どちらが不公平?
米中はお互いが不平等、不公平と責め合っているが、果たして実情はどうなのか?
<売った恩を返して欲しい米国>
2001年、中国の世界貿易機関加盟に合わせ、米国は中国に対して恒久的最恵国待遇を与えた。それによって中国は、米国から他よりも低い関税率など貿易面で優遇を受けることとなった。
中国製品はもともとコストが安かった上に、関税率が下げられ、米国の対中貿易赤字は急速に膨らんだ。
トランプ政権は、「米国政府が提供してきた優遇策に対し、中国政府は自国の産業を保護するために多額の補助金や優遇策を自国企業だけに提供し、外資企業を自国の市場から締め出しているなど、不平等な条件を米国企業に突き付けてきた」とし、それを是正すると言うのだ。
関連する事例では、日本政府は1979年以降対中ODAを通じて、中国の経済発展に協力してきたが、2018年度をもって新規採択を終了、すでに採択済の複数年度の継続案件については、2021年度末をもってすべて終了することになる。
※参考:対中ODAの基本方針 – 外務省
日本は有償・無償の資金協力や技術協力を終えるだけだが、「米国第一」のトランプ政権は、与えたものを回収しようとしているとも言えるのだ。
<日本のようになりたくない中国>
一方の中国は、ソ連崩壊に伴う冷戦終結後の、日本経済停滞の要因を研究したとされる。
米国は今も軍事的ライバルであるロシアを叩き続けているが、当時の経済的なライバルは日本だった。日本でその当時言われていたのは「日本は外圧でしか動かない」だった。当時の米政府はトランプ大統領のように「米国第一主義」とは明言せず、「貴国のため」だと主張していたが、外圧を受け入れた結果、日本の成長は止まった。
また、当時は国から企業まで、トリプルAが多数あったが、2012年2月以降はなくなった。トリプルAなどとおこがましい。「外圧」で、どれだけ多くの一流と言われた企業が没落し続けたことだろう。ところが日本人は、米国が「日本のため」にしてくれたことなのに、正反対の結果となったことで、自分たちを責めるようになった。
そんな「日本のようにはなりたくない」とする中国が、「内政干渉を法律で明文化するような不平等条約は受け入れられない」、「中国の原則に関わる問題では決して譲らない」とするのは十分に理解できるのだ。
日本は対米でも対中でも、口先はともかく、実際の所は「お人好し」な対応に終始しているように見受けられるが、トランプ政権と習政権とは、真っ向からやり合うつもりらしい。