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ファーウェイ、中国軍関係者大量在籍の事実が判明。世界の個人情報を盗み放題だった=鈴木傾城

ファーウェイ社員の履歴書を調査した結果、中国国家安全当局の工作員、中国国軍、軍のハッカーなどが大量に採用されていることが分かったとの報道が出た。同社は民間企業ではなく、完全な「軍事企業」だ。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

トランプが戦っているのは、ファーウェイという名の「中国軍」

民間企業ではなく「軍事企業」

ウィルバー・ロス米国商務長官は、ファーウェイに関して「アメリカの国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為を行っている」と明確に言っている。

そして、トランプ大統領と習近平国家主席のG20での会談で「休戦」したことを受けて安全保障とは関係のない分野については規制を緩和するものの、「基本的にファーウェイに対しての輸出規制は続く」と述べている。

アメリカがファーウェイをことさら危険視しているのは、ファーウェイは中国共産党のサイバー部門を担っている「軍事企業」だからだ。

ファーウェイは民間企業であるというのは「隠れ蓑(みの)」であり、実際には中国共産党政権が実権を握っている。

ファーウェイの株主の99%は労働組合だが、その労働組合を支配しているのが中国共産党政権なので、民間企業に見えてもそれは表向きそう装っているだけだ。

そして最近、このファーウェイの従業員も「軍事企業」特有の人材が大量に潜り込んでいることを英外交政策シンクタンクである「HJS(ヘンリー・ジャクソン・ソサエティ)」が報告した。

ファーウェイに、いったい誰が潜り込んでいたのか。

全人類が中国の「監視下」に置かれる

「大紀元」紙は、HJSがファーウェイの社員の履歴書を調査した結果、中国国家安全当局の工作員中国国軍軍のハッカーなどが大量に採用されていることが分かったと報道している。

一部の社員は、中国の検閲システムに関与し、一部の社員は工作活動に従事した人間だった。一部の社員は中国軍のプロジェクトに参与した人間だった。さらに一部の人間はアメリカの企業にサイバー攻撃を仕掛けていた人間だった。

これらの人間がファーウェイの社員として採用されている。そうした事例がどんどん挙がってきた。にも関わらず、ファーウェイは依然として中国の軍事関連と密接な関係にあることを否定している。

採用された人材を見ると、ファーウェイのコメントとは真逆の結果がそこにあるのに、ファーウェイはそれを認めることは決してない

そもそもファーウェイは、その創始者である任正非(レン・ジョンフェイ)自身が人民解放軍出身であり、当初から中国共産党政権とは密接な関係である。

また、任正非の娘でありファーウェイの最高財務責任者だった孟晩舟(モン・ワンジョウ)も8通以上のパスポートを所有し、別人の名前のパスポートも持っていた。ニセモノではない。本物のパスポートが中国政府から発行されていた。

これによってアメリカの目をくらまして秘密の任務を行っていたのだから、経営者というよりも立派な諜報部員である。そして、ファーウェイの上級副社長である宋柳平(ソン・リューピン)は、中国人民解放軍の高級教育機関である国防科技大学出身である。

まとめるとファーウェイはこのような人々によって運営されていたり、システム設計が為されていたり、製品が作られている。

株主も中国共産党政権の支配下の労働組合、経営者も中国人民解放軍関係者、社員も中国共産党政権で重要な工作活動に従事した人間たち。これで、ファーウェイが「ただの民間企業である」と信じる方がどうかしている

Next: スーパーユーザー権限で個人情報を盗み放題



スーパーユーザー権限で個人情報を盗み放題

ファーウェイの正体は「民間企業の顔をした中国軍事企業」なのだ。

日米欧の最先端の知的財産を徹底的に収奪して、それを自社の製品開発に使用して儲け、さらにその製品から今度はユーザーの個人情報を引き抜くのがファーウェイのビジネスの真の姿であるように見える。

