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富裕層の税逃れ、なぜ無罪放免に? 元国税が暴く脱税した者勝ちの実態=大村大次郎

先日、富裕層の申告漏れのデータを公にした国税局。しかし、大人気メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の著者で元国税調査官の大村さんは「うちも富裕層の脱税阻止のために頑張っているんです」という国税局のアピールに過ぎないとバッサリ。内部にいた人間だからこそ知る富裕層の税金逃れの実態と、古い体質から脱却しようとしない国税局の体質について衝撃的な事実を明かしています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2017年11月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

なぜタックスヘイブンに対する国税当局の調査は“ザル”なのか?

富裕層の申告漏れ記事のデタラメさ

10月31日のネット配信記事で、次のようなものがありました。

全国の国税局が今年6月までの1年間に実施した所得税の税務調査で、富裕層の申告漏れが総額441億円に上ったことが31日、国税庁のまとめで分かった。申告漏れは富裕層対象の調査4188件の8割に当たる3406件で見つかり、追徴税額は127億円に上った。

1件当たりの申告漏れ額は、調査全体の平均が918万円だったのに対し、富裕層は1054万円と大きな差はなかったが、富裕層で海外取引を利用したケースでは2576万円と高額だった。

1件当たりの申告漏れ額を業種別で見ると、風俗業(2083万円)が最も多く、次いでキャバクラ(1667万円)、プログラマー(1178万円)と続いた。

出典:富裕層の申告漏れ441億円=目立つ海外取引利用-国税庁 – 時事ドットコム(2017年10月31日配信)

これは国税庁恒例の課税漏れデータ発表です。

通常は、富裕層に絞ったデータなどは発表しないのですが、昨今、富裕層に対する不公平感が高まっているので、あえてこういうデータを発表したのでしょう。

国税庁としては、「うちも富裕層の脱税阻止のために頑張っているんです」というアピールなわけです。

が、これは、少しでも税金のことを知っている人がみたら、「こんなバカなことはあるか!」という感じのデータです。

富裕層の追徴税額がわずか127億円などというのです。税務のことを知っている身としては、桁が2つ以上違うだろう!という話です。

ここで発表されたデータというのは、所得税に関するものです。つまりは、年間の収入に対する税務調査のデータ報告というわけです。

これを見ると、国税庁は富裕層の収入を調査するにあたって、「日本国内でのビジネス」を中心に行っているわけです。だから、課税漏れ割合の上位に風俗業経営やキャバクラ経営、プログラマーなどがでてきているわけです。

しかし現在の富裕層が隠している収入というのは、「海外での資産活用収入」が中心なはずです。だから、富裕層の所得税の課税漏れを調査しようと思えば、「海外での収入」に焦点を当てなければ、どうしようもないわけです。

日本の富裕層が海外を使って税金を逃れているだろう、ということは、他のデータで明確に表れているのです。

Next: なぜ国税局は「海外資産」を調べないのか?

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