嫁する予定だと明言した。

FRBは景気刺激のために利下げに追い込まれる可能性があると見られているものの、消費者物価の上昇次第では、利下げはできない。トランプ大統領は「関税が我々の国を、弱くではなく『もっと強くする』のだ。 ただ座って見ていてくれ」と言っているようだが、少なくとも目先は景気減速+物価上昇のダブルパンチとなりそうだ。

もっとも、米国の消費者が品質面でも価格面でも、中国製品の代替品を見つけるのは時間の問題なので、制裁関税合戦でのダメージは中国の方が大きいだろう。

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