マネーボイス メニュー

なぜ「日本は消費税26%必要」と国際機関が勧告?裏で財務省が根回しか=大村大次郎

去る4月、経済協力開発機構(OECD)が「日本の財政健全化のためには、消費税を最大26%まで引き上げる必要がある」と勧告しました。これを「財務省の策略だ」と指摘するのは、メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の著者、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。大村さんは、財務省の影響力が強いOECDの実態を暴き、例の勧告において欧米の間接税と税率のみを比較する姑息さに「騙されてはならない」と警戒を呼びかけています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年5月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

海外新聞が批判「増税で景気を悪化させようとしているかのよう」

日本の消費税の増税を欧米諸国はどう見ているのか?

4月15日に配信されたロイター通信の記事に、以下のようなものがありました。それをまず読んでみてください。

経済協力開発機構(OECD)が15日公表した対日経済審査報告書は、日本経済の人口減少に対して警鐘を鳴らし、プライマリーバランス(財政の基礎的収支)を黒字化するためには消費税率を最大26%まで引き上げる必要があると指摘した。

出典:消費税最大26%まで引き上げを=OECD対日報告 – ロイター(2019年4月15日配信)

同日都内の日本記者クラブで会見したグリア事務総長は「消費税率の10%への引き上げは不可欠」と指摘し、その後も「徐々に税率を引き上げることが財政改善につながる」と強調した。報告書は日本経済について、2050年までに人口が1億人程度まで減少することに伴う高齢化と債務拡大という長期の課題に直面しているとし、財政持続性を担保する具体的な計画を示すべきと指摘。税収拡大の手段として主に消費税が望ましいとしている。

出典:同上

消費税のみにより十分な水準の基礎的財政黒字を確保するためには、税率を20-26%まで引き上げる必要があるとしている。今年10月に予定されている10%への引き上げの影響は、各種対策の効果によって2014年の増税より大きくないとしている。

出典:同上

このメルマガでも、何度か触れましたが、このOECDの勧告というのは、「国際世論」などでは決してありません。OECDは、これまでも何度か日本に対し消費税引き上げの勧告をしています。何も知らない方は、これを見ると「やはり日本は消費税を上げるべきなのだろう」と思うでしょう。しかし、騙されてはなりません。これは日本の財務省の常とう手段なのです。 OECDは一応、国際機関です。しかし、日本の財務省はOECDに対し、強い影響力を持っています。日本のOECDへの拠出金がアメリカに次いで第2位です。そして、OECD内の事務方トップであるOECD事務次長には、日本の財務省出身の河野正道氏が就任しているのです。またOECDの要職には、日本人がたくさん就いています。

本来、国際機関が日本の消費税などにそれほど強い関心を持つことはありません。というより、国際機関が一国の税制に口出すことなどは、普通はできないはずなのです。そういうことをすれば、普通の独立国の政府であれば、猛反発するはずです。が、日本政府は反発するどころか、それを錦の御旗のようにして、消費税増税の根拠としようとしています。

なぜOECDが日本に勧告をしたのかというと、日本の財務省がOECDに働きかけて、日本に勧告を出させたからなのです。つまり、財務省は日本国内の不満を抑えるために「国際機関から勧告があった」という形をとろうとしたのです。

Next: 日本の消費税と欧州の間接税の違い



そして、このOECDの勧告では必ず、ヨーロッパ諸国の間接税と比較されます。日本の消費税はヨーロッパ諸国に比べて低いという結論に持っていこうとするのです。

が、ヨーロッパ諸国は、低所得者に対して、所得補助や住宅補助などの手厚い支援を行った上で、消費税を課しているのです。そういう支援がまったく充実していない日本に、消費税だけを導入しようとするのは、無理な話なのです。

そういう「総合的な検討」がまったくなされずに、ただただ消費税を引き上げろというのは、非常に乱暴な話です。本来、国際機関がこんな暴論を押し付けてくるはずは絶対にないのです。

では、欧米諸国は実際に、日本の消費税増税のことをどう思っているのでしょうか?

