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【6月米雇用統計】世界的な緩和競争が進み、ここから円が買われやすい状況に=ゆきママ

今日は米6月雇用統計が発表されます。昨夜は米国が独立記念日ということもあり、休暇に入っている市場参加者も多く、場合によっては相場が大きく動く可能性がありますので、警戒しておきましょう。

それでは、今置かれている相場状況から、今夜の展望・トレード戦略について考えていきましょう。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

想定レンジは1ドル=106.70~108.50円、今夜のトレード戦略は?

世界的な緩和競争へ!今の注目は7月末のFOMC利下げ?

今年に入り、世界的な緩和競争状態となっています。RBNZ(ニュージーランド準備銀行)が利下げしたのを皮切りに、RBA(オーストラリア準備銀行)が既に2回の利下げを実施。

FRB(米連邦準備制度理事会)では、昨年末の段階では2回の利上げとしていたものの、年明け早々に利上げ方針を撤回。今では少なくとも1回以上の利下げが織り込まれており、早ければ今月30-31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げが決定される見込みとなっています。

また、ECB(欧州中央銀行)も昨年の段階では利上げのタイミングをうかがっていましたが、今年に入ってTLTRO(貸出条件付き長期資金供給オペ)という量的緩和を実施しました。

さらに、10月で任期の切れるドラギECB総裁の後任に、IMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事が選出され、一段の緩和策が期待されています。

ラガルド専務理事は、昨年から世界的な景気停滞を懸念して各国中銀に金融緩和を呼びかけていた人物ですから、ECBもさらなる緩和に動くことが期待されています。

また、今年5月の段階まで利上げを示唆していたBOE(英国中央銀行)も、ここに来て緩和策、利下げ実施といった方向に舵を切りつつあります。

・ニュージーランド→1回の利下げ、7月にさらに利下げも?
・オーストラリア→2回の利下げ、9月にもう1回?
・米国→7月末に利下げか?
・欧州→量的緩和実施、年内に利下げも?
・英国→年内に利下げの可能性?

このように、まさに緩和競争といった状況になりつつあります。

Next: 緩和競争が進むと、為替市場にはどんな影響が?



緩和競争=通貨安競争だが、株価の押し上げがドル円を支える!

ご存知のように金融緩和というのは、基本的に市中にお金を供給してお金の価値を下げる、シャバシャバに薄めることですから、通貨の価値は下がります。

つまり、相場としてはNZドルや豪ドル、米ドル、ユーロ、ポンドなどが売られ、円が買われやすいということでもあります。

ただし、市中に供給されたお金、余ったお金は株などに向かうわけですから、株高となりやすいわけです。

そして、株高によるリスクオンの円売りから、今のところは各国の急速な金利の低下で日本との金利差が縮小しているにもかかわらず、それほど円高にはなっていません。

そういった意味で、為替市場に関しては、やや円高に対する備えが足りないのかなといった印象です。

先行指標は概ね悪化!今回からは非農業部門雇用者数に注目?

それでは、先行指標の数字を見ていきましょう。全体的にあまり良くない数字が並んでいますが、事前予想値はまずまずな結果を見込んでいるようです。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

ISM製造業の雇用指数にやや持ち直しが感じられる以外は、全体的に悪化傾向です。ADP雇用報告は、前回からの反動増でしょう。

雇用統計もそうですが、前月比の場合は、前回が非常に弱い数字になると、その直後は強い数字になりやすいですからね。それを期待して非農業部門雇用者数が+16.3万人増という予想値になっています。

また、今後はいよいよ利下げのタイミングを占うことになりますから、これまでの平均時給によるインフレ云々よりも、米経済がピークアウトしたかどうかを確認する作業になります。

なので、今回以降は非農業部門雇用者数の数字が重視されることになります。前月分の修正値なども見ながら、米経済の停滞感を確認していきましょう。

Next: 想定は1ドル=106.70~108.50円、今夜のトレード戦略は?



想定レンジは106.70~108.50円、2ヵ月連続の一桁台になれば107円割れも!

前回、5月分の雇用統計はADP雇用報告が大きく下振れていたため、ある程度は弱い数字が想定されていたこと、また、利下げ期待からNYダウが+300ドル近い上昇となったことで下げは限定的でした。それでも、初動は50銭以上も下落。

今回も利下げ期待で株価が上昇するかもしれませんが、非農業部門雇用者数が+10.0万人を割り込んで2ヵ月連続の一桁万人台となれば、為替市場ではドル安がイマイチ進んでいないこともあり、前回以上の下げになるのではと予想しています。

仮に非農業部門雇用者数の下振れから、米経済の停滞を嫌気して株価が下がるのであれば、円高も加わってダブルで下げそうで、現状はショート・戻り売りの方が有利でしょう。

とにかく、債券市場はもはや米経済はピークアウトと判断して、米長期金利(10年債利回り)は下がることはあってもなかなか上がりませんからね。

雇用者数が予想を上回る数字になって、利下げ後退からの金利高でも、これを嫌気して株価が下げて円高になるのであれば、上値は重いままですからね。

米長期金利、株価次第ではあるものの、これまでの流れを考えれば、ドル円の上値は非常に限定的であると言わざるを得ず、まずは売り目線で見ておきたいところでしょう。

ドル円(日足)チャート

目先は108.00円の節目ラインに21日移動平均線が位置しており、ここをブレイクすると108.20~108.30円ぐらいまでは上げやすそうです。

ただし、日足ベースで108.50~108.60円が天井となっていますから、よほど強い数字が出なければ、ここをブレイクしていく可能性は低そうです。

トレード戦略としては、雇用統計は数字を見てからトレードするのが基本ではありますが、仮に雇用統計前に期待感で108円台に位置しているのであれば、108.70円に損切りを置いて売りポジションを持っても良いと思います。

繰り返しになりますが、今回の非農業部門雇用者数が強めの数字になりそうという根拠の大半が、前回からの反動増と心許ないですからね。

ここ最近の世界的な景気の停滞・減速感を踏まえれば、予想を下回っても全く不思議ではありませんし、その可能性も十分あると考えています。

ドル円が中途半端な位置にある場合は、結果が出てからショート(売り)で乗っかって、107円割れぐらいの水準、先月安値の106.77円手前ぐらいでの利食いを目標にしましょう。

株価が大きく下げれば別ですが、一旦は大底の可能性がありますので、107.00円を下回る水準での突っ込み売りは避けましょう。

+20万人を上回る強めの数字が出た場合は、様子見。米長期金利が大きく切り返して上昇し、株価の下げが限定的ならドル円上昇というシナリオも十分ですが、今現在の株価が堅調な理由は世界的な金融緩和による低金利なので、なかなか想定が難しいでしょう。

予想並の数字が出た場合は、金利・株価の動向次第ですが、基本的には動けなさそうなので無理してトレードする必要はないでしょう。

というわけで、今回も売り有利となりそうですから、そのつもりで狙ってみたいと思います。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年7月5日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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