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仮想通貨ブーム再燃、次に来るのはFacebookの欠陥を吹き飛ばすブロックチェーン技術=高島康司

ビットコインが再び100万円近くまで上昇してその後80万円台まで急落するなど、ここに来て仮想通貨がじわじわと注目され始めている。そして、仮想通貨の根幹を支える技術「ブロックチェーン」も各分野に利用が拡大しつつある。今回は、SNSを中心としたコミュニケーションの分野におけるブロックチェーンの適用について解説したい。(『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2019年4月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

悪評高いフェイスブックが生まれ変わる?ブロックチェーンの未来

SNSはブロックチェーンで進化する

フェイスブックから大量の個人情報を盗み、選挙で特定候補への投票行動を誘導した2017年の「ケンブリッジ・アナリティカ」の事件は記憶に新しい。

いまではあらゆるSNSで膨大な量の個人情報が蓄積され、それが悪用されるケースは後が絶たない。

最近でも、フェイスブックをはじめとしたさまざまなSNSは、ユーザーに明らかにすることなく、150社に個人情報を販売していたことをニューヨークタイムスが明らかにした。

また、SNSはフェイクニュースの源泉にもなっている。なんの根拠もない情報があたかも事実であるかのように拡散している。そうした情報には、異なる民族や宗教に対する憎しみや攻撃、そしてテロを煽るようなものも多い。

このように、一時はインターネットの新しい時代を開くと思われていたSNSは、個人情報を販売し、フェイクニュースを垂れ流す諸悪の根源ではないかという意見さえ目立つようになった。

しかし、SNSとそれによるコミュニケーションにブロックチェーンを導入すると、既存のSNSのこうした欠陥を是正する方向性が見えてくる

以下、順を追ってそのポイントを紹介したい。

SNSの進化その1:アカウントの暗号化による保護

フェイクニュースが拡散するとき、それは実際に存在する人物のアカウントを偽造し、流す情報があたかも真実であるかのように見せかけるものが多い。

こうしたフェイクニュースの場合、信頼できる個人が流しているように見えるため、人は簡単に信じてしまう

最近、「イーサリアムを無料でくれる」という嘘のキャンペーンが流れたが、これを多くの人々が信じてしまったのは、このキャンペーンが電気自動車の「テスラモータース」のCEO、イーロン・マスクの偽造されたアカウントから流されたものだったからだ。

一方SNSは、こうした偽造アカウントを削除するが、それは問題が発生した後になるケースがほとんどだ。どのアカウントが偽造されたのか事前に発見することが実質的に困難だからだ。

しかし、SNSのアカウントがブロックチェーンで管理されていたのなら、こうしたアカウントの偽造ははるかに難しくなる

ブロックチェーンは分散台帳に暗号化したデジタルデータのブロックを書き込み、それらを相互にリンクする技術だ。一度分散台帳に書き込まれたデータは、コピーしたり改ざんすることは実質的にできない。もしこの方法で、SNSに登録されるアカウントがすべて管理されれば、アカウントのコピーや改ざんは非常に困難になる。

そのため、実在する著名人の名前を語り嘘のニュースを流すフェイクニュースは、大幅に減ることが期待される。もちろん、ブロックチェーンによってSNSのアカウントが管理されたとしても、フェイクニュースそのものの拡散を止めることはできない。しかし、アカウントの偽造が防止されることで、フェイクニュースに信憑性を与える機会は確実に減るに違いない。

Next: もう勝手に個人情報を売らせない。ブロックチェーンが起こす革命とは



SNSの進化その2:個人情報の自己管理

SNSは個人のライフスタイル行動に関する全般的な個人情報を収集し、ユーザーの同意を得ることなく企業に販売している。これがSNSの大きな利益の源泉になっている。

もし個人情報がブロックチェーンで管理されるようになれば、先のアカウントと同じく、ブロックチェーンに書き込まれた情報は簡単にコピーできなくなる。その結果、SNSが同意なく個人情報を第三者に販売することはできなくなる

ブロックチェーン上の個人情報は暗号キーによって保護されているので、SNSがその内容を見たいとき、あたかも仮想通貨を特定のアドレスに送金するように、ユーザーが個人情報をSNSのアドレスに送信しなければならない。これはユーザーが個人情報を完全にコントロールしている状況だ。

こうした状況になると、ユーザーが一定の報酬を得て個人情報をSNSに販売することもできる

SNSの進化その3:クラウドファンディングや物品・サービスの販売

いまやSNSは、コミュニケーションの手段を越える機能を持ち始めている。SNSが資金を募るクラウドファンディングや、物品サービスの販売の場として使われるケースが増えている。