まあ、欧米諸国はどこも日本の消費税などにそれほど関心は持っていません。が、アメリカの新聞が今月初めに日本の消費税についての記事を書いていますので、それをご紹介しましょう。

4月5日付のアメリカの大手新聞であるウォールストリート・ジャーナルは、日本で10月に予定される消費税率引き上げについて「安倍晋三首相は増税によって、景気を悪化させようと決心しているように見える」と揶揄する社説を掲載しました。

この社説では、「現在の日本の経済指標はさえない内容」「日本経済は中国や欧州など世界経済の減速の影響を受けやすい」と指摘しています。またアベノミクスの「第3の矢」とされる成長戦略は「全く始まっていない(効果が見られない)」と断じています。そのため安倍氏にとって「増税は自傷行為になろう」と皮肉ったのです。

ウォール・ストリートジャーナルは、もちろん日本の資本などは入っていませんし、日本の思惑などはまったく気にすることなく、自由に発言できる立場にいます。そして、アメリカを代表する報道機関でもあります。

このウォール・ストリートジャーナルの社説こそ、欧米諸国が日本の消費税に対して感じている本音にもっとも近いものだと思われます。

Next: チケット類の購入は増税前がトク



消費税増税対策として「前売りチケットを活用すべし」

消費税の増税時の経過措置では、遊園地などの入場料金も、消費税増税前に購入しておけば増税後に入場したとしても、8%でいいことになっています。ディズニーランドやUSJに年に何回も行く、というような人もいますよね?そういう方は、増税前に入場券を大量に買っておくことをお奨めします。

ディズニーランドの入場券は、消費税増税後に若干の値上げが検討されています。またUSJもディズニーランドと呼応して値上げをする可能性が高いです。しかし、2019年9月30日までに購入したチケットであれば、2019年10月1日以降に入場するものであっても、値上げ前の料金でいいのです。なお、ディスニー・ランドでは、日付指定の前売りチケットは2か月前から買えます

またディズニーランドでは、日付指定のないオープンの前売りチケットも販売しています。これは1年間有効です。このチケットも、2019年9月30日までに購入すれば、値上げ前の値段でいいのです。

年に何回も行く人は、9月30日までの大量購入しておくといいでしょう。ディズニーランドのファンの中には、年間チケットを購入する人もけっこういるようですが、年間チケットも2019年9月30日までに購入すれば、値上げ前の料金でOKです。

もちろんディズニーランドに限らず、豊島園でも、後楽園遊園地でも同じことです。遊園地によく行く、というような人は要注意です。ただし、遊園地によっては、消費税増税前後の料金の扱いが変わってくることもありますし、ここで紹介したディズニーランドも、今後、変更することもあり得ます。なので、実際に購入する際には、遊園地側に一応、確認してみましょう。

映画館の入場券など

消費税の増税時の経過措置では、映画館の入場券などにも「前売りの特例」があります。具体的に言えば、消費税増後(2019年10月以降)に行く映画の入場券を、消費税増税前に購入した場合は、消費税率は8%でいいことになっているのです。

映画好きの人は、映画上映の予定を調べて、見たい映画の入場券は増税前に買っておくと非常に得をします。映画の料金が、消費税増税によりどうなるかは、現在のところまだ判明していません。

しかし、増税後は、いずれかのタイミングで上がりこそすれ、下がることはないと思われます。だから、映画の前売りチケットなどは、早めに購入しておいて損はないのです。

また映画に限らず、演劇、美術館、水族館などの施設の入場券も該当します。演劇、コンサートなどは、相当先のものも前売り券で発売されるのが常なので、予定が決まっている人はぜひ増税前に購入しておきましょう。

年末に劇を見に行きたい、などと考えている人も、早めに購入した方がいいでしょう。

Next: ディナーショーはOK。ディナーは?



スポーツ観戦のチケット

消費税の増税時の経過措置では、スポーツ観戦のチケットなども「前売り特例」があります。具体的に言えば、消費税増後の2019年10月以降に行くスポーツ観戦の入場券を、消費税増税前の2019年9月30日までに購入した場合は、消費税率は8%でいいことになっているのです。

スポーツ観戦のチケットも、かなり前から前売りチケットが販売されることがあります。野球や大相撲なども何か月も前から販売されますよね。消費税増税後に、大相撲を観に行く予定がある人などは、ぜひ早めにチケットを購入しましょう。

また年間席などを、消費税増税前に購入した場合も、消費税は8%でいいことになっています。だから、熱狂的な野球ファンなどは、増税前にチケットを購入しておくべきだといえます。

ディナーショーはOKだけどディナーだけはNG

消費税の増税時の経過措置では、ディナーショーも「前売り特例」の対象になっています。消費税増税後に行なわれるディナーショーであっても、増税前にチケットなどを購入しておけば、8%で済むのです。

ただし、ディナーショーはOKだけれども、ディナーだけはダメなのです。ディナーは、単なる飲食の提供なので、消費税増税後に食する場合は、前払いをしていたとしても10%となるのです。