ファーウェイの端末は72時間おきに個人情報をユーザーに無断で中国のサーバーに送信していることで問題になったのだが、ここで送信されていた個人情報は、位置情報通話履歴連絡先情報テキストメッセージを含んでいた。

この機能は「Shanghai Adups Technology」のファームウェアによって為されていたのだが、このファームウェアはファーウェイだけでなく、ZTE等にも使われていたので、中国製のスマートフォンは事実上、ほとんどにバックドアが仕組まれていたのも同然だった。

ファーウェイ個別のバックドアは、ファーウェイ製のPCで発見されている。これは2019年1月にマイクロソフトが発見し、報告しているものだ。

ファーウェイが開発したデバイス管理ドライバーが、スーパーユーザー権限でプロセスを生成できるものだったというのである。

スーパーユーザー権限というのは「管理者権限」を指すのだが、OS上で管理者権限を走らせると、ユーザーの情報はすべてにアクセスできるようになる。個人情報を盗むだけでなく、システムそのものを乗っ取ることすらもできる

これがアメリカ側にバレると、ファーウェイはすぐにソフトウェアの修正プログラムを発表したのだが、バレなければユーザーの個人情報はスーパーユーザー権限でいくらでも盗み放題だったということになる。

中国政府はいつでも欲しい情報にアクセス可能

ファーウェイの通信技術がセキュリティ的に見て非常に危険であるというのは、アメリカは早くから把握していた。

2011年にはCIAが「ファーウェイは中国政府から助成金を得て成長している」と報告しており、2012年には米下院情報委員会が「ファーウェイとZTEはスパイ行為の危険性がある」と警告していた。

同じ頃、米国防省の元戦略アナリストのマイケル・マルーフ氏は「世界の通信大手はファーウェイやZTEの通信設備を使用しているが、これらの通信設備にはバックドアが仕掛けられていて、中国政府はいつでも欲しい情報にアクセスすることができる」と述べていた。

Next: トランプが戦っているのは、ファーウェイという「中国軍」



ファーウェイという中国軍

アメリカは早くからファーウェイの危険性を察知していたのだが、オバマ前政権は中国べったり政権だったので、こうした中国ファーウェイの危険性に対して強い反発を見せなかった。

2015年になると、さすがにオバマ政権も中国の知的財産の強奪を放置することができなくなって、中国を徐々に警戒するようになっていったのだが、ファーウェイを締め付けるところまではいかなかった。

ファーウェイがこれほどまで巨大化したのは、オバマ政権が中国に対して長らく甘い対処をしてきたからであると言える。

しかし、ドナルド・トランプ大統領の登場でアメリカは中国に対しての姿勢を一気に転換して、ファーウェイを明確に危険視するようになった。

アメリカはファーウェイを世界のネットワークの中枢から締め出す必要があると考えた。そうしなければ、全世界の人類の情報を中国共産党政権が手中に収めることになり、全人類が中国の「監視下」に置かれることになる。

トランプ大統領はG20で中国の習近平との関係をつなげるために「ファーウェイの輸出規制を緩和する」と言ったのだが、実際には差し障りのない製品だけを認めたに過ぎず、アメリカの安全保障にとって重要な最先端技術に関しては相変わらず禁輸したままである。

しかし、中国も「5G」時代を見据えて通信分野で遅れを取るわけにはいかず、ファーウェイが敵視されたからと言ってファーウェイを簡単に潰せない。だから中国政府は、妥協や裏取引や工作や威嚇をすべて駆使してファーウェイを生かし続ける。

今後、ファーウェイは中国国内・東南アジア・アフリカ・インドでの巨大な人口を取り込んで生き残ることになる。アメリカとファーウェイの戦いはそう簡単に決着を見ない

ファーウェイの正体が「中国の軍事企業」であるならば、ファーウェイはサイバー空間での中国軍そのものである。そして現在の動きは「アメリカはサイバー空間でファーウェイという中国軍と戦争を繰り広げている」と見るのが正しい。

日本人は誰もファーウェイを「中国軍」であると思っていない。認識が甘すぎる。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年7月12日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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