日本古来のテクニカル分析「酒田五法」に見られるような法則は、どういう心理状態で形成されるのかを検証。今回は売りサイン、「三尊底」をご紹介します。(『資産運用のブティック街』清水洋介)
大和証券、外資証券会社、外資系オンライン証券会社などを経て、証券アナリスト「チャートの先生」としてテレビ・雑誌等に登場し、また、現役ディーラーとしても日々相場と対峙する。 講演を行う一方、2014年5月に株式スクールを開校するなど投資に関して幅広い分野で活躍。著書:ローソク足と酒田五法(パンローリング)など多数。
2度目の安値を下回らないということは、それだけ売り圧が少ない
酒田五法(その2):三山(三尊)底-3つの谷ができると…
今回は前回の「三山(三尊)天井」の反対で3つの谷で底値を形成するものを見てみましょう。
前回もそうでしたが、「三度目の正直」とか「仏の顔も三度まで」と言われるように、「三回も下値を確認すれば、もうこれ以上下がらないだろう」と言うような考え に基づいているのです。
特に、3度目の安値が2度目の安値を下回らないということはそれだけ売り圧力が2度目よりも少ない、と言うことで反発となることが多いということなのです。
以下の図1と図2をご覧ください。
図1.は今年の5月に安値をつけたときの日経ジャスダック平均のチャートです。現在はまた安値を更新してしまいましたが、いったん「大底」となった場面です。図2.は図1.をパターン化したグラフです。
このときにも前回見たように「節目」となる水準(2,100円=赤い線)を割り込んで(赤い矢印)から下げが加速され下値を確認するような展開となったのです。
そして一度目の底(B)の水準ではここには表れていないのですが、2006年11月の安値水準で下げ止まって一度目の底値を確認することになったのです。
Bでいったん底値を付けたあと、Aの水準を目指して戻り歩調となりましたがAの水準までは戻らず、Cの水準で上値の重さが確認されるとまた、見切り売りや戻り売りがかさんで下値を試す展開となり、Bの安値をも割りこんで今度はDの水準、節目はないのですが、2,000円と言うきりのいい水準で下げ止まったことになります。
その水準から戻りを見せたもののAの水準はもとより、Cの水準まで戻らないうちに上値が重くなり、前回の戻り高値Cで売りそびれたような人が慌てて売ったことでEで頭打ち、Fの安値に向かって下落となったわけです。
Eの高値を付けて下落に転じたあとは慌てて売りがかさむなかで、先のDに安値で買いそびれた投資家が買い場を探し、底堅さが確認されると慌てた買いも入ってFで底値を付けたのです。
その後は戻り歩調となり、「三度目の正直」と言うわけでもないのでしょうが、図の赤い点線で示した戻り高値CとEを結んだ「ネックライン」を抜け、Eの高値、Cの高値を意識する水準でも、もうある程度売りが出切ってしまっており、一気に上昇となったのです。
投資家の心理として「また売りが出るのではないか」とか「今度は売りも出ないだろう」とかいった心理が働くものと思います。また、「前回戻り高値で売りそびれた」とか「安値で 買いそびれた」ということもかなり意識されてくるものと思います。
(※ご注意:投資判断はご自身で行ってくださるようお願いいたします。当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。当講座を基に行った投資の結果について筆者及びインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません)
『資産運用のブティック街』(2019年7月9日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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