そうした状況でブロックチェーンのシステムが使えるなら、資金の安全な送金支払いが容易に行えるようになる。

集められた資金や売り買いのすべてのデータが、コピーや改ざんが実質的に不可能なブロックチェーンに記録され管理されるなら、安全性の高い取引が実現できる

SNSの進化その 4:メッセージの安全性

フェイスブックの「メッセンジャー」に代表されるように、SNSはプライベートなメッセージを送受信するコミュニケーションのツールとして使われている。

しかし、メッセージの内容はSNSの主催者をはじめ、警察や政府など多くの外部機関が検閲可能な状態になっている。

このため、昨年インド政府は不適切なメッセージをSNSの企業に削除を命じることができるとの法案を可決した。これは、個人のプライバシーに対する侵害である。

こうしたメッセージ機能にブロックチェーンを使うと、暗号キーを持つものだけがメッセージを見て、外部の者が見ることのできないシステムを構築することができる。

これはメッセージの機密性を守る意味で、とても重要だ。

Next: いいこと言うと報酬がもらえる?SNSはまだまだ進化する



SNSの進化その5:価値ある「投稿」に報酬を与える

フェイスブックが代表するSNSの特徴のひとつは、ユーザーのユニークな投稿である。もちろん、いまはこうした投稿に報酬が支払われることはない。

しかし、安全な送金が可能なブロックチェーンを導入すると、投稿に報酬を支払うことが可能になる。こうしたシステムがあると、ユーザーによる投稿はもっと活発になるはずだ。

SNSの進化その6:ブロックチェーンを内蔵したスマホの登場

SNSを使うもっとも一般的なデバイスはスマホである。

一方、仮想通貨の取引を行った経験のある人々の数は相対的にまだ少なく、ブロックチェーンの知識を持つ人々は少数派だ。ブロックチェーンが一般的になっているとはいえない。

そのような状況で、ユーザーがブロックチェーンが管理するSNSのシステムを使いこなすにはハードルが高すぎる。ブロックチェーンのSNSを使いやすくするためのアイデアが必要だ。

もしブロックチェーンのSNSがアプリとしてあらかじめスマホにインストールされていれば、こうしたSNSのシステムははるかに使いやすくなるはずだ。

すでに稼動しているプロジェクト

この分野でも、すでに稼働しているプロジェクトがいくつかある。それを紹介しよう。

<SNSを暗号化:メインフレーム(Mainframe)>

公式サイト:https://mainframe.com/
トークン相場:MFT ※すでに市場に上場している(以下が最新相場)
https://coinmarketcap.com/ja/currencies/mainframe/

「メインフレーム」は登録したユーザーが100%コントロールできるSNSのプラットフォームの構築を可能にしたプロジェクトだ。個人情報は高度に暗号化され、第三者が見ることができないシステムになっている。

また、ユーザー間のメッセージのやり取りも完全に暗号化されており、正しい暗号キーを持つものだけが内容を見ることができる。

Next: ビットコインの座を奪うプロジェクトも?注目のICO



注目されているプロジェクト

<投稿に報酬を:●●●>

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<ユーザーがSNSを完全にコントロール:●●●>

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このような稼働しているプロジェクトのほかに、ICOなどを実施しているプロジェクトも多い。当メルマガの2019年4月配信号でそうしたプロジェクトを一挙に紹介しているが、今回はそうしたもののなかでも注目度の高いものをいくつか紹介する。

<センス(SENSE) 評価:3.5>

公式サイト:https://sensetoken.com
紹介ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=9w2L_oNrAQs
トークン相場:SENSE https://coinmarketcap.com/currencies/sense/

独自のアプリによってメッセージの送受信に報酬を支払うSNSのシステム。「センス」が提供するメッセンジャーのアプリ、「センセイ(Sensay)」を使ってメッセージの送受信をすると、内蔵された独自のAIが解析して、メッセージの送信者に報酬が支払われる。ブロックチェーンを導入したSNSは投稿に対して支払うものがほとんどだが、その意味で「センス」はユニークだ。

SNSの欠陥を乗り越えるプロジェクト

これらがSNSの分野におけるブロックチェーンの適用の概要である。

いま「フェイスブック」をはじめ、SNSの評判は特に悪くなっている。ユーザーの個人情報の勝手な販売や盗用、そうした情報を利用したユーザーの行動の政治的な操作、さらにフェイクニュースの発信と拡散、それによる憎しみに基づくヘイトクライムやテロの拡散という事態だ。

各国の政府は、こうしたSNSを危険なメディアと指定し、ユーザーの個人情報や投稿内容の検閲、またメッセージの強制削除などを実施しようとしている。これが行き過ぎると、ユーザーのプライバシーが侵害されることにもなりかねない。

そうした状況で、もしSNSに偽造アカウントの登録防止、フェイクニュースの拡散防止、ユーザーによる個人情報のコントロールの自由、送受信されるメッセージの気密性などの機能が実装されているのなら、いま指摘されているSNSの欠陥の多くは是正されることになるのかもしれない。

ブロックチェーンの導入がなにをもたらすのか期待したい。次回はこの分野において注目されているプロジェクトを一挙に紹介する。

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【関連】韓国はファーウェイと別れるの?別れないの?米中二股を清算できず経済崩壊の危機へ=勝又壽良

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ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』(2019年4月16日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン

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昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。

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