マネーボイス メニュー

安倍首相「消費増税後10年は増税なし」は信用できぬ。金利が上がれば財政破綻へ=今市太郎

安倍首相は、今回10%に消費税を上げたら向こう10年は上げなくてよいといった趣旨の発言をしています。税金の使い道も不透明な今、信じていいのでしょうか?(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年7月5日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

既存の税収だけでは対応不能?金利が上昇したら大変なことになる

向こう10年は増税なし?

参議院選挙が本格スタートしています。

安倍首相は、今回10%に消費税を上げたら向こう10年は上げなくていいと言った趣旨の発言をしています。

そもそも自分が総理大臣を降りた後までどうやってギャランティできるのか。そんな素朴な疑問が湧くわけです。

2012年「3党合意」の枠組みはまったく守られていない

すでに7年も前の話というと、多くの方が記憶になくなっている可能性が高いと思います。

そもそも消費税を段階的に10%に上げるというのは、当時の民主党と公明党を含めた3党合意なるものからスタートしているわけです。

(参院選も近いのであまり政治的なことをくどくど書きたくはありませんが)平成27年の政府資料では、消費税率引き上げによる増税分は、全額社会保障に回すことになっているはずです。

<当初の予定では…>

およそ14兆円とみられる増税分の使い道(内訳)としては……

・後代への負担のつけ回しの軽減:7.3兆円
・基礎年金の国庫負担割合2分の1の恒久化:3.2兆円
・社会保障の充実(社会保障4経費):2.8兆円
・消費税率引き上げに伴う経費増加の対応:0.8兆円

となるはずだったわけです。
また「社会保障の充実」の財源2.8兆円の内訳としては……

・医療・介護:1.5兆円
・子育て:0.7兆円
・年金:0.6兆円

だったはずです。

<ところが現在は…>

ところが現在では増税分の使い道は以下のように変更されています。

・後代への負担のつけ回しの軽減:2.8兆円
・少子化対策(人づくり革命):1.7兆円
・社会保障の充実:1.1兆円

まだすべての増税が完了していないわけですからここからどうなるかですが、すでに後代への負担の付け回しの軽減4兆円はいとも簡単に減らされて、1.7兆円は「人づくり革命」と呼ばれる教育無償化少子化対策に充当されてしまっています。

「人づくり革命」と言えば聞こえはいいですが、幼児教育の無償化待機児童の解消、高等教育の無償化、私立高校の授業料実質無料化、保育士・介護人材の処遇改善、大学改革、リカレント教育、高齢者雇用促進などはほとんどうまくいっていないのが実情。

こうしてみてきますと、増税しても果たして何に使われるのかはよくわからないことが鮮明になってきます。

Next: 既存税収だけでは対応不能?金利が上昇したら大変なことになる



金利が上昇したら既存税収だけでは対応不能

さて、ここからがいよいよ本題となります。

安倍首相は、大切なのは実体経済を良くすることで、金融政策が雇用に働きかけ、デフレではない状況を極めて短い間で達成することができたとしています。

しかし実際には経済は決して良くなっておらず、デフレも完全に抜け出せたわけではない点が非常に気になるところです。

とくに、ここ30年ほとんど金利がつかないゼロ金利政策をとってきたことで、政府はいくら国債を乱発してもほとんど借金の金利を負担しないままに負債を大きくさせてきたことから、利払いの恐怖というものをすっかりお忘れのようです。

しかし、財務省が2017年に出した試算でも、金利がここから1%上昇すれば利払い費を含めた国債費は2020年度で3.6兆円増2%上昇すれば7.3兆円増になります。

仮に3%の経済成長がはかられても、6.4兆円の赤字になると試算しているわけです。

追加の増税はありえる

今のところ、そこまでの金利上昇がにわかに起こる可能性は低くなっています。

しかし、もしスタグフレーションのような状況に陥れば、日本も利上げを行わざるをえず、また外的な要因で米国をはじめとして他国で暴落のような事態が発生して金融パニックになれば、日本国債もどうなるかはまったくわかりません

そして金利の上昇が続けば、足元の税収ではとても利払いができなくなり、さらなる借金か増税がめぐって来る可能性はまったく否定できない状況にあると思われます。

財政ファイナンス漬けでぼけたのか?

平成の30年間、政府はほとんど赤字国債の利払いをせずに済んできています。

足元の日銀黒田緩和による国債買い入れというほとんど財政ファイナンスに近い状態につかり過ぎて、金利のことがまったく頭に浮かばなくなっているとしか思えない状況です。

Next: 政府にビジョンはあるのか?10年間「増税なし」は信用できない



10年間「増税なし」は信用できない

とにかく税金のことは、個別世帯にとっては非常に重要な要件となっており、もはや適当には聞き流せないところに来ているのは間違いありません。

国家統計は、もはや何が本当かよくわからない世界に陥っています。

税収とその使い道、この先の消費税率引き上げの見通しについては、適当なことを言わずに、ぜひもっとしっかりとしたビジョンを提示してほしいと願うばかりです。

徴収した税金はちっとも社会保障には使われず、適当に消費されていて、「ここから先の消費増税の心配はない」と言われても、誰も安心できないのが現状ではないでしょうか。

個人的にはとても嫌な予感しかしない足元の状況です。

続きはご購読ください。初月無料です

【関連】損保ジャパン4000人削減で最悪の労働搾取モデルが完成。業務自動化で年収250万減へ=今市太郎

【関連】ドイツ銀行に公的資金投入で国家ごと沈む?嘘つきメルケルが恐れるドイツ発の世界大恐慌=今市太郎

<初月無料購読ですぐ読める! 7月配信済みバックナンバー>

※2019年7月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。

2019年7月配信分
  • 消費税10%後は向こう10年増税なしは本当に実現てきるのか?(7/5)
  • 世界主要中銀から消えた経済学者~これから中銀政策は一体どうなるのか?(7/5)
  • 米株買いの日本株売りをする投機筋多発では日本株が上がるはずはない(7/4)
  • ステーブルコインに対する金融庁の見解は超厳しい(7/3)
  • 損ジャ日本興亜の4000人配転・削減に見る本邦企業の新たな労働搾取の脅威(7/2)
  • 想定外の米債金利反転上昇は今年後半相場暴落のトリガーになる危険(7/1)

いますぐ初月無料購読!


※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年7月5日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

【関連】NHK受信料、カーナビも義務へ。ワンセグ携帯裁判では「NHKから国民を守る党」党首も敗訴

【関連】PayPay?LINE?キャッシュレスの勝者は意外な◯◯!中国アリペイの成功から見えた未来図=栫井駿介

【関連】“中高年引きこもり”で片付けるのは危険。45歳以上を「使えない」と切り捨てる大企業の闇=今市太郎

今市太郎の戦略的FX投資』(2019年7月5日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

今市太郎の戦略的FX投資

[月額880円(税込) 毎週月・火・水・木・金曜日]
個人投資家がもっと得難いファンダメンタルズを徹底的に集めテクニカルで売買チャンスを探るFX投資家のためのメールマガジンです。土日を覗く平日毎日の配信となりますので、確実に日々の売買に役立てることが可能です。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。