また、ディナークルーズの場合もダメです。ディナーショーがいいんだから、ディナークルーズもよさそうなものですが、そこは、お堅い官庁のこと、両者には明確に線を引いているのです。

続きはご購読ください。初月無料です

【関連】秋の消費税上げ決定で、日本は先進国でもっとも早く大不況へ突入か=今市太郎

<初月無料購読ですぐ読める! 6月配信済みバックナンバー>

※2019年6月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。

2019年6月配信分
  • 「フリーランス、中小企業が消費税を免れる方法」「少子高齢化は人災である」(6/16)
  • 「E-TAXをやってみた」「消費税のラスボスは財務省」(6/1)

いますぐ初月無料購読!

image by:360b / Shutterstock.com

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年5月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込324円)。

2019年5月配信分
  • 「消費税増税対策その3」「ヨーロッパ諸国の間接税と日本の消費税はまったく違う」(5/16)
  • 「消費税増税対策その2」「日本の消費税の増税を欧米諸国はどう見ているのか?」「スペイン無敵艦隊は消費税によって沈んだ」(5/1)

2019年5月のバックナンバーを購入する

2019年4月配信分
  • 「消費税増税対策その1~チケットは事前に買っておくべし~」「“公共事業を増やしさえすれば日本経済はよくなる”という愚論」(4/16)
  • 「消費税を払わずに買い物をする方法3」「簡易課税は税務調査されにくい?」「『日本の財政赤字は社会保障費が原因』という嘘」(4/1)

2019年4月のバックナンバーを購入する

2019年3月配信分
  • 朝日新聞が消費税推進派に転向したトンデモない理由(3/16)
  • 「接待交際費に気を付けて」「中国脱税事情」(3/1)

2019年3月のバックナンバーを購入する

2019年2月配信分
  • 昨日の記事に誤りがありました(2/17)
  • 「実は恐ろしい“子無し夫婦”の相続」(2/16)
  • 「税務署員の窃盗事件」「なぜ景気のいい社長は中古ベンツに乗るのか?」(2/1)

2019年2月のバックナンバーを購入する

2019年1月配信分
  • 「起業者必見!消費税を4年間支払わない方法」「GAFAの課税漏れ」(1/16)
  • 「相続税は税額ゼロなら申告しなくてもいい?」「なぜ先進国で日本人の賃金だけ下がっているのか?」(1/1)

2019年1月のバックナンバーを購入する

2018年12月配信分
  • 「相続税より高い“隠れ相続税”とは?」「我々はなぜ“いざなぎ超えの好景気”を実感できないのか?」(12/16)
  • “日本の金持ちの税金は高い”という大誤(12/1)

2018年12月のバックナンバーを購入する

2018年11月配信分
  • もう一度消費税について考えてみよう(11/16)
  • 「片山さつき議員の口利き疑惑の背景」「高級外車の売却益を隠す脱税」「海外資産隠しは減るのか?」(11/1)

2018年11月のバックナンバーを購入する

2018年10月配信分
  • 「食事代を経費で落とす方法1~昼食代~」「徳島県とアフリカの下水道普及率はほぼ同じ」(10/16)
  • 「相続税対策で一番気を付けなくてはならないこと」「なぜ日本の無電柱化は韓国よりも遅れているのか?」(10/1)

2018年10月のバックナンバーを購入する

2018年9月配信分
  • 「パナソニックのタックスヘイブン戦略」「日本はオワコン‥企業も“少子高齢化”が進む」(9/16)
  • 「知らない間に相続税は大減税されていた!」「密輸による消費税の脱税」(9/1)

2018年9月のバックナンバーを購入する

2018年8月配信分
  • 「アパート経営は本当に相続税対策になるのか?」「ノルマに追われる国税調査官」(8/16)
  • 「親の家を無税で相続する方法」「なぜ日銀の金融緩和はデフレに効かないのか? 」(8/1)

2018年8月のバックナンバーを購入する

【関連】富裕層の税逃れ、なぜ無罪放免に? 元国税が暴く脱税した者勝ちの実態=大村大次郎

【関連】年金は政府の皮算用で崩壊へ。なぜ今、国民に「老後2,000万円の不足」を突きつけたのか

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

大村大次郎の本音で役に立つ税金情報

[月額330円(税込) 毎月15日]
元国税調査官で著書60冊以上の大村大次郎が、ギリギリまで節税する方法を伝授。「正しい税務調査の受け方」や「最新の税金情報」なども掲載。主の著書「